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呪壊の陰陽師 ―霊力ゼロの陰陽師が最強の妖狐と結ぶ仮初の契約―  作者: 仁科異邦
四聖獣編

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修行を終えて、繋がりの糸


 現世に戻って、数日が経った。

 六人は、炎下家の大広間に集まっていた。

 四家の当主も、同席していた。


 炎下家当主が、口を開いた。

「百年の修行、お疲れ様でした」

「ありがとうございます」

 玄弥が、頭を下げた。


 風木家当主が、ムツミを見た。

「ムツミ、強くなったのう」

「うん、お父さん」

 ムツミは、笑顔で答えた。

「すごく、強くなった」


 土雲家当主が、ユカリを見た。

「ユカリ、もう震えておらんな」

「は、はい」

 ユカリは、少し照れた。

「も、もう大丈夫です」


 水瀬家当主が、静かに言った。

「では、次は四聖獣ですね」

「そうじゃ」

 葛葉が、頷いた。

「四聖獣を探し、契約を結び直すのじゃ」


 葛葉は、四人の巫女を見た。

「お主らは、四聖獣の器じゃ」

「はい」

「契約は破棄されたが、器としての繋がりは残っておる」

「繋がり?」

 ミユキが聞いた。


「そうじゃ。微かな繋がりが、お主らと聖獣の間に残っておる」

 葛葉は続けた。

「その繋がりを辿れば、聖獣の居場所がわかるはずじゃ」


 ナギサが、静かに言った。

「でも、どうやって辿るんですか」

「集中するのじゃ」

 葛葉は答えた。

「自分の中にある、聖獣との繋がりを感じ取るのじゃ」


 ユカリが、おどおどと言った。

「か、感じ取るって、ど、どうすれば」

「静かに座って、目を閉じろ」

 葛葉は、四人に座るように促した。

「そして、自分の霊力の流れを感じるのじゃ」


 四人は、座った。

 目を閉じた。

 静かに、呼吸を整えた。


 葛葉が、静かに言った。

「霊力の流れを感じろ」

「……」

「その中に、わずかに違う流れがあるはずじゃ」


 四人は、集中した。

 自分の霊力を、感じ取った。


 ミユキは、炎の霊力を感じた。

 自分の中に、青い炎が燃えているのを感じた。

 その奥に。

 何か、違うものがあった。


 ——これは?


 もっと深く、意識を向けた。

 すると。

 赤い光が、見えた。

 遠くから、呼んでいる声が聞こえた。


 ——朱雀だ。


 ミユキは、はっきりと感じた。

 朱雀が、どこかにいる。

 遠くに。

 でも、確かに。


 ナギサは、水の霊力を感じた。

 自分の中に、静かな水が流れているのを感じた。

 その奥に。

 青い光があった。


 ——青龍。


 ナギサは、その名前を知った。

 青龍が、どこかで待っている。

 静かに。

 穏やかに。


 ムツミは、風の霊力を感じた。

 自分の中に、風が吹いているのを感じた。

 その奥に。

 白い光があった。


 ——白虎。


 ムツミは、その存在を感じた。

 白虎が、遠くから呼んでいる。

 力強く。

 勇ましく。


 ユカリは、土の霊力を感じた。

 自分の中に、大地の力があるのを感じた。

 その奥に。

 黒い光があった。


 ——玄武。


 ユカリは、その重さを感じた。

 玄武が、深いところで眠っている。

 静かに。

 どっしりと。


 四人は、同時に目を開けた。


「……感じました」

 ミユキが、最初に言った。

「朱雀を」


「私も、感じました」

 ナギサも、頷いた。

「青龍を」


「あたしも」

 ムツミが、笑った。

「白虎を」


「わ、私も」

 ユカリも、小さく頷いた。

「げ、玄武を」


 葛葉が、満足そうに笑った。

「よし。繋がりを感じ取れたのじゃな」

「はい」


 葛葉は続けた。

「では、次はその繋がりを辿って、居場所を特定するのじゃ」

「居場所を?」

「そうじゃ。聖獣がどこにおるか、感じ取るのじゃ」


 四人は、また目を閉じた。

 繋がりを、もっと深く感じ取ろうとした。


 ミユキは、朱雀との繋がりを辿った。

 赤い光が、強くなった。

 そして。

 イメージが、浮かんだ。


 ——火山。

 ——燃える溶岩。

 ——高い山の頂上。


 ミユキは、目を開けた。

「……火山です」

「火山?」

「はい。朱雀は、火山の頂上にいます」


 ナギサは、青龍との繋がりを辿った。

 青い光が、流れていく。

 そして。

 イメージが、浮かんだ。


 ——深い湖。

 ——澄んだ水。

 ——湖の底。


 ナギサは、目を開けた。

「……湖です」

「湖?」

「はい。青龍は、深い湖の底にいます」


 ムツミは、白虎との繋がりを辿った。

 白い光が、駆け抜けていく。

 そして。

 イメージが、浮かんだ。


 ——高い崖。

 ——吹き荒れる風。

 ——崖の上。


 ムツミは、目を開けた。

「……崖です」

「崖?」

「うん。白虎は、高い崖の上にいる」


 ユカリは、玄武との繋がりを辿った。

 黒い光が、深く沈んでいく。

 そして。

 イメージが、浮かんだ。


 ——深い洞窟。

 ——暗闇。

 ——洞窟の最深部。


 ユカリは、目を開けた。

「……ど、洞窟です」

「洞窟?」

「は、はい。玄武は、ふ、深い洞窟の中にいます」


 葛葉が、頷いた。

「よし。四聖獣の居場所が、わかったのじゃな」

「はい」


 炎下家当主が、口を開いた。

「では、どこから向かいますか」

「……」

 玄弥は、少し考えた。

「火山から行こう」


「火山?」

「ああ。朱雀は炎の聖獣だ」

 玄弥は、ミユキを見た。

「ミユキが一番慣れている属性だから、最初に契約を結びやすいはずだ」


 ミユキが、頷いた。

「わかった」

「じゃあ、決まりね」


 風木家当主が、口を開いた。

「その火山じゃが、どこにあるかわかるか」

「……」

 ミユキは、もう一度目を閉じた。

 朱雀との繋がりを、辿った。


 方角が、わかった。

 南東。

 遠い。

 でも、確かに感じる。


 ミユキは、目を開けた。

「南東です」

「南東?」

「はい。遠いですが、そちらに朱雀がいます」


 水瀬が、地図を広げた。

「南東となると……」

 指で辿った。

「九州の方角ですね」

「九州?」

「はい。活火山がいくつかあります」


 水瀬は続けた。

「おそらく、阿蘇山か、桜島か」

「どちらかはわからんのか」

「ミユキさん、もっと詳しく感じ取れますか」


 ミユキは、また目を閉じた。

 もっと深く、集中した。


 朱雀の気配が、強くなった。

 そして。

 はっきりとわかった。


「……阿蘇山です」

 ミユキは、目を開けた。

「朱雀は、阿蘇山の頂上にいます」


 炎下家当主が、頷いた。

「わかりました。では、阿蘇山に向かいましょう」

「いつ出発しますか」

「明日の朝で」

「わかりました」


 玄弥は、立ち上がった。

「では、準備をします」

「うむ」


 六人は、大広間を出た。

 それぞれ、準備を始めた。


 その夜。

 玄弥の部屋に、葛葉が来た。


「玄弥」

「なんだ」

「明日から、本格的に四聖獣との契約が始まるのじゃ」

「ああ」


 葛葉は、窓の外を見た。

「四聖獣は、強大じゃ」

「……」

「契約を結ぶには、試練があるかもしれん」

「試練?」

「そうじゃ。四聖獣は、器となる巫女を試すじゃろう」


 葛葉は、玄弥を見た。

「その時、お主が四人を支えるのじゃ」

「わかってる」

 玄弥は、頷いた。

「俺は、みんなを守る」


 葛葉は、小さく笑った。

「……頼もしくなったのう」

「そうか」

「うむ」


 葛葉は、部屋を出ようとした。

 その前に。

「玄弥」

「なんだ」

「百年、よく耐えたのう」

「……お前もな」


 葛葉は、笑った。

 それから、部屋を出た。


 玄弥は、窓の外を見た。

 星が、出ていた。

 静かな夜だった。


 ——明日から、四聖獣との契約が始まる。

 ——朱雀、青龍、白虎、玄武。

 ——四体全てと、契約を結ぶ。


 玄弥は、拳を握った。

 ――必ず、成功させる。


 翌朝。

 六人は、炎下家を出発した。

 阿蘇山に向かって。

 朱雀との、契約のために。


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