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一人百首  作者: 奈月遥
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だいにじっしゅ としのせも いまにみへしか ふといきを つきておもはる ゆくとしくるとし 字余り

第二十首

年の瀬(背)も 今に見へしか ふと息を 吐きて思はる 往く年来る年


 ふと気が付いたら。

 今年ももう、明日で終わり。

 ああ、年の瀬だ。

 どことなく、街の様子も淋しげなのは、冬のせいか、落ち葉枯らす風のせいか、出ていく仕度をしてる今年のせいか。

 それから、むこうで来年がせっせと仕事を始める準備をしてる。

 門松、注連縄、鏡餅も次々とお母さん方に拾われて、レジへとまっしぐら。

 わたしはもっとゆるゆるした年末が好き。

 こたつでぬくぬく。

 お布団でごろごろ。

 これでにゃんこをなでなでできたら、最高ね。

 明日の大晦日には、紅白を見て、お蕎麦を食べて、それから、零が三つ並んだのを見てからお布団に入ろう。

 その後、年が明けたら、みんなに明けましておめでとうって言って、勤行して、お雑煮をはむはむしよう。

 年始のご挨拶には、歌を一首。今の内に認めておきましょう。

 あれ? 案外いそがしい?

 うーむ、困った。いや、困ってないぞ。

 困ったとしたら、修論がまとまってないことくらい……いやいや、それって大惨事。

 就職先も決まっておりません。

 あれ? あれれ?

 片付いたものを数えてみよう。

 やらなきゃいけないものを数えてみよう。

 今年のまとめと来年の計画と。

 いっぺんに考えないといけないなんて、なんて大変なんでしょ。


としのせも いまにみへしか ふといきを つきておもはる ゆくとし くるとし


 あぁ、去りゆく今年の背中が遠ざかってく。

 もう一回、引き返してくれないのが、困りもの。


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