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幽霊彼女はツッコミ大魔王  作者: リンダ
彼女いない歴=年齢の優馬と美人な幽霊みすずのドタバタ喜劇
4/175

俺のトランクス返して〜からの刺激的な誘惑

その姿、犯罪級!? 俺のトランクス返してくれぇぇ!


――翌朝。


「……んあ~……」


優馬が布団の中でゴロリと寝返りを打つ。


昨日は美鈴と同じベッドで眠るという、とんでもない状況に見舞われたわけだが――


(あれ……意外と、ぐっすり寝とったかも)


そう思って、ゆっくりと目を開ける。


すると。


ちゃぶ台の前で、歯磨きをしている美鈴の姿が目に入った。


「……ん? お、おぉはよう……」


「んん~? おはよ、優馬♪」


にっこりと微笑む美鈴。


――が。


その格好が問題だった。


下は、明らかに優馬のトランクス。


しかも、腰骨のあたりでちょっとゆるくて、色っぽくずれてる。

上は優馬のTシャツ――ぶかぶかサイズで、肩がずるっと落ちてる。


つまるところ、


オーバーサイズTシャツ+男物トランクス+素足

という、最強の「無防備彼女ルック」がそこに完成していた。


「お、お、おい!? なんで俺のトランクス履いとるんやあああぁぁぁ!!?」


「ん? あー……だって、うちの下着、消えてたっちゃもん」


「消えた!?」


「霊界メンテの影響やろね。あっちの世界に引っ張られたっぽい」


「いや知らんし!!そんなん知らんし!!!俺の理性が限界たい!!」


優馬は手で顔を覆ったが、視界には焼き付いた“その姿”。


「……ほら、ちゃんと見てみて? 意外と似合ってるっちゃろ?」


美鈴は、腰に手を当て、軽くくるりと一回転。

トランクスの裾が、ふわっと揺れる。


「だ、だめやて……もう完全に犯罪の域たい……っ」


そして――


ぷしゅうぅぅぅっ。


鼻から、見事なほど真っ赤なものが噴き出す。


「うわぁ!? 大丈夫!? ティッシュ、ティッシュ!!」


「ちが……っ、これは、ただの生理現象やけん!!正直者の証明やけん!!」


「バカっ、鼻血出すとか、思春期男子かあんたは!!」


慌ててティッシュを押し当てる美鈴。

だがその手つきがまた優しくて、どこかくすぐったい。


「……でも、ふふっ。ちゃんと“女”として見てもらえてるっちゃね、うち」


「ちょ……あんた、わざとやろ……!?」


「うーん、どうやろうね?♡」


ふわりと、朝の光が差し込む白金荘201号室。

今日も優馬の理性は――持ちこたえる気がしなかった。



ランジェリーショップの黒い罠!? 俺の鼻血は無限に出ません!


――週末、午後。


「……で? 俺、なんでここおるん?」


優馬は、ビルの一角にある煌びやかなランジェリーショップの前で、魂が抜けかけていた。


「え、なんでって……下着、買うためやろ?」


振り返った美鈴は、今日もばっちり実体化モード。

白いワンピースに身を包みながら、楽しげにドアを開けた。


「いや、たしかに買うのはええけど、なんで俺が付いてくるん!?」


「だって優馬のお金で買うけん♪ 選ぶときも付き合ってくれんと」


「ひどくね!? 幽霊に貢がされる男子って、全国でも俺くらいやろ……」


「うち、もうあのトランクス借りるのも限界たい。くいこむし」


「いやそんな生々しい感想いらんけん!!」


ぐいっと引っ張られるまま、優馬はランジェリーショップの中へ。


店内には、目のやり場に困るようなレースだのリボンだの極小布面積の下着がズラリ。


しかも、周囲は女性客だらけ。

完全に“浮いてる男”優馬。


「な、なぁ……ここ、ほんとに俺おって大丈夫なん……?」


「大丈夫やけん。下着なんて、みんなが履くもんやけん♡」


「ちがう、見とる方が問題なんよ!!脳が耐えられん!!」


美鈴は気にせず、黒、赤、紺……と次々にセクシー系の下着を手に取っていく。


優馬の心の声:

『頼む、お願いやけん、もうちょっと布の多いやつ選んでくれぇぇ……っ!!』


そしてレジ。


「えーっと、合計で……12,800円になります~」


「え、ちょ、まって!? たっっか!? 黒いの、レースついとるだけでなんで1万超えとると!?」


「優馬、よろしくね♪ クレカで」


「え……うそやろ……俺のクレカ、まさか幽霊に吸われるとは……」


カードを通す手が、震えていた。



――そして夜。


帰宅後、ぐったりとソファに倒れこむ優馬。


「はぁぁ……なんやねん今日。支払い俺、羞恥心も俺、体力も削られたの俺……富んだ出費ってこういうこと言うんやな……」


そのとき、バサリと何かが落ちた音。


振り返ると――


そこには、黒いブラとショーツをつけた美鈴が、仁王立ちしていた。


「……ど、どう? 今日の“成果”♡」


「ぶぶぶぶっっ!!!」


ぷしゅうぅぅっ!!


――鼻血、ドカン。


「ちょっ!?またぁ!? ティッシュティッシュ!」


「待って、まさか“また”鼻血出すと思わんかったし、うちのほうが焦るっちゃけど!!」


「出るもんは出るんやあああ!!Eカップの破壊力なめんなあああ!!」


美鈴はぷいっと顔を背けながら、照れたように腕を組む。


「……でも、あんたがあれだけ付き合ってくれたけん。お礼に、今日は特別にサービス……てことで♡」


「サービスのレベルがもはや違法なんよっ!!明日までに回復せん自信ある!!」


「ふふ。じゃあ、今度は――もっと“赤い”のにしてみようかな」


「やめて!?出血死するっ!!」


こうして――

優馬の鼻血は、乾く暇なく流れ続ける運命となったのであった。



霊界温泉で混浴事件!? 俺の魂が昇天する!


――翌日・夕方。白金荘201号室。


床には、乾いたティッシュの雪崩。洗面所は赤い悲鳴。

優馬、生命力ゲージ3割。


美鈴「ねぇ優馬。温泉、行かん?」

優馬「いや今の体力で湯入ったら、出汁になってまうけど?」

美鈴「大丈夫やけん。“霊界と現世の中間温泉”やし、湯ざましも早いし」

優馬「単語全部怖か!」


ピンポーン。

大家さん(低音)「201号室ー。最近ティッシュの消費量が異常っちゃけど…鼻風邪?」

優馬「(違う意味で風邪)…あ、はい、季節性鼻春です」

大家さん「春関係なか季節ね」

美鈴(見えたり見えんかったりの半実体)「……(そっとのれんの影へ)」

大家さん「今なんか透けたね?」

優馬「(終わった)」

大家さん「……若いってよかね(ニヤ)」


霊界連絡バス(片道:やばい)


運転手(半透明)「次はぁ〜“湯けむり結界前”、湯けむり結界前〜」

優馬「車内アナウンスの声、三重和音で響いとう…」

美鈴「二重じゃなくて三重。三途前仕様やけん」

優馬「語尾が怖い!」


車窓の外、鳥居が逆さに差し込んで、川が空へ流れてる。

優馬「物理法則、転職しとるやん…」


到着:「半分こ湯」(通称:ハーフ&ハーフ)


“右:現世エリア(のれん青)/左:霊界エリア(のれん白)/中央:混合渦”


注意書き:

・タオルは片側世界の物理しか纏えません

・見えていい線引きは自己責任です

・鼻血は各自で管理


優馬「最後の一文が斬新」

美鈴「ほら、これ着替え」

優馬「いやその“赤いの”はアカン!温泉やろ!もうちょい湯けむり寄りの布量ないと!」

美鈴「(にっこり)赤は血液リサイクル応援カラーやけん」

優馬「スポンサー付いとる!?」


湯けむり発生ギャグ①:タオル反乱


のれんをくぐる美鈴。半実体モードON。

タオル「さらば(フワァ…)」

優馬「タオルーーー!帰ってきてぇぇぇ!!」

美鈴「霊体にタオル、摩擦係数が0.04しか効かんとよ」

優馬「小数点やめぇ!」


慌てて“現世側タオル”を投げる優馬 → 現世タオル、美鈴の肩にだけピタ。

逆側はふよふよ浮遊。

美鈴「ファッションやん?」

優馬「片側だけ布は逆に刺激強いと!」


湯けむり発生ギャグ②:混合渦でのぼせ挙動


中央の“混合渦”が、コポコポ。

店内アナウンス「現在、霊圧3%上昇中。半透明注意」

優馬「半透明注意って何!?」

美鈴(ちょい透)「……ど、どげん?」

優馬「宇宙規模で似合っとる!!」

ぷしゅうううう(音速)

美鈴「鼻血の速度バグっとる!」


霊界管理人おばちゃん参上


おばちゃん(湯桶ドン!)「あーたたち!のぼせる前に水飲みんしゃい!」

優馬「助かります…(ごくごく)」

おばちゃん「で、そこの透けとうお嬢さん、のれん間違えとるばい。青-白-青の千鳥足やったやろ?」

美鈴「す、すみません…」

おばちゃん「若い二人はよかね。あったかい笑い出しよる。温泉はな、湯だけやなか。空気の温度が一番効くと」

優馬「(急に沁みる…!)」

美鈴「(目が潤む)」

おばちゃん「泣き目に鼻血は相性悪かけん、ティッシュは折ってから当てんしゃい」

優馬「実用情報ありがとございます!」


常連じいちゃん(成仏寸前)と雑談


じいちゃん(コポ)「若いのぉ。わしも昔、ばあさんにのれん間違えられての」

優馬「はは…うちも、よう間違えられてます」

じいちゃん「間違いは笑いに変えりゃよか。わしの最後の言葉も“タオルどこやった?”じゃった」

美鈴「最後それ!?(クスクス)」

じいちゃん「笑うてくれてありがとな。ほんなら、湯気の上で会おう」

ふわり、湯気に紛れて光粒。

美鈴「……あったかいね」

優馬「うん……」


(しんみり1分)


おばちゃん「はい、しんみり1分終了!若者はサービスショットから再開!」

優馬「切り替え秒」


クライマックス:混浴の誤解、全方位バグ


・現世客(女子グループ)が中央渦で写真:

「わ、え、今なんか映り込んだ!?」「半透明カップルやん!」

・霊界客(男子グループ):

「現世の青年、鼻から紅白幕出しとる!」

・おばちゃん、緊急放送:

「全エリアに告ぐ!“青春過多”につき、湯けむり濃度10%アップ!」

モクモクモクーー!

視界ゼロ!音だけピーピー!!

優馬「どこ!?美鈴どこ!?」

美鈴「ここー!(腕を掴む)」

すべる。

ドシャン(美鈴の胸元に顔ダイブ)

美鈴「きゃっ!」

優馬「ご、ごめん!物理演算ミス!」

おばちゃん「若さ警報レベルMAX!」


ぷしゅううううううう(過去最高記録)

掲示板:鼻血メーター:Sランク(祝)


ほっこり→即ギャグのフィニッシュ


湯上がり。ラムネ。ベンチ。

美鈴「……ねぇ、ありがと。うち、こうやって笑いよる時間、ほんと好き」

優馬「俺も……まぁ、命の前借り気味やけどな」

美鈴「じゃあ返してもらわなやね。一生分」

優馬「重たいこと言うなぁ…(でも嫌じゃない)」

美鈴「ほら、最後に――」

紙袋から真っ赤な何か。

優馬「待って!赤はダメ!赤はダメーー!」

美鈴ウインク「“情熱割”、本日最終便〜♡」

優馬「割引制度やったんか!!」


ぷっっっっしゅううううう!!!(今季ベスト)


――結論。

霊界温泉は保湿に良いが、鼻には悪い。





湯気がふっと薄くなった瞬間、月みたいに白い肌がのぞく。

美鈴の胸元――二つの丘が、湯のリムライトで柔らかく浮かびあがった。


優馬「っ……!」

(心臓、ドラムロールMAX。鼻、非常ベルMAX。)


美鈴、そっと目を合わせて、湯けむり越しに微笑む。

美鈴「……うち、優馬となら、よかよ」


間。

湯の音だけがコポ…コポ…と二人の間を埋める。


優馬「……本気で言いようと?」

美鈴「うん。こげん一緒に笑って、泣いて、支えてくれた人、初めてやけん」

優馬「……俺で、よかと?」

美鈴「あんたやけん、よかと」


指先がそっと触れて、手のひらが重なる。

湯気よりも熱い温度が、掌から心臓へまっすぐ上がってくる。


優馬「……じゃあ、行こ。無理はせんで。嫌やったら、すぐ言って」

美鈴「うん。嫌やない。むしろ――嬉しか」


ふたり、のれんの影――**家族風呂(個室)**の札へ向かう。

カタン、と内鍵。

湯気はやさしく、世界を狭くする。


美鈴「ねぇ、優馬」

優馬「ん?」

美鈴「……目、こっち向いて」


近づく。距離が1メートル→50センチ→キス直前。

――その時。


館内アナウンス「ピンポンパンポーン! 本日、湯けむり濃度が過度に青春成分を含有したため、恋愛注意報を発令します。職員はラムネとタオルを携帯して巡回してください」


優馬「このタイミングで!?」

美鈴「おばちゃん、空気読まんどって!」

(ドアの外)おばちゃん「読んどる読んどる!タオル二枚差し入れ〜!」


二人、思わず吹き出す。

笑いが落ち着くと、また静けさ。

見つめ合って、今度は誰も邪魔しない。


美鈴「……ね。改めて」

優馬「うん。改めて」


ゆっくり、そっと、キス。

湯とラムネの甘さが混じって、時間がとろける。


美鈴「……ありがとう」

優馬「こっちの台詞やけん」


抱きしめる腕。湯気の向こうで、世界がさらにやわらぐ。

(ここから先は、二人だけの会話。湯けむりが上手に目隠しをしてくれる。)


――しばらくして。


おばちゃん(小声・ドア越し)「若いの、水分補給は忘れんごとね。あと鼻血、折りティッシュで」

優馬「(笑)了解です」


湯上がり、並んでラムネ。

美鈴は肩にタオル、頬は湯上がりピンク。

優馬の鼻は――今日は奇跡的に、無事。


美鈴「……うち、幸せ」

優馬「俺も。――これからも、ゆっくりでよかけん。一緒に、進もう」


外に出ると、夕焼け。

現世と霊界の境い目で、二人分の影がちゃんと並んで伸びた。


美鈴「帰ろ。201号室へ」

優馬「うん。……あ、でもその前に――」


ぷしゅ。

美鈴「え、今?なに見たと!?」

優馬「夕焼け……と、二つの丘の残像」

美鈴「残像って言うなぁぁ!」


二人の笑い声が、湯けむり空に溶けていく。

――霊界温泉、これにて【恋愛注意報 解除】。

けれど、胸の高鳴りは、解除されそうにない。




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