表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽霊彼女はツッコミ大魔王  作者: リンダ
彼女いない歴=年齢の優馬と美人な幽霊みすずのドタバタ喜劇
2/170

お風呂で遭遇!?湯けむりの乱入者

2022年4月お風呂で遭遇!?湯けむりの乱入者


「ただいま帰りました~……」


会社帰りの優馬が、ぐったりと白金荘201号室のドアを開ける。


ネクタイはヨレヨレ、シャツは汗だく。

見上げる天井のシミが、なぜか今日はドクロに見える。


「はぁ~……この世にビールと風呂がなかったら、俺はもう死んどったかもしれん……」


ぐしゃっと脱ぎ捨てたシャツから、湿気を含んだ男の香りがふわり。


「……くっさ。俺、犬なら失神してるレベルやん」


足早に風呂場へ直行し、蛇口をひねって湯船を張る。

服を次々と脱ぎ捨て――


ジャバン。


「ああ……命が生き返る~……」


脱力しながら目を閉じる優馬。

だがその数分後。


キィ……


風呂場の扉が、ゆっくりと開いた。


「ふぃ~……やっぱり今日も暑かったっちゃね~……」


優馬「……ん?」


まぶたを開けた瞬間――視界に映ったのは、


タオルもまとわぬ、すっぽんぽんの美鈴。


しかも、ちょっと小首をかしげている。


「ちょ、ちょ、ちょっと待ったあああああぁぁぁああ!!??」


ザッパーーーン!!


「なんね!?」

「なんねじゃなかろーもん!!裸っ!!裸っ!!俺もっ!!君もっ!!ダブルで全裸っ!!」


「ちょ、落ち着きんしゃいって! こげん暑い日、幽霊でも汗かくったい! 背中びちょびちょたい!」


「いや、汗かくんかいっ!?ってか入ってくるならせめてノックしてぇぇええ!!」


「ていうか、あんたも裸やろ?おあいこやん?」


「おあいこじゃ済まされんっ!!ワンルームでこの密度は事件やけん!!」


慌てふためいて、湯船に沈む優馬。

その頭の上で、美鈴がふつうに桶で肩を流している。


「……霊でも風呂入りたくなる日ってあるっちゃねぇ」


「そもそも幽霊って、物理的に風呂入れるの!?なんで湯も流せるし桶も持てるん!?設定どこ!?」


「女の子には、見せられん設定もあるっちゃ♡」


「やめて!?意味深な言い方ほんとやめて!下半身が混乱しとるけん!!」


ぷいっと背を向けた美鈴は、そのまま湯船にざぶんと浸かり――

ぷはっ、と顔を上げた。


「……ん~、気持ちよか。人肌やね、あんたのお湯」


「やめろぉぉおお!?なんで俺の湯温が基準なん!?俺のパーソナルスペース返してぇぇ!!」


「なんか……ばり恥ずかしかったら、目、つぶっとってもよかよ?」


「違う、そうじゃないっ!問題の本質そこじゃないっ!!」


「じゃあどこたい?」


「俺が……俺が今、人生初の女湯シチュに突入しとるとこやあああぁぁぁ!!!」


「うるさっ(笑)ほんと、あんたアホやね……」


――湯気の中、肩を並べて浸かる男女。

片や汗と疲れを流す人間、片や成仏できぬ幽霊。


ふたりの間に、曖昧でくすぐったい時間が流れていた。



おまけ:風呂あがりの攻防


風呂から出た優馬は、バスタオルを腰に巻いて部屋へ戻ると――

そこにはドライヤーで髪を乾かす美鈴の姿。


「ふわぁ……ええ湯やった……。あ、優馬、背中のとこ髪の毛ついとるよ。取ってあげよっか?」


「もうやめてぇぇぇええ!!風呂上がりまで“リアル彼女み”出さんでぇぇ!!」


「リアルやないけん。うちは幽霊彼女♡」


「うっ……なんかそれ、ちょっと刺さるからやめて……!」


こうして――


優馬と美鈴の、一線ギリギリのドタバタお風呂事件は幕を閉じたのだった。


(※翌日、優馬は鼻血を出して会社に遅刻した)


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ