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行列のできるラーメン店
なし
くたびれた二人が座っていると、
近い席に同じようなお方が、
といっても女性。おしとやかな雰囲氣。
物静か。窓辺に佇むご令嬢。
カーディガンを羽織り、足下を見れば茶のヒールでもこもこ付き。
大人のたたずまい。
向こうは、言い寄られてお疲れの様子。
こちらは自分に意気消沈でお疲れなだけ。
互いに目が合い、向こうは会釈してかえしてくれた。
どぎまぎして、動作がぎこちなくなってしまった。
ここで動けると、人生が変わるのであろうが
女性が関わることにはそんなに機敏にはいけない。
そこが、変わっていれば今こんなに苦労はない。
そう思っていた矢先に、飢えた野獣か
はたまたハイエナどもか、ご令嬢を見つけ集まってきた。
はじめの一人が、瞬く間に4、5人になる。
行列は人を呼ぶのだ。
競争が高いのにあえて挑戦する人間の本性。
待ってでもお話したい人。
どこかの有名ラーメン店に通ずるか。
しかしながら武雄はただ遠くでそれを見つめているだけであった。
なし