015
「これで何体目だ?」
崩れ落ちる鎧武者の前でライアが尋ねる。
「僕は知らないな、氷花は?」
「……47?」
部屋の後方にいた二人が返して、
「たぶんそうだとおもうよ」
私が締める。
ギルド『四色虹』を掲示板に載せてから半年が過ぎた。
その間、特に問題もなく攻略は続いていた。
もちろん、学校があるから最初と比べれば遥かにペースは落ちているのだけれど。
二ヶ月前には闘技場がある街が見付かってそれはそれは大騒ぎになったものだ。
そして、神殿が見つかった。
北の山の頂上に、紅色のが。
その神殿の真ん中、空中に浮いている氷塊が、神を封じているとのことだ。
封印を解くためにはまず、全てのボスを攻略しなければならない。
結果、最も封印を解くことに近いのは私たちだということになる。
「あと五体ってのはキツいなぁ」
「でも、武器の強化も出来るから」
「僕もそろそろだな」
と言う事で、再び街に戻る。
いや、戻ろうとした。
「ちょい、ストップ」
「どうせだ、荷物置いて軽くして帰ったらどうだ?」
「武器も邪魔だろ?置いてケヨ」
……うわぁ。
「それ、ロールプレイだよね?流石に」
「痛い奴ら」
「んだとてめぇら!!」
「ここはてめぇらみてぇな雑魚が来ていい場所じゃねーんだよ!!」
「全員Lv75越えてるうちらに勝てるような装備でもねー奴らが吠えてんじゃねぇ!!」
正直に言えば、この場面でLv75というのは、このゲーム界隈では高い方である。
しかし、どうしようもなく、役不足であった。
いや、むしろ役者不足と言うべきか。
「うわ、低」
「お前らじゃ、例え俺らが一人でも勝てねぇよ」
なぜなら、彼らのレベルは既に200を越えているのだから。
純粋な魔法職である氷花に対してでさえ、Lv75ではATK特化でもなければダメージを与える事はできない。
勿論、風也の防具の性能もそれに準じた物であるのだから、ダメージなど入りはしないが。
それが何を意味するかというと
「邪魔だよ」
嵐火の短剣の一振りで、目の前にいる男が死に戻りした。
…絶対的な力の差を指し示す事であった。




