016
「ねぇ、何でこんなことになってるのかなぁ?」
「とりあえずその殺気は止めろ」
「アハハ……。ごめん」
「風也も謝るな。もうどうしようもないんだから」
今、私たちは闘技場にいる。
『第二回:神座争奪団体大会』とデカデカと掲げられた。
「……まぁ、予選は一人ずつ戦えばいいよね?」
「つまり、必ず一回は見せ場があると」
「僕は無くてもいいんだけど」
「…風也は……戦わなきゃダメ」
「最初風也、異論は聞くよ」
「じゃあ」
「聞くだけで直しはしないけど」
風也は正に『憮然』とした表情を浮かべた。
一回戦の幕が上がる。
「風也ー!ファイトー!!」
私の声援に苦笑しながら前に出る。
「風也。Lv216だ」
「おいおい、ふざけ過ぎだろ。影波だ。Lvは89」
「全く以て同意だ。日ノ出、Lv93」
「余りにも馬鹿馬鹿しすぎて笑う気にもならないな。白猫、Lv94」
「だな。双蛇、Lv97」
「さっさと攻略しろよ!月闇、Lv94」
「まぁまぁ、今は堪えて。柳成、Lv97です」
「今回は僕一人なので、お手柔らかに」
ゴングが、鳴る。
瞬間、風也は魔法を展開した。
〈風侭・捕敵〉
同時に、〔導きの嵐槍の剣〕を突き出す。
「どぁっ!?」
双蛇が後ろに宙返り。
その隙間を埋めるように白猫が斬り掛かってくる。
しかし、斬撃は魔法により阻まれ、風也はその右を駆け抜ける。
「やらすか!!」
日ノ出が斧スキルを発動させる。
〈斧噛賢犬〉
上下から迫る斧を風也は下がることで躱す。
「死ね」
耳元から声が。
月闇が槍を突き出す。
それを右に体を回転させることで避け、地面に剣を突き出す事でさらに加速して進む。
「せやぁぁ!!」
斬り掛かってきた双蛇の双剣を左に半身になることで躱し、右手で首もとを突く。
「ぐぁ、ぁ」
「柳!!」
「わかってます!!『叩き潰せ』」
上から巨岩が振ってくる。
「『真摯』」
真上に突き出した細剣とぶつかり、その岩は周りに飛び散る。
「『過激』」
左手を打ち払う。
烈風が双蛇と日ノ出を吹き飛ばした。
「『軽瓢』」
その風は月闇を投げ飛ばす。
「『静謐』」
最後に柳成や影波、白猫を弾き飛ばす。
「『全て、身を滅ぼす』」
再び、全員が吹き飛ばされ、ゲームセット。
「お疲れ」




