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呪壊の陰陽師 ―霊力ゼロの陰陽師が最強の妖狐と結ぶ仮初の契約―  作者: 仁科異邦
四聖獣編

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朱雀と青龍の力


 三日後。

 六人は、日本アルプスに向かっていた。

 青龍が教えてくれた場所を目指して、山道を歩いていた。


 木々が生い茂る道を、ゆっくりと進んでいた。

 風が、涼しかった。

 鳥の声が、聞こえた。


「結構、遠いわね」

 ミユキが、呟いた。

「白虎は、こんな山奥にいるの」

「そうらしいばい」

 朱雀が、ミユキの肩から答えた。

「風が強か場所が好きやけんね」


 ナギサも、歩きながら言った。

「青龍様も、同じことを言っていました」

「青龍は真面目やけん、よう知っとるばい」


 その時。

 葛葉が、立ち止まった。


「……待て」

「どうしたの、葛葉さん」

「気配がする」

 葛葉の目が、鋭くなった。

「妖怪じゃ」


 玄弥も、刀に手をかけた。

「どこだ」

「前方じゃ」


 木々の間から、黒い影が現れた。

 二体の妖怪が。

 狼のような姿をした妖怪が。


「——人間か」

 一体目の妖怪が、牙を剥いた。

「久しぶりの獲物だ」

「食い応えがありそうだな」

 二体目の妖怪も、牙を剥いた。


 玄弥は、前に出た。

「みんな、下がって——」


 でも。

 ミユキが、玄弥を止めた。

「待って」

「ミユキ?」

「あたしに、やらせて」

 ミユキの目が、真剣だった。

「朱雀の力を、試してみたいの」


 玄弥は、少し黙った。

 それから。

「……わかった」

 刀を下ろした。

「気をつけろ」

「任せて」


 ミユキは、前に出た。

 手に、炎を灯した。

 青い炎が、揺らめいた。


 一体目の妖怪が、ミユキに向かった。

 速い。

 牙を剥いて、襲いかかった。


 ミユキは、炎を放った。

「《蒼炎刃》——!」

 青い炎の刃が、妖怪に向かった。


 妖怪は、躱した。

 そして、さらにミユキに迫った。


「——朱雀」

 ミユキが、心の中で呼びかけた。


「呼んだかい、ミユキ」

 朱雀の声が、心の中に響いた。

「任せんしゃい」


 ミユキの胸の紋章が、光った。

 赤い光が、ミユキの身体を包んだ。


 ミユキの炎が、変わった。

 青い炎に、赤い光が混ざった。

 より強く、より熱く。


「《蒼炎・朱雀》——!」


 ミユキの手から、巨大な炎が放たれた。

 炎が、朱雀の形を成した。

 赤と青が混ざった、巨大な鳥の形を。


 炎の朱雀が、妖怪に向かった。

 翼を広げて、襲いかかった。


「——っ!?」

 妖怪は、炎に包まれた。

 逃げようとしたが、間に合わなかった。


 炎が、妖怪を焼き尽くした。

 一瞬で。


 妖怪が、消えた。

 跡形もなく。


 みんなが、驚いた顔をした。


「……すごい」

 ムツミが、呟いた。

「一撃で、倒した」

「朱雀の力、すごいですね」

 ユカリも、目を見開いた。


 ミユキは、自分の手を見た。

 炎が、まだ揺らめいていた。

 いつもより、ずっと強い炎が。


「……これが、朱雀の力」


「そうたい」

 朱雀の声が、心の中に響いた。

「わたしの力と、あんたの力が混ざったとよ」


「すごいわね」

「あんたが強いけんね」

 朱雀の声が、嬉しそうだった。

「わたしの力を、うまく使えとる」


 二体目の妖怪が、後退した。

「——っ、なんだ、あの力」

 恐れた目で、ミユキを見た。

「四聖獣の力か——」


 妖怪は、逃げようとした。

 でも。

 ナギサが、前に出た。


「待ってください」

 ナギサは、静かに言った。

「私にも、やらせてください」


 玄弥が、ナギサを見た。

「ナギサも?」

「はい」

 ナギサは、頷いた。

「青龍様の力を、試してみたいんです」


 ナギサは、手を前に出した。

 水の霊力が、集まった。


「——青龍様」

 ナギサが、心の中で呼びかけた。


「はい、ナギサ」

 青龍の声が、心の中に響いた。

「お任せください」


 ナギサの胸の紋章が、光った。

 青い光が、ナギサの身体を包んだ。


 ナギサの水が、変わった。

 より澄んで、より強く。

 青龍の力が、混ざった。


「《水刃・青龍》——!」


 ナギサの手から、巨大な水の刃が放たれた。

 水が、龍の形を成した。

 青く輝く、長い龍の形を。


 水の青龍が、妖怪に向かった。

 身体をくねらせて、襲いかかった。


「——っ!?」

 妖怪は、逃げようとした。

 でも。


 水の青龍が、妖怪を捉えた。

 身体を巻きつけて、拘束した。


「——っ、離せ——!」

 妖怪が、もがいた。

 でも。

 水の龍が、強すぎた。


 水が、妖怪を締め付けた。

 どんどん、強く。


 妖怪が、悲鳴を上げた。

 それから。

 消えた。


 水の青龍も、消えた。

 静かに。


 ナギサは、息を吐いた。

 手を下ろした。


「……これが、青龍様の力」


「はい」

 青龍の声が、心の中に響いた。

「あなたの水と、私の力が融合しました」


「すごいです」

「あなたが上手に使ってくれたからです」

 青龍の声が、優しかった。

「よくやりました、ナギサ」


 玄弥が、二人に近づいた。

「すごいな、二人とも」

「そうね」

 ミユキは、笑った。

「朱雀の力、すごく強いわ」


 ナギサも、頷いた。

「青龍様の力も、すごいです」

「式神の力、本当に強いのね」

 ムツミが、感心した。

「あたしも、早く白虎様と契約したい」


 ユカリも、小さく言った。

「わ、私も、げ、玄武様と契約したいです」


 葛葉が、笑った。

「二人とも、よくやったのう」

「ありがとうございます」


 葛葉は続けた。

「式神の力は、巫女の力と融合する」

「融合?」

「そうじゃ。巫女の霊力と、聖獣の霊力が一つになるのじゃ」


 葛葉は、ミユキとナギサを見た。

「お主らは、それをうまく使えておる」

「……そうですか」

「そうじゃ」


 朱雀が、ミユキの肩に顕在化した。

「ミユキ、あんたはよう頑張ったばい」

「ありがとう、朱雀」

「でも、まだまだ練習が必要たい」

「わかってるわよ」

 ミユキは、笑った。


 青龍も、ナギサの肩に顕在化した。

「ナギサ、よくできました」

「ありがとうございます、青龍様」

「ただし、まだ力の制御が甘いです」

「はい」

「もっと練習しましょう」

「わかりました」


 二体の式神が、並んでいた。

 小さな朱雀と、小さな青龍が。


 ムツミが、二体を見た。

「可愛い——」

「可愛いって言うなや」

 朱雀が、むっとした。

「可愛いとは、少々心外です」

 青龍も、困った顔をした。


 ユカリが、笑った。

「で、でも、か、可愛いです」

「……まあ、よかばい」

 朱雀は、諦めた。

「そげん言われると、悪い気はせんけんね」


 玄弥が、前を向いた。

「じゃあ、行こう」

「うむ」


 六人は、また歩き始めた。

 白虎を探して。


 ミユキとナギサは、式神と共に歩いた。

 朱雀は、ミユキの肩に。

 青龍は、ナギサの肩に。


 二人は、少し誇らしげだった。

 式神の力を、使いこなせた。

 これから、もっと強くなれる。


 そう、感じていた。


 山道を進んでいくと。

 だんだん、風が強くなってきた。


「風が、強くなってきたのう」

 葛葉が、呟いた。

「白虎が、近いのじゃ」


 ムツミは、その風を感じた。

 強い風を。

 心地よい風を。


 ――白虎様。


 ムツミは、心の中で呟いた。


 ――もうすぐ、会えます。


 六人は、風の強い場所へと向かった。

 白虎との出会いへと。

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