だいにしゅ ふゆすぎて はるきたるらし しらゆきの ときをしらずに むくにふるまう
第二首
冬過ぎて 春来たるらし 白雪の 時を知らずに 無垢に振る舞う(降る舞う)
ついこの間、平成は二十六年の二月四日のこと。
その昨日が暖かくて、もうすぐ春だなぁ、なんて、浮かれていたのをはっきりと覚えてる。
物の見事に、よりにもよって、立春のその日に、その浮かれた気持ちを吹き飛ばされたわけで。
「冬は必ず春になる」とはいい、また「冬と春とのさかひには必ず相違する事あり」ともいうわけで。
雪ですか。
雪でした。
いえいえ、雪国育ちの身から言わせてもらえば、雪がない方がさみしく情緒不安定になるので、その冷たく真白く、幻想織り成す景色に世界を凍てつかせてくれることに、さほど文句はないのですが。
春が立つ日に雪が降るとは。この小さくも無邪気な存在は、無垢で気ままで、わたしよりも自分の気持ちを抑えられないと思えるね。
ふゆすぎて はるきたるらし しらゆきの ときをしらずに むくにふるまう
雪は冬に降るもの。
それなのに、冬はまったく姿を見せずに、春になった途端にはしゃぎまわるなんて、わたしの幼い姪っ子だって、もう少し分別を弁えるっていうのに。
そんな無垢な心を持っているから、純粋な白さで楽しげに雪は舞うんだろうね。