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『パントマイマー』







 登校時間とは、僕にとって、一日の中で最も苦痛な時間であり、最も不愉快な時間である。







 勘違いしないで欲しいのは、通学路によく吠える犬がいて怖いとか、踏切が多くてイライラするとか、工場からの異臭がひどいとか、そんなちっぽけなことが原因じゃないってこと。



 じゃあ理由はなにか?そんなもの、二行もあれば説明できてしまうくらいに簡単な話だ。







 「よ。今日も顔色悪いな!」







 ……要するに、入学から毎日のように絡んでくる友人が極めてウザいんだよ。




 「正樹はもう少し他人の顔色を窺うということを覚えたほうがいいよ」




 「面倒くさいから嫌だ」




 ――昨日は雨が降ったが、今日は晴れている。



 天気は毎日のように変化するのに、今日も彼は鬱陶しい。変わらないものが、ここにある。不快だ。あ、通学路によく吠える犬がいるってのは間違いじゃないな。怖くはないけど。




 「………」




 「………」




 「……ねぇ正樹。百歩譲っても許さないけどさ、せめてなにか話題出さないとホント鬱陶しいだけだよ?」




 「あ、そーな。うん」




 よく吠える犬と称した途端に黙るとは……変わらず空気が読めない奴だな。協調性がないというか。僕も人のことは言えないけど。




 「……お前、友達出来たか?」




 出来る訳がない。わざわざ僕みたいのに絡んでくる物好きはお前くらいだ。


 僕の表情で察したのか、暗い表情をする正樹。……こんな時だけ顔色を窺うな。




 「やっぱその『僕』って一人称が悪いと思う」




 「ふーん。じゃあなに、俺にでも変える?」




 「そうじゃねぇだろ」




 「……なんで?」













 「なんでじゃないだろ?“灯里ちゃん”?」





 「……大きなお世話だよ」





 全く、僕はわざと他人と距離を取ってるのに……馴れ馴れし過ぎて腹が立つ。そしてちゃんを付けるな名前で呼ぶな。







 ……というかもう、絡まれるのは正樹だけで十分だ。













 ……なんか悔しいから、絶対口には出さないけど。







 「そうか……」







 そんな、分かりやすくしゅんとなるなよ。








 ……あーもう。













 ……これだから、登校時間は大嫌いだ。





 





 人付き合いの面倒さ、その温かさを。




 人の優しさに対して自分はどういう行動を取っているかという感情をテーマに描いた小説。

 他人を気にし過ぎるあまり自分が疎かになってしまった、孤独好きの主人公。そのくせ正樹のことはちゃんと「友人」と認識していたりする、変わった奴です。




 皆さんは日頃、素直に過ごせていますか?





 

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