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幽霊彼女はツッコミ大魔王  作者: リンダ
彼女いない歴=年齢の優馬と美人な幽霊みすずのドタバタ喜劇
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特等席争奪戦の仁義なき戦い?

美鈴の誕生日、そして──夜の愛の時間と、その翌朝


美鈴の25回目の誕生日。

12月25日。街にはクリスマスイルミネーションがきらめき、優馬と双子の娘・光子と優子が用意したサプライズプレゼントが炸裂。


「ママ〜、おたんじょびおめでとう〜!」

(※正確にはまだ言葉にならないが、泣き笑いの表情とパチパチの手拍子で祝ってくれている)


美鈴は幸せを噛みしめながら、赤ワインを一口。

夜空には星が瞬き、家の中はぬくぬく。


──そして、子どもたちが寝静まったあと。


「なぁ、美鈴…誕生日の…続き、せん?」

「んふっ、やっぱそうくるっちゃね〜♡」


美鈴はふわりと黒のネグリジェに着替え、いつもの“悩殺ポーズ”で誘いかける。

優馬はもう鼻血ブー寸前。


「もう無理やて…これは犯罪や…!」


部屋には再び、愛と笑いが交差する空気が広がる。

くすぐり合いながら、ちょっとずつ服を脱がせあい、笑い転げ、そして…

やがて、二人は裸のまま、寄り添いながら、眠りに落ちていた。


──夜はふけ、朝がきた。


「…ん〜……さぶっ!?」

「…え?……キャー!なんで裸のまま寝とるん!?」


起きた二人、同時に大声。

案の定、のどがガラガラ、鼻水ズルズル。


「風邪やんこれ!完全に風邪やん!」

「愛の代償ってやつやね…って誰がうまいこと言えっちゅーねん!!」


朝からお互いにマスク姿でゴホゴホ。

ティッシュ箱を抱えながら、美鈴がぽつりと呟いた。


「……こりゃ、今日はダウンやね。娘たちは…うちの両親にお願いしよう」

「ほんとすまん。次からちゃんと毛布かけて寝ような」

「うん、今度からは“パジャマで愛し合う”ことにしよっか♡」


──こうして、風邪をひくほど愛し合った誕生日の夜は、また新たな“伝説の一夜”として語り継がれることとなったのだった。


もちろん、数日後に回復した美鈴と優馬が、再びラブラブな日常とツッコミギャグで復帰するのは言うまでもない。



ある日、夜中》


優馬が夜中にトイレに起きると…


「ひぃっ!?だ、誰か立っとる!?壁の中にっ!」


と思ったら、美鈴が寝ぼけて幽霊時代のクセで壁にすぅ~っと半分突っ込んでた!


優馬「って、今生き返っとるんやけん、壁すり抜けたらアカンてー!!」

美鈴「…あっ、ついやってもたぁ~!」



《ある日の家事中》


洗濯物を干そうとして、物干し竿の向こうに回りこもうとして…


ゴンッ!


「いった~~~い!!」と、柱に頭ぶつけて、たんこぶ


美鈴「昔はねぇ、ここ、すーって通れとったとよ?(遠い目)」

優馬「だから、今“物理法則”復活しとるけん!」

双子(ジト目):(またやった…)



《お風呂タイム》


優馬「じゃあ入ろっかー」

美鈴「先に入ってて、幽体離脱モードでスッと行くけん♪」

優馬「いやいや!もうそれ幽霊ちゃうやろ!?普通にドア開けて入ってきてー!」



…と、日常のふとした場面で、

つい幽霊だった頃のクセが出てしまう美鈴。


でも、それすらもツッコミどころ満載で、

笑い話になって、家族みんなの思い出になっていく。




光子と優子の初めての桃の節句


コチョコチョ大魔王ジュニア、桃の節句に降臨!


――3月3日、ひなまつりの朝。


「よっしゃーっ!今日は光子と優子の初節句ばいっ!」


優馬が気合いを入れて雛人形を飾ろうとしたその時、美鈴が真顔で言った。


「うちに7段飾りなんて置くスペースないけん。テレビの横にちょこっと置けるミニサイズで我慢して」


「えぇぇぇ!7段じゃなきゃ雛人形って感じせんやん!?」


「じゃあ、優馬が夜な夜な自分の部屋に7段並べて寝たらよかろーもん」


「こわっ!夜中にお内裏様と目合うの怖すぎやろ!!」


そんな夫婦の会話を聞いていた(はずのない)双子の姉妹、光子と優子は、まるで計画していたかのように、ふらふらと動き出した。


「おいおい、まだハイハイの途中やろ?そんな連携プレイ覚えたと?」


雛あられの入ったお皿の前で仁王立ち(?)していた優馬、突然、足の裏に「ふにゅっ」と柔らかい感触。


「くすぐったあああぁああああぁ!!!」


優馬、のけ反ってひっくり返る。


「や、やめて、やめて美鈴ぅぅぅ〜〜〜!今日は節句やけん、ちょっと落ち着こぉおおぉおぉ!!」


キッチンから美鈴がひょっこり顔を出した。


「は?うち、料理作っとったけん、何もしてないし?」


「じゃ、じゃあこのコチョコチョ攻撃は誰が……」


見下ろした先に、ドヤ顔の双子が。


光子は左足、優子は右足をしっかりと握りしめ、絶妙な指使いでコチョコチョしていた。


「えっ……!?ちょっと、まさか……お前たち、そんなコンビプレイを!?」


「うちの娘たち、1歳にもなっとらんのに、もう“コチョコチョ大魔王ジュニア”やね……」と美鈴が感嘆。


「うちの血、濃ゆかも……」


その後も、ひなまつりはドタバタの連続。


雛人形の前で家族写真を撮ろうとすれば、光子はカメラ目線で変顔、優子は雛あられを投げて優馬の鼻に命中。


「ふごっ!! なんでピンポイントで鼻穴にっ!?」


「さすがうちの娘たち……笑いの神が降臨しとる」


さらに午後には、じぃじとばぁばもお祝いに駆けつけ、家族全員で「ひなあられロシアンルーレット大会」開催。


「この中に1個だけ、ワサビ入りのひなあられがあるけん!」


「なにその高難度のお菓子……!」


ちなみに当たり(?)を引いたのは優馬。噛んだ瞬間、顔がサブちゃんばりに崩れ、


「北のぉ〜酒場通ぉりには〜っ♪」と、謎の演歌を口ずさむ始末。


「うちの婿殿、だいぶやられとるのぉ」と、美鈴の父は爆笑。


夜、ようやく落ち着いた頃。


「光子〜、優子〜、今日はありがとうね。初めての桃の節句、最高の思い出になったよ」


美鈴が笑顔で語りかけると、二人はそろって「ふえ〜」と眠そうな声を出しながら、ぱたんと倒れこむ。


「寝るのもシンクロかい!」


そして、寝室で布団にくるまりながら、優馬と美鈴は今日の出来事を振り返る。


「ねぇ……本当に、幸せすぎるよね」


「うん……でもたぶん、明日もなんかやらかすよ、この娘たち」


「いいよ、それがうちら家族の幸せのかたちやけん」


そっと電気が消えたあと、布団の中で小さく笑い声が響く。


そしてその夜――


布団の足元から、なぜか「ふにゅっ」


「ひゃあああああっ!?またコチョコチョされたああああぁああ!!」


「……あたしじゃないよ?(にやっ)」


光子と優子は、暗闇の中、静かに手を動かしていた。


コチョコチョ大魔王ジュニアは、今日も元気に活動中。


――こうして、この家族のドタバタ桃の節句は、笑いと鼻水と涙で締めくくられたのであった。



お風呂戦争!特等席は誰のもの!?」


夜――。今日も1日ドタバタ笑いに包まれた八幡家。


「さて、風呂入るばい~」と、美鈴がふたご姉妹を抱っこしながら洗面所へ向かうと、優馬がすでに湯船のチェックをしていた。


「よし、お湯の温度38.5℃!ベビーバス仕様、完璧ばい!」


「さすが、パパ歴1年やね〜。今日も頼りにしとるよ〜♡」


「その一言で、今日もわしは頑張れるばい!」


まずは優馬が光子を抱き、ざぶーんと湯船へ。


「はいはい〜光ちゃん、気持ちよかろ〜?」


ところが!


光子、湯に浸かるや否や――


じぃぃぃぃ……と無言のジト目で優馬を凝視。


「……ん?どしたん?そんな目で見んといてや……怖いやん……」


その瞬間、プイッと顔をそらす光子。

そして「うーっ、うーっ」と不満げなうなり声。


「えっ……もしかして、これ、イヤイヤ期……発動!?」


「うちの娘、情緒の起伏、早すぎん!? まだ1歳にもならんのに!」


慌てた優馬、美鈴を振り返って、


「み、美鈴ぅぅ〜〜〜っ!光子がぁぁあ!」


「ほらね〜、お母さんがいいって言いよるっちゃ」


と、余裕の微笑みで光子を受け取る美鈴。


すると光子――


美鈴の胸元にダイブ。


ぽふっ


「んふっ♡」


完全にニヤけ顔。

その様子を見た優馬、湯船の中で思わずのけぞる。


「ちょ、そこはおれの特等席やろーもん! 光子〜!それはパパのポジションばい〜!」


「はいはい、大人げなか〜。嫉妬しなさんなって〜笑」


続いて、優子が美鈴の腕の中へ。


優子もまた、ちゃっかり美鈴の胸に顔をうずめ、目を細めて恍惚の表情。


「うちの娘たち、完全に“おっぱい星人”認定ですなぁ……」


「そりゃあ、誰に似たと思っとると?」


「そりゃあ…お、おれか!?」


「そーいうこと♡」


美鈴がウィンクすると、優馬は再び鼻血ブー寸前。


「でも……後で、私のおっぱい、特等席、優馬にも空けとくけんね♡」


「……こ、今夜は風呂より、命の危機かもしれん……」


そんな色っぽいムードになる暇もなく、


「ぶくぶくぶく〜〜〜〜!」


優子が風呂でバタ足を始め、光子もそれに便乗。


洗い場は軽く洪水状態。


「ひええええ!洗面器が流れていった〜〜〜っ!!」


「わぁ〜優馬、シャンプーまで波に流された!」


「まてまて、これもう風呂っていうか、水族館のアトラクションやん!」


「きゃははは〜〜!!!」

「ふぇ〜〜〜!!」


ふたごの声が、湯気の中に響く。


結局、家族全員で湯船に浸かり、ふたごが美鈴の腕の中でウトウトしはじめた頃、ようやく落ち着きを取り戻す。


「やっぱりこの時間が一番しあわせやねぇ……」


「ほんとばい……笑って、ドタバタして、怒涛の1日やけど、全部が愛おしかねぇ」


その夜、寝室で。


双子を寝かしつけた後、優馬がぽそり。


「……光子と優子、毎日一生分くらい笑わせてくれるけど、やっぱ美鈴がいちばんやな」


「何言いよっと〜、また口がうまか〜。……でも、ありがと♡」


そして布団の中。


「さ、さっきの“特等席”の話、覚えとる?」


「……んふふ、今夜は……特別サービスしちゃろかい♡」


――またもや、鼻血注意報発令であった。



布団の仁義なき戦い 〜特等席争奪戦・夜の陣〜


風呂あがり、小倉家の夜は静かに——始まらなかった。


「ふぃ〜〜。今日もよ〜笑ったわ〜」

「なぁ、そろそろ寝るか。おれも今日は特等席、先に確保しとくけん!」


鼻息荒く布団に突撃する優馬。


だが、すでに布団の中心、美鈴の胸元には…


「すぅ…すぅ…」

「ふにゃ…ん〜♡」


すやすやと眠る双子姉妹・光子と優子の姿が!!


「……ちょ、まてまてまて!?なにこの神速占拠!?いつの間に!?ワープでもした!?」


優馬、ひざから崩れ落ちる。


「ふふっ。寝かしつけたらそのまま私のところに来てね〜、って言ったら、ふたりとも即答で『うん♡』って」


「言葉まだしゃべれんはずやけど!?念で会話しよるんか!?」


美鈴は嬉しそうに、子どもたちの髪をなでながら、


「やっぱり子どもって、お母さんのぬくもりが一番なんよね〜」


「いや、お父さんのぬくもりも捨てたもんじゃないと思うっちゃんけど!?」


優馬、布団の端で丸くなる。だが、負けてはいなかった。


「今日はな、ずっとこの日のために“湯上がりフワフワパジャマ”着てきたんや。ふわふわ対決で、おれにもチャンスあるっ!」


と鼻息荒く参戦しようとしたその時——


光子「ぷきゅ〜♡」

優子「ふにゃっ♡」


ふたり同時に、寝返りドーン! なんと美鈴の両サイドに張り付く形でがっつりガード!!


「ダブル防御壁っ!?……くっそぉぉ、完全におれの行き場がないやんかああ!」


優馬、まさかのノーチャンス。


美鈴はくすくす笑いながら、手招きする。


「じゃあ…優馬、ここ」


「どこ!?」


「足元♡」


「おれ、ペットポジションやんけ!!」


が、それでも諦めないのが父・優馬。


静かに、すきま風のように入り込み、美鈴の足にピタリとくっついた。


「ここや。今日の特等席は…“ママのふくらはぎ”や…!」


「せ、切ない…!」


こうして、夜の特等席も無事(?)姉妹に譲り、優馬は足元でふくらはぎの温もりに包まれながら眠りにつくのだった。


だが、その背中にはどこか満足そうな微笑みが。


(……この家族の真ん中におれることが、いちばんの特等席やけんね)


──ドタバタしつつも、ちゃんと愛が詰まった、小倉家の夜の一幕であった。



特等席争奪戦・第二夜 〜父の逆襲!?〜


翌朝――

優馬は、ふとんの端っこで丸まった状態で目を覚ました。


「……首いてぇ……あれ? 昨日の夢じゃなかったっちゃね……」


ふと見れば、美鈴の胸元には、今日も仲良くぴとっと張り付く双子の娘たち・光子と優子。


「ま、負けた……また完敗……!」


そしてその日の昼下がり、優馬は決意する。


「よし……今夜こそ、特等席はおれが取る。作戦名――“胸の谷間奪還作戦”や!」


 


優馬、密かに行動を開始。


①【ぬくもり作戦】

新品のもふもふパジャマに着替え、体温をちょっと高めに保温。

→「……ふわふわすぎて逆に暑いんやけど!?」


②【お先に潜り込み作戦】

子どもたちよりも30分前に布団に入り、美鈴の胸に自ら陣取る。

→「……気づいたらおれの上に二人が寝とる!?布団がジャングルジム化しとるやん!」


③【ぐずり誘導作戦】

夕食後、光子と優子を遊び疲れさせて、抱っこで寝かしつける流れを作る。

→「ぐずっておれの首に両腕巻きつけて離さんやん!?寝かしつけ失敗やん!逆におれが寝かされよるやん!」


――結果、惨敗。二夜連続で、胸元争奪戦に敗れた父・優馬。


美鈴「ふふっ、今日も光子と優子の勝ちやね〜」


優馬「……くぅぅ、またおれの特等席が……」


 


そして夜。部屋が静まり返り、娘たちがすやすやと眠りに入る。

その横で、ひとり寂しそうに、ふとんの隅っこで体育座りする優馬の背中。


そんな彼に、美鈴がそっと声をかけた。


「……優馬、今なら空いてるよ?」


「えっ?」


「ちょっとだけ……特等席、あけといた♡」


「!!」


がばっと布団に飛び込んでくる優馬。

そして美鈴の胸に、そっと顔をうずめる。


「……やっぱりここが、いちばん幸せやわ……」


「ふふっ、あんた、ほんっとに胸好きよね〜」


「美鈴の胸はな、ただの胸やない。帰る場所やけん……!」


「名言ぶるなっちゃ!」


――しかし、今夜ばかりは美鈴も文句を言わず、そっと優馬の髪を撫でながら、一緒に眠りにつく。


小さな寝息が重なる、静かな夜。


その後、優馬の顔の上に寝返りを打った光子の手がドーン。


「んごっ!?ぐふっ!」


……三夜目にして、優馬の特等席は、再び強奪されるのであった。


──それでも、笑いと愛に包まれた、小倉家の幸せな夜の一ページ。


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