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霊装使いになれなかった俺が、九尾と契約した日  作者: 三科異邦


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模擬戦大会2


 校庭の空気が張り詰める。

 大会2回戦の開始を告げる笛が鳴り、観客席からは歓声が巻き起こる。


 玄弥は尾を一本だけ出し、心を落ち着ける。

 昨日までの訓練を思い出す――尾の感覚、空気の抵抗、体の反応。

 代償の熱が胸に微かに残るが、今は集中を優先する。


 相手は、同じクラスではないが学園内でも評判のチーム。

 剣術・霊具・霊力のバランスが整った実力者たちだ。


     ◆


 開始の合図とともに、相手チームが一斉に動く。

 剣術使いが前に出て攻撃を仕掛け、霊力使いが横から圧力をかける。

 玄弥は尾を旋回させて防御しつつ、動きを観察する。

 尾1本では力が限られるため、体の回避や動きで補う。


 ムツミは風の霊力で砂を舞い上げ、相手の視界を遮る。

 紙や落ち葉を巻き上げる軽やかな風が、戦況をわずかに有利にする。


 「風の力で動きやすくなる!」

 彼女の明るい声が響き、戦闘の緊張感に少し軽やかさを加える。


     ◆


 敵チームの剣士が、玄弥の尾の動きを読み、斬りかかる。

 玄弥は体をそらし、尾でかろうじて攻撃を受け流す。

 体内の熱が少し強まり、心拍も速くなる。

 代償の兆候はまだ微かだが、無視できない。


 後ろからムツミの風が巻き上がり、相手の剣の軌道を微かに狂わせる。

 その隙に玄弥は距離を取り、次の反撃のタイミングを狙う。


     ◆


 マトリは観客席から小さく声をかける。

 「……落ち着いて、玄弥くん」

 その声に、玄弥は少し心を落ち着け、尾の動きを滑らかにする。


 相手チームの霊力使いが、エネルギーの小さな波動を放つ。

 玄弥は尾で受け止めようとするが、一本では威力が強すぎる。

 体が揺れ、代償の熱が胸にじんわり広がる。


 しかし、焦らず、呼吸を整える。

 体の重みを意識しつつ、尾と自分の動きを完全にシンクロさせる。


     ◆


 反撃のチャンス。

 玄弥は尾を旋回させ、相手の剣を弾き、霊力使いの攻撃をかわす。

 ムツミの風で巻き上がる砂が、敵の視界を遮り、攻撃の精度を下げる。


 「今だ!」

 マトリの声が耳に届く。

 背中を押されるように、玄弥は尾の動きを加速させる。


 一撃、二撃……尾1本で相手を押し返す。

 敵の攻撃は続くが、玄弥とムツミの連携で少しずつ押し戻すことに成功する。


     ◆


 試合の終盤。

 相手チームの動きが乱れ始める。

 玄弥は尾の動きと自分の体のリズムを完全に合わせ、最後の反撃に踏み切る。


 尾の先端が剣を弾き、霊力の波動をかわす。

 相手はバランスを崩し、膝をつく。

 笛が鳴り、試合終了。


 観客席から拍手と歓声。

 玄弥は尾を引っ込め、深呼吸する。

 体の奥には微かに熱が残るが、制御の手応えを感じた。


     ◆


 マトリが駆け寄る。

 「……無事でよかったです。やっぱり玄弥くんは強い」

 少し照れくさそうに微笑む彼女の表情に、玄弥も自然と笑みを返す。


 ムツミは手を叩きながら笑う。

 「ふふ、楽しかった!次も楽しみだね!」

 その明るさに、玄弥は少し力を抜くことができた。


 大会はまだ続く。

 だが、仲間との連携、尾の制御、代償の意識――

 すべてが少しずつ玄弥を成長させていることを実感できた。


 戦いの影は消えない。

 しかし、仲間とともに歩む日常と大会の熱気の中で、光は少しずつ差し込み始めていた。

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