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第十七首 嵐過ぎ そよ風蒼し 空のかみ 筆取り描く 白き雲月
だいじゅうななしゅ
あらしすぎ そよかぜあをし そらの紙(神) ふでとりえがく しろきくもつき
平成二十五年の秋は、強力な台風が幾つも日本列島に上陸した。平成二十六年の二月には大雪が何度も降ったのを考えると、この年は本当に天災の多かったのだと実感する。
しかし、災害を恐れるばかりでは、前へ進むこともできない。まずは災害への備えを普段から整えておくこと。そして災害後は、多くの人が助け合い、復興へ進んでいくこと。
自然とて、災害で辺りを荒らすだけではない。
台風の後、雲は散らされて、吹き抜けるような蒼い空にそよ風が流れていた。
日も傾いた頃、辺りの仄暗く、影がはっきりと雲の縁を取る。風に流れる雲は、迷いない筆運びで描かれた水墨画にも似る。
嵐過ぎ そよ風蒼し 空のかみ 筆取り描く 白き雲月
空を戯れに紙として、雲と月を描く。
それは諸天が筆を取った作品なのだろう。
だからこそ、これだけの画となったのだ。
言葉にすら尽くせない、ただただ心に直接訴えてくるものに。




