だいさんしゅ あしひきの やまにひとりね まちのぞむ もれくるひかり きみはいづれや
第三首
足引きの 山に独り寝 待ち(街)望む 漏れくる光 君は何れや
一応言っておきますが、わたしは山奥に住んでるわけではありませんので。
むしろ、山は遠いとさえ、昔に比べたら思うくらいで。
わたし自身、この歌を詠んだのがいつのことやらという次第で。
調べてみたところ、平成二十五年の一月に詠んだとのこと。
あれ? わたしの中では秋のイメージなんだけど。
まぁまぁ、わたしにとって、雪の降らない冬なんてありえないので、関東の一月は秋と言えば秋ですしね。
ともかく、その時は、こんな歌を詠むくらいなので、当然独り身でして。
気分的には、山奥の古い家に、「今日も、独りね」とつい口を吐いてしまってもおかしくないような感じだったというわけで。
「ひとりね」と、一言言ってやりたい気持ちだったわけですよ、ええ。
あしひきの やまにひとりね まちのぞむ もれくるひかり きみはいづれや
山にわたしはひとりね、ええ、独りで寝ますとも。窓から漏れて入ってくる街の光を眺めながら、あなたがまた訪れてくれるのを、自分でもありえないとわかっていながら、はしたなくも待ち望みながら、あの光のどれがあなたの点けた家の光なのか、見えるはずのないものをしょうもなく見ようとして。
なんて馬鹿らしいのかと、その時にまだ泣きそうになっていた自分を諭してあげたいものです。
そうして、まだ、わたしは変わらず、あなたではないものの、誰かを待っているわけで。
自分から探しに行かなければならないと、でも、どうやって探したらいいのか分からないと、そんな感じで、待っているわけで。