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霊装使いになれなかった俺が、九尾と契約した日  作者: 三科異邦


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刺客との戦い2

「……もう、これしかない……!」


 呼吸を整え、霊力を全身に巡らせる。

 胸の奥で血の熱がうねり、尾が自然に反応する。

 一本の赤い尾が背後から伸び、空気を切る音と共に光を帯びる。


     ◆


 刺客が高速で針を飛ばしてくる。

 一本の尾で弾き返すが、次々と続く攻撃に足元を崩されそうになる。

 胸の奥の痛みが増幅し、意識が揺れる。


 それでも、尾1本でわずかに間合いを稼ぎ、反撃のチャンスを探す。

 刺客の目が光り、攻撃のリズムを微妙に変える。

 針は旋回し、光の帯となって連続して襲いかかる。


 ――もう逃げ場はない。

 尾1本の力で、全てを受け止めるしかない。


     ◆


 玄弥は尾を回転させ、針を弾きながら前方へ跳躍。

 尾の先端で刺客の肩を叩き、地面に押し付ける。

 刺客は衝撃で後方に吹き飛ぶが、すぐに立ち上がる。

 その目には、挑戦するような光が宿る。


「……まだ……か……!」


 胸の奥で血が暴れ、呼吸が乱れる。

 尾の制御は難しく、代償の痛みは確実に増していく。

 しかし、今倒さなければ、次は自分が倒される――


     ◆


 刺客が再び針を飛ばす。

 今回は、空中で複雑に交差する連続攻撃だ。

 尾1本ではすべてを弾ききれない。


 玄弥は瞬間、閃く。

 刺客の動きの癖を見抜き、わずかな隙を狙う。


 胸の奥の熱を押し殺し、尾を一点に集中させる。

 霊力の流れを尾の中に流し込み、全力で反撃の衝撃を溜める。


 ――これしかない。


     ◆


 尾を強く振るう。

 一本の尾が光の帯となり、刺客の肩と胴を捕らえる。

 霊力の圧力が爆発し、刺客は宙を舞い、地面に叩きつけられる。


 針の攻撃は完全に止まり、刺客は動けない。

 その目に、初めて恐怖が映る。


 玄弥の胸の奥は痛みで燃えるようだ。

 血の熱が身体を支配する。

 だが、尾1本で勝利を掴んだ。


     ◆


 刺客は地面に倒れ、霧のように消えかける。

 もう動く力は残っていない。

 玄弥はゆっくりと尾を引っ込める。

 胸の奥の痛みと、全身の痙攣に耐えながら、膝をつく。


 赤い夕陽が校庭を染め、長い影が伸びる。

 刺客は倒れたが、四天王直属の配下――戦いはまだ序章だ。


 胸の奥で血の熱を感じながら、玄弥は立ち上がる。

 尾1本で制御できる力と、代償の重みを知った今、

 次に同じ状況になったらもっと強くならなければと決意する。


     ◆


 静かに息を整え、周囲を見渡す。

 クラスメイトや学院の他の生徒は、何も知らずに日常を過ごしている。

 だが、玄弥の心には確かな手応えがある。


 ――尾1本で、戦いを切り抜けられた。

 だが、代償を完全に抑えるには、まだ修行が必要だ。


 次に同じ戦いが来たとき、尾を自由に使えるように――

 そう心に誓いながら、赤く染まる夕陽を背に、静かに歩き出す。


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