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一人百首  作者: 奈月遥
103/103

番外いのりうた 相みての ことばかさねて こころうち とけてむすばる きずなばかりを

Meeting each other,

Exchange and heap

word in your heart.

Making firm friendship,

I only wish forever.

 番外連歌を以て、この一人百首は終えるつもりでしたが、ただひとつだけ、どうしても全ての生命に伝えたいことがありまして。

 あともう一首だけ、わたしの祈りを聞いてほしいと思います。


 2014年4月28日現在、ウクライナの東西対立は一度連邦化制度によって鎮静化の目処がまとまりかけたにも関わらず、武装集団による銃撃戦によって悪化しつつあります。連邦化政策によって、EUおよびアメリカの諸国とロシア側との対立が緩和され、軍の撤退を計画するまでこぎつけたにも、関わらずです。過激派と言われる人たちの行動によって、治安の保証ができず、さらには欧米は派遣した監視団を拘束され、ロシアは軍の撤退を見送りました。連邦化についてもウクライナ内部で賛否を再び巻き起こし、意見が対立しています。

 韓国の大型旅客船「セウォル号」が2014年4月16日に沈没した事故(一部関係者はその後の対応を含めて事件と呼んでいるそうです)では、旅客船の従業員による救護活動と救援連絡の不手際、韓国政府による対応の不手際によって多くの死者と行方不明者が出ています。さらには、韓国の報道では一時期、全ての乗客が救出されたと伝えられたとも、また日本政府が救援を申し出たところ特段必要性がないと断ったとも聞いています。

 TPPの交渉に関しては、日本とアメリカと始めとする諸外国との間にある溝が埋められず、協定が結べずにいます。

 

 これら以外にも、様々、悲しい事件があります。

 そしてこれらの問題は、無理解と不安が根底の問題としてあるのではないでしょうか。相手を理解することを拒み、相手と対等に渡り合えず、自分が不利益を被ると不安に思う。自分の行動によって未来を切り開いていくことができない、困難が訪れたら自分の力では不幸へ落ちていき幸福を勝ち取ることができない。

 そんな気持ちが、これらの事件を引き起こしているように思えます。

 さらに、その困難や問題を引き起こした原因を他人に見出し、武装対立や責任要求をしていないでしょうか。


 この大きな問題の根源だと思われる無理解と不安は、実はというか、当たり前だけどというか、わたしたち一人ひとりの心に間違いなくあります。あるいは、その種があるというべきかもしれません。

 しかし、その種とは逆の、平和と希望の種もまたあります。

 それは理解による友好と希望ではないでしょうか。

 思いやりと助け合いではないでしょうか。

 相手の言葉に耳と心を傾けるゆとり、そして自分の中から込み上げる不安に打ち勝つ強さではないでしょうか。



今、どれだけの銃を打つ兵士の心の中で、少年少女が泣いているのだろう。

今、どれだけの母と父が、子どもの行方が知れず、淡い期待と深い絶望の波にさらされているのだろう。

今、どれだけの人が、明日も太陽を目にできるかどうか不安に思っているのだろう。

今、どれだけの小さな口が、ひとかけのパンを求めているのだろう。

これから先、限りない人が思いやりと信頼と希望に満ちた言葉を求め。

そしてそのうちのどれだけの人が、与えられずにいくのだろう。


この世界の誰もが、どの生命もが、幸福を打ち立てる力を持っている。

どんなひとつもかけがえのない存在。


心から、生命の底から、全てから、笑顔と歌が溢れる世界を。

荒野に打ち捨てられた孤児だって、望んでいる。



 そう思うと、わたしは胸が張り裂けそうになります。

 なんとかしようと、強く願い、しかし、こうして言葉を、気持ちを、想いを綴るしかないのだと思い知らされます。

 だからこそ、祈り、誓うのです。

 こうして語ることだけは続けようと。

 幸福と平和が世界にもたされることを。


 だから、対話を。心を向き合わせての語らいを。

 引き金に指を掛ける前に。不安に負けることなく。

 理解しようと。理解してもらおうと。勇気をもって。

 理解出来ると。信じて。

 言葉を重ねて、想いを結んで、友情と慈愛の絆で、世界の全てが繋がるように。


相みての ことばかさねて こころうち とけてむすばる きずなばかりを

 本当に、本当に、これだけを祈り誓うのです。

 どうしても、これだけは言葉にせずにはいられなかったのです。


 受け止めてくださって、心から感謝いたします。ありがとうございます。

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