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一人百首  作者: 奈月遥
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第三十五首 語るには 色は匂へど 散りぬるを されど明けらば 花咲かざらんや

だいさんじゅうごしゅ

かたるには いろはにほへど ちりぬるを されどあけらば はなさかざらんや


 昔から、仮名尽くしの読み書き歌には、こう語られる。

 色香を漂わせて咲き誇り、一時はあらゆる人の目を引く花も、散ってしまう。そのように、栄光とは刹那のもので儚いと、そう口にする。

 彼らは、毎年季節を繰り返しながら、何故気付かないというのか。

 その花を咲かせた木は、花が散るのと供に枯れて倒れるというのか。

 その花が散り、夏が来、秋、冬と過ぎて、その先の季節がなんであるのか。

 また一度、年が明けて季節が巡っても、花は咲かないというのか。


語るには 色は匂へど 散りぬるを されど明けらば 花咲かざらんや


 生も無常。

 死も無常。

 終わらずにいるものはなく、始まらずにいるものもない。

 始まり、終わり、巡る。

 世は須らく、無常なり。


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