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ミオとナオトの異世界TRPG冒険譚  作者: かわさきはっく
聖法国ヴァルドリア編

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第8話 お買い物デートと、悩殺ビキニアーマー

 チャリン、チャリーン♪


「……ミオ、さっきからうるさいぞ。金貨をオモチャにするな」


「いいじゃない! この重み、この輝き! これこそ冒険者のBGMよ! ねえナオト、これ全部使っていいのよね?」


「ああ。いつまでもボロ布と木の棒じゃ、そのうちクエストで死ぬ。今回は全額、装備投資に回すぞ」


「やったぁ! ショッピングね! ねえ、デート気分で腕組んで歩く?」


「荷物持ちさせられるだけだから遠慮しとく。……ほら、着いたぞ。『鉄の誓い亭』だ」


「うわ、煙突から煙がもくもく出てる。暑苦しそうなお店ねぇ」


 カランカランッ!


「いらっしゃい! 冷やかしなら帰んな! ウチは戦場行きのガチ装備しか置いてねえぞ!」


「買い物だ、親父さん。予算は金貨10枚。前衛用の軽装と、魔法剣士用の装備を一式頼む」


「ほう、金貨10枚か。若造にしては持ってるな。よし、好きなのを選びな!」


「テンション上がってきたわ! 私、前から強くて可愛い装備が欲しかったのよ!」


「魔法剣士なんだから、動きやすさ重視だぞ。金属の板張りすぎると動けなくなるからな」


「分かってるってば! ……あ、これ素敵!」


「おい、そっちは高級品のコーナーだぞ。……ったく。親父さん、俺にはその壁にかかってる黒い革鎧を見せてくれ」


「お目が高いな兄ちゃん! 盗賊のベストだ。魔獣の革を使ってるから火にも刃物にも強いぞ」


「ポケットも多いな。ポーションや火薬玉を仕込むのに丁度いい。よし、これにする。あとは投げナイフのセットと、頑丈なブーツも頼む」


「毎度あり! ……で、連れの嬢ちゃんはどうした?」


「ああ、試着室に入ったきり出てこないな。おーいミオ、生きてるか? 鎧の重さで潰れてないか?」


「……失礼ね! ぴったりよ! ふふふ、ナオト、驚かないでね?」


「驚く? まさかフルプレートでも着込んだか?」


「違うわよ! 魔法剣士といえば、これっていう、身軽さとセクシーさを兼ね備えた最強装備よ! ジャジャーン!」


 シャッ!


「…………」


「どう? 似合う?」


「……おい」


「えへへ、どうかしら? 商品名は『戦乙女のビキニアーマー』だって! これなら敵の目も釘付けでしょ?」


「……布面積が足りてないぞ」


「足りてるわよ! 急所には鉄板が入ってるし!」


「入ってるというか、鉄のブラジャーとパンツ一丁だろそれは。剣振る前にポロリするぞ」


「大丈夫よ! 魔法の粘着力でくっついてるんだから! ほら、こうやって斬りかかっても……とおっ!」


「やめろ、目のやり場に困る。店主、こいつに何か羽織るものを」


「へっへっへ、いいモン見せてもらったな」


「ほら見なさい! 店主さんは喜んでるわよ! ナオトはどうなのよ。その……嫌いじゃないでしょ? こういうの」


「…………」


「あ! 今ちょっと視線が泳いだ! 見たわね!? 私のナイスバディに釘付けになっちゃった!?」


「なってない。風邪ひくぞ、着替えてこい」


「ぶー! ケチー! ナオトの朴念仁! こんなにサービスしてるのに!」


「うるさい。ほら、こっちのミスリルの胸当てと戦闘用チュニックにしろ。これなら剣の邪魔にならないし、魔法の耐性もついている」


「えー、地味よそれぇ。もっとこう、ヒロインらしい華やかさが欲しいのよ!」


「なら、この赤いマフラーと、白いミニスカート型の腰当てを合わせろ。これなら魔法剣士っぽくてカッコいいだろ?」


「……あ」


「どうだ? 絶対領域も確保されてるし、ブーツとの相性もいい」


「……ふーん。ナオトにしては分かってるじゃない」


「だろ? それに一番大事なのは武器だ。親父さん、あのショーケースの剣は?」


「おう、ありゃ、魔鉄のショートソードだ。魔力を流すと切れ味が上がる特別製だぞ」


「これだミオ。お前の炎魔法を刃に乗せれば、文字通り魔法剣になる」


「うわぁ、すごーい! 振ると赤く光るわ! カッコいい!」


「これならスライムも一撃だ。……よし、店主。これにする。あと、さっきのビキニアーマーを」


「えっ!? ナオト、やっぱり買ってくれるの!?」


「買わん。記憶から消去だ。……会計頼む」


「はいよ、合計で金貨9枚と銀貨8枚だ!」


 ◇ ◇ ◇


「……ふぅ。いい買い物だったわね!」


「ああ。これでようやく、Fランクのひよっこから、一人前の冒険者らしい見た目にはなったな。黒革の鎧、悪くない着心地だ」


「私だって! 見てこの赤いマフラー! 風になびかせて剣を振るの、憧れだったのよ!」


「魔鉄の剣もいい感じだ。試し斬りはまた今度な」


「ちぇっ。……でも、これでまた逆戻りね」


「え? 何が?」


「財布の中身よ。……残り、銀貨2枚」


「…………あ」


「……ねえナオト。今日の晩ご飯、ステーキの予定だったわよね?」


「予定は未定だ。銀貨2枚じゃ、肉屋の前で匂いを嗅ぐことしかできん」


「うそでしょぉぉぉ!? 私のビキニアーマーを拝ませたのに、代償が匂いだけ!?」


「だから言ったろ。ご利用は計画的にって。魔法剣なんて高級品を買うからだ」


「だってナオトが『これだ!』って言うから! 私のせいなの!?」


「投資だ投資。装備が良くなれば、もっと稼げる依頼が受けられる。ステーキは明日以降のお楽しみだ」


「うぅぅ……。ナオトの意地悪ぅ……」


「ほら行くぞ。いい匂いがする屋台がある。串焼きなら1本ずつ買えるぞ」


「……足りないわよ。私のおねだりスキルで、お肉大きくしてもらうんだから!」


「はいはい、頼りにしてるよ」


「もう、次は絶対にお金貯めて、お城みたいなレストランに行くんだから!」


「そうだな。夢を見るのはタダだ」

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