落研入部希望
2034年夏・福岡新生活準備 ~未来への決意と家族の支え~
夏の強い陽射しが福岡の街を照らす中、福岡市内の不動産会社のオフィスに、美香、優馬、そして美鈴の三人が並んで座っていた。
外の蝉の声が窓越しに響き、暑さが室内にも伝わるが、空調の効いた部屋は快適だった。
不動産屋の担当者が資料を開きながら話し出す。
「こちらのマンションは博多駅から徒歩約7分で、通勤に便利です。築年数も浅く、防音もしっかりしているので、楽団員の方にもおすすめです」
美香は資料の写真をじっと見つめながら、未来の生活を思い描いていた。
「こちらの物件は、少し郊外になりますが、静かで落ち着いた環境ですよ。仕事終わりにリラックスできるかもしれません」
優馬が口を挟む。
「博多の家から通ってもよかっちゃない? 心配せんでいいけん」
美香は微笑みながらも、視線を外さずに応える。
「お父さん、家から通うのは確かに安心やし気楽やけど……わたし、これから社会人になるわけやん? いつまでも親の脛をかじってばかりじゃいけんと思うとよ。ちゃんと自立して、自分の生活基盤をつくらんといかん」
美鈴も優しく微笑みながらうなずく。
「美香らしいね。しっかりしてる。私たちも応援するよ」
担当者もそれを聞いて、にこやかに言葉を重ねた。
「そういう決意を持っておられる方なら、どの物件を選んでも、素敵な新生活になると思いますよ」
会話の合間に美香は少しだけ照れくさそうに笑い、でもどこか凛とした表情を見せた。
「博多に戻る日が近づくにつれて、緊張もするけど、楽しみな気持ちのほうが大きいです。大好きなこの街で、新しい一歩を踏み出せるのは幸せなことやけん」
優馬はしみじみと言った。
「おまえがこうして、自分の人生に責任持とうとしているのを見て、ほんとに頼もしいよ。親として誇りに思う」
美鈴も、目を細めて言葉を添えた。
「いつでも家は帰ってきてよかけど、あなたの足でしっかり歩く姿を楽しみにしてる」
三人は笑い合いながら、資料を片手に物件の間取りや周辺環境の話を続けた。
不動産屋の担当者が、「最後に何かご質問はありますか?」と優しく聞くと、
美香は、「新しい生活に向けて、仕事もプライベートも充実させたいです。自分のペースで、でもしっかり社会人としてのけじめもつけられるような暮らしにしたいです」と真剣に答えた。
優馬はその言葉に笑みを浮かべながら、「その覚悟があれば、どんな壁も乗り越えられる。家族みんなで支えるけんね」と励ました。
その日の帰り道、三人はゆっくりと歩きながら、これからの未来の話に花を咲かせた。
美香は確かな決意と希望を胸に、博多の街を見つめていた。
小倉家・帰宅シーン:双子ちゃんの熱烈ギャグコントで大歓迎!
玄関のドアを開けると、リビングから賑やかな笑い声が響いてきた。
「おかえりなさ〜い!」
双子ちゃんが元気いっぱいに声を合わせて出迎える。光子はポニーテールを揺らし、優子はツインテールで、二人とも満面の笑みだ。
優子が勢いよく走り寄り、
「今日の電車でな、酔っぱらいおっさんに絡まれた話、ばっちり漫才にしてやったったい!」
光子も負けじと、
「そのおっさんのセリフがもうフニャフニャで、『飲みに行こうや〜』って言いながら言葉迷子になっとったばい!」
二人はリビング中央で即興コントを始める。
光子(おっさん役):「おい、飲みに行こうや〜」
優子(優子役):「あんた、酔っぱらって言葉迷子になっとるやん!」
光子:「いやいや、うちの脳みそも迷子やけん!」
二人の掛け合いに、美香は笑いをこらえきれずに、ソファに腰を下ろす。
「さすが、うちの双子ギャグコンビやね」と美香。
優子はにっこりと、「お姉ちゃん、また楽しい話いっぱい聞かせてね!」
光子も元気よく、「明日ももっとおもしろいネタ作るけん、楽しみにしとって!」
家族の笑い声がリビングに満ち、今日の疲れも一気に吹き飛んだようだった。
夜も更け、リビングの灯りがほのかに揺れる中、美香はスマホを手にソファに座っていた。
すると、画面に通知が表示される。
「アキラからメッセージが届きました」
画面を開くと、アキラからのラインが見えた。
【アキラ】
「物件探しはどうやった?良いとこ見つかった?」
美香は微笑みながら返信を打つ。
【美香】
「うん、家族と一緒に不動産屋さん行って色々見てきたよ。駅近で便利なところがあって、でも自立するためにちゃんと自分の場所を持とうと思ってる」
【アキラ】
「さすがやね。社会人としてのけじめ、大事やけん。福岡戻ってきたら、また一緒に音楽やろうな」
【美香】
「うん、楽しみにしてる。ありがとう、いつも応援してくれて」
美香は返信を送り終え、ほっとした笑顔を浮かべた。
7月の早朝散歩 — 双子ちゃんの夢と未来への一歩
朝の空気はひんやりと澄み渡り、まだ人影まばらな博多の街を、光子と優子は元気に歩いていた。
「美香お姉ちゃん起きた?早くおいでよ〜!」優子が大きな声で呼びかけると、少し遅れて美香が笑顔で現れた。
三人は並んで歩き始める。朝日に照らされた街並みは、まるで新しい一日の始まりを祝福しているようだった。
「朝の散歩って、気持ちいいね!」光子が目を輝かせて言う。
「そうやね。なんか、一日がもっと長く感じる気がする」優子も嬉しそうに頷く。
美香は二人の明るい表情を見つめながら、穏やかな笑みを浮かべた。
「ところで、双子ちゃんは将来どんな夢を持っとると?」美香が問いかける。
光子は少し考えてから、はっきりと言った。
「わたしは、みんなを笑わせられる人になりたい!どんなに辛くても、笑顔でいられるように、笑いの力で支えたい」
優子も負けじと話す。
「わたしは、やさしか子になりたい。困っとる人を助けて、みんなが安心して暮らせるようにしたいと」
美香は感心し、二人の夢をしっかり受け止めた。
「素敵な夢やね。二人とも、自分の道をしっかり持ってて、これからが楽しみや」
光子が元気よく笑い、
「お姉ちゃんも、音楽でみんなの心を動かすって夢、絶対叶えてね!」
優子が優しく手を振りながら、
「うちらも応援しとるけん、いっしょにがんばろうね!」
三人は朝の光の中で、未来へ向けて新たな一歩を踏み出したのだった。
7月の早朝散歩・部活動の夢 — 双子ちゃんの落研への想い
朝の爽やかな風が頬を撫で、博多の街は静かに新しい一日を迎えていた。
美香、光子、優子の三人は並んで歩きながら、未来の話に花を咲かせていた。
しばらく歩いたところで、美香がふと立ち止まり、双子ちゃんの方を見つめた。
「もうすぐ中学生やけん、部活のことも考えとると?」
光子は少し照れくさそうに目を伏せたが、やがて小さな声で答えた。
「わたしは、落研に入りたいなぁと思っとるとよ」
優子もすぐに顔を輝かせて、
「うちも落研! 笑いでみんなの心ば元気にしたいけん」
美香はその言葉に心から微笑み、
「さすが、ファイブピーチ★の双子ちゃんやね。学校でもみんなを笑顔にできるように頑張りや」
光子が背筋を伸ばして言った。
「落語は、ただ笑わせるだけやなくて、人の心に響く話や教えもあるとよ。わたしは、そういう話を自分の言葉で伝えたい」
優子も頷きながら、
「うちも、優しさや思いやりの気持ちをみんなに伝えたい。笑いの中にそういう大切なものがあると信じとるけん」
美香は感心して言葉を紡いだ。
「二人とも、ほんとにしっかりしとるね。落研は人前で話す力もつくし、コミュニケーションも学べる。きっと素敵な活動になるよ」
光子が顔を上げて、
「わたし、緊張もするけど、みんなの前で笑いを届けることが楽しくてたまらんと」
優子は元気よく、
「笑いは、辛いことや悲しいことば忘れさせてくれる力があると。だから、うちたちはそういう力を持つ人になりたい」
美香はその純粋な想いに胸を打たれ、
「それでこそ、双子ちゃんや。中学でもお互い支え合って、楽しい部活生活を送ってね」
三人はまた歩き始めた。朝の光の中で、双子ちゃんたちの未来への夢が静かに輝いていた。
朝の陽だまりとモーニングコーヒー、そして樹里の訪問
爽やかな朝日が窓から差し込み、小倉家のキッチンとリビングは穏やかな空気に包まれていた。
「朝から運動すると、お腹がペコペコになるばいね!」光子がにっこり笑いながら、食卓のパンを頬張る。
優子も元気いっぱいに、「うちも!朝から食欲旺盛やけん、たくさん食べんと力が出らん!」と言いながら、大盛りのスクランブルエッグをおかわりしていた。
美香はそんな二人を見て、感心したように笑う。
「双子ちゃんはほんとに食べ盛りやね。元気な証拠やね」
食後、三人はテーブルに並べたコーヒーカップを手に取り、モーニングコーヒーの時間。
光子が笑いながら言う。
「昔は『違いがわかる男のゴールドブレンド』ってCMがあったけど、うちらは『違いがわかる双子ちゃん』やもんね〜」
優子もコーヒーをすすりながら、「砂糖は入れんばってん、牛乳だけ入れると完璧やとよ」
美香は微笑みながら、「さすが、こだわりの双子ちゃんやね」と言い、三人でカップを重ねた。
その後、宿題を手早く済ませてリビングでのんびり過ごしていると、玄関のチャイムが鳴った。
「ピンポーン」
「誰やろ?」と優子が立ち上がり、ドアを開けると、笑顔の樹里が立っていた。
「おはよう!今日もいい天気ね。ちょっと遊びに来たよ」
双子ちゃんは嬉しそうに「樹里ちゃん、来てくれたとね!一緒に遊ぼうや!」と歓迎し、家の中に招き入れた。
美香も笑顔で、「樹里ちゃん、久しぶりやね。ゆっくりしていってね」と声をかけた。
こうして、にぎやかであたたかな一日が始まったのだった。
小倉家リビング・女子四人の恋バナトーク
リビングの窓からは、初夏の柔らかな日差しが差し込み、四人の女子はゆったりとソファに並んでいた。
樹里が笑顔で切り出す。
「ねぇねぇ、みんなさ、恋バナってする?」
優子が手をたたきながら、
「するする!うちたちも小学校最後やけん、気になる男子の話とかいっぱいあるとよ」
光子もにっこり笑って、
「うちはね、みんなの話聞くのが楽しいっちゃけど、ちょっと恥ずかしいけど好きな人おるとよ」
美香は微笑みながら、
「恋バナかあ…大学のときはすごく話題になったなぁ。みんなそれぞれの恋の悩みや嬉しい話で盛り上がってたよ」
樹里がニヤリとした顔で、
「誰か気になる人おると?」
光子は顔を赤らめつつ、
「秘密やけど、クラスの中でちょっと気になる人がおると」
優子は得意げに、
「うちはね、明るくて優しい男の子が好き。友達にも相談したりして」
美香はちょっと照れた様子で、
「私も昔は好きな人のことでよく友達と語り合ったなぁ。恋は青春のエッセンスやけん、大切にしたらいいよ」
樹里はうなずきながら、
「そうよね、恋って楽しいことばかりじゃないけど、すごく大事な経験だもんね」
四人は時に笑い、時に真剣な顔をしながら、お互いの恋の話に花を咲かせた。
優子が冗談っぽく、
「でも、恋の悩みはお笑いのネタにもできるけんね!」
光子も笑って、
「それが私たち、ファイブピーチ★の強みやけん!」
美香も軽く笑いながら、
「笑いと恋バナ、最強の組み合わせやね」
そんな和やかな空気がリビングを包み、女子四人の心がほっこりと繋がった午後だった。
リビングのソファに座った四人の女子は、恋バナに花を咲かせていた。
ふと、光子が笑みを浮かべて、樹里に目を向ける。
「ねぇ、樹里ちゃん、誰か好きな人おると?」
樹里は一瞬ハッとしたように目を見開き、顔がみるみる赤くなっていった。
「えっ……まぁねぇ……」と、恥ずかしそうに小さな声で答えた。
それを見逃さなかった優子が、にやりと笑いながら、
「ほら〜、やっぱり!好きな人おるんやん!」
光子も続けて、いたずらっぽく言った。
「さては、誰か好きな人おるの確定やね〜」
樹里は照れ隠しに、軽く笑いながらも、
「もう、ばれたやん…でも秘密やけん、あんまり言わんといてよ」
美香も優しくフォローしつつ、
「そうやね、秘密は大事やけんね。でも、恋は楽しいもんよ」
双子ちゃんは満足そうににっこり笑い、
「うんうん、恋は心がキラキラするばい!」
部屋には、青春の甘酸っぱい空気がふんわりと漂い、四人の距離がまた少し近づいたようだった。
リビングの空気が一転、双子刑事モードが発動した。
光子はぴたりと樹里の前に立ち、両手を腰にあてて鋭い目つきで言う。
「樹里ちゃん、好きな人がおるって言ったばってん、誰とね?」
優子も隣にぴたりと寄り添い、腕組みをして真剣な表情。
「うんうん、そこば教えてくれんと、わたしたちが許さんばい!」
樹里は思わず顔を伏せて、声も小さくなる。
「もう、双子刑事さんたち、そんなに責めんでよ…秘密ばい」
光子は少しだけ声のトーンを落としつつも、
「刑事はな、嘘つきは許さへんけんね。隠し事はバレバレばい」
優子がニヤリと笑い、
「秘密やけど、うちらには全部教えんとね。あとで『知らんかった〜』って言われたら、事件が解決せんけん」
樹里は苦笑しながらも、
「もう…わかった、わかった。ちょっとだけよ」
そこから、笑いを交えつつも、樹里の口から少しずつ好きな人の話がポロリとこぼれはじめるのだった。
リビングの空気が少し和らぎ、樹里は少し照れくさそうに口を開いた。
「好きな人は、植木一郎くんやけん」
光子と優子は顔を見合わせて、興味津々に耳を傾ける。
「植木くんは、1組におる男の子で、背が高くてすらっとしとるとよ。ミニバスケットボール部に入ってて、いつも元気いっぱいや」
樹里の声には、ほんのりと嬉しさが混じっていた。
「何度か話す機会があって、そのうちに少しずつ意識するようになったと。まだまだドキドキするけど、気持ちは本物やと思う」
優子が微笑みながら、
「いいやん、植木くんってかっこよさそうやね!」
光子も嬉しそうに、
「ミニバスやけん、運動神経も抜群なんやろな。樹里ちゃんのハート、がっちりつかんどるばい!」
樹里は少し照れながらも、
「うん、まだまだこれからやけど、がんばって自分らしく接していきたいな」
美香も温かく微笑み、
「恋は自分らしさが一番大事やけんね。応援しとるよ」
四人の女子の間に、ほのかな初恋の輝きが広がった。
午後の穏やかな陽射しが窓から差し込む小倉家のリビング。
玄関のチャイムが鳴り、優子がドアを開けると、そこには少し緊張した様子の久保田朱里が立っていた。
「朱里ちゃん、来てくれてありがとう!」と光子がにっこり笑いながら声をかける。
朱里は小さくうなずきながら、照れくさそうに入ってきた。
「うん……今日はありがとう。みんなと話せて、少し気が楽になった」
優子も優しく手を差し伸べ、
「うちたちも嬉しいよ。無理せんで、ゆっくりしていってね」
リビングには笑顔が広がり、朱里も少しずつほぐれていった。
美香もそっと声をかけ、
「朱里ちゃん、ここは安心して過ごせる場所やけんね。何でも話してよ」
朱里は感謝の気持ちを込めて微笑み返し、
「ありがとう。うち、もっと強くなれる気がする」
双子ちゃんの温かな誘いで、朱里は少しずつ自信を取り戻し、また新しい一歩を踏み出すのだった。
リビングでの話の中、朱里は少し声を震わせながら口を開いた。
「実はね、あのときのこと…」
朱里は深呼吸してから続ける。
「となりの男子の消しゴムがなくなったんよ。そしたら、ある日、私の机の中からその消しゴムが見つかったと」
彼女の声には困惑と怒りが混じっていた。
「でも、私は絶対に他人のものを取るようなことはしていない。誰かが悪意を持って私の机の中に入れたんじゃないかって思うと」
涙がじわりと目に溜まり、言葉が詰まる。
「なんで、私が疑われなきゃいけんの?何度説明しても、誰も信じてくれんと」
朱里は小さく肩を震わせた。
「結局、私は犯人にされて、いじめられるようになったんよ。話しかけても無視されたり、嫌なこと言われたり」
彼女の言葉は痛みと孤独をはっきりと伝えていた。
「ほんとは、私、ただ普通に学校生活を送りたかっただけやのに」
静かなリビングに、朱里の苦しみが重く響いた。
【寸劇スタート】
リビングの一角に「双子刑事」と書かれた簡単な看板が置かれ、光子と優子がきりっとした表情で朱里の隣に立っている。
光子(刑事役):
「久保田朱里さん、あなたがいじめられた原因の消しゴム事件、真相を明らかにするために私たち双子刑事が登場したばい!」
優子(相棒刑事役):
「そうばい! 犯人をあぶり出すまで、私たちは絶対に諦めんけんね!」
朱里(証言者役):
「お願いします…ほんとに私は何もしてないのに、疑われて辛かった」
光子:
「それがな、誰かが悪意を持って消しゴムを朱里ちゃんの机に入れた。真犯人は逃がさんばい!」
優子:
「さて、あの男子たちの中で怪しい人物は誰かね?」
朱里:
「たしか、よく私に嫌味言ってた佐藤くんが怪しい気がする」
光子:
「佐藤くんか…じゃあ、呼んでみよう!」
(軽快な足音とともに「佐藤くん役」が登場)
優子:
「佐藤くん、朱里ちゃんの机に消しゴムを入れたのはあんたか?」
佐藤くん(気まずそうに):
「え、いや、そんなことしてないよ…」
光子(鋭く):
「ウソはつかんでよか!証拠はあがっとるけん、白黒つけんばい!」
優子:
「もし本当なら、正直に話して謝るとよか。みんな仲良くせんと、学校は楽しくならんけん」
佐藤くんはしばらく黙っていたが、やがてしゅんとした顔で、
「ごめん…実はちょっとからかうつもりでやったんだ。朱里が嫌がるとは思わなくて…」
朱里は少し驚きながらも、穏やかな声で言った。
「謝ってくれてありがとう。でも、もう二度とそういうことはしないでね」
光子と優子はにっこり笑い、
「これで事件解決や!みんなで仲良くしようね!」
佐藤くんもうなずき、
「うん、これからはちゃんと仲良くするよ」
朱里も笑顔になり、
「ありがとう、みんな」
【寸劇終了】
リビングの柔らかな日差しの中、朱里はソファに静かに座り、ゆっくりと話し始めた。
「正直言うと…あのとき、ほんとに傷ついたんよ」
声は震えていたが、少しずつ言葉を紡いでいく。
「消しゴムがなくなって、私の机の中から見つかった時、何がなんだかわからんかった」
「絶対に他人のものを取るようなことはしてないのに、みんな私がやったって疑った」
涙がゆっくり頬を伝い落ちる。
「何度説明しても、誰も信じてくれんとよ」
「毎日、教室に行くのが怖くて…話しかけても無視されたり、陰口言われたり、笑いものにされたり」
「自分が悪いんじゃないかって、だんだん思えてきて…でも、それは違うって頭ではわかってるけど、心はボロボロやった」
肩を震わせながらも、少しだけ強くなろうとする意志が伝わった。
「そんな中で、双子ちゃんたちが私の話をちゃんと聞いてくれて、否定せずに信じてくれた」
「それがどんなに救いだったか、言葉じゃ言い表せん」
朱里の目には、少しずつ希望の光が差し込んでいた。
「だから、もう一度前を向いて、自分らしく笑っていきたいって思えるようになったとよ」
リビングには静かな共感と温かさが満ちて、みんなの心がひとつになった。
【リビングにて】
光子と優子、朱里、そして佐藤くんが向き合って座っている。
朱里が静かな声で話し始めた。
「佐藤くん、あのときのこと、ただの冗談やったって聞いたけど…」
佐藤くんは申し訳なさそうに下を向く。
朱里は続ける。
「でも、その軽い気持ちでやったことが、私をどれだけ傷つけて、苦しめたか…わかっとる?」
佐藤くんは言葉に詰まる。
光子が真剣な眼差しで言葉を紡ぐ。
「誰かを傷つけるってことは、軽いことじゃない。たとえ悪気がなくても、結果は同じやけんね」
優子も続ける。
「軽い気持ちでやったことが、相手の心に大きな傷を残す。だから、ちゃんと向き合って反省することが大事やと思うとよ」
佐藤くんはうなずき、
「本当にごめんなさい。もう二度とそういうことはしません」
朱里は少し柔らかく笑みを浮かべて、
「ありがとう。これからは、みんなが楽しく学校生活を送れるようにしたい」
光子と優子も笑顔で、
「そうやね!みんなで仲良くせんと、学校は楽しくならんけん!」
部屋には和解と前向きな気持ちが満ちていた。
【リビング・ギャグコント劇場 開幕】
光子:
「さあ、ここからはファイブピーチ★のギャグコント劇場ばい!台本無し、ぶっつけ本番やけん、朱里ちゃんも佐藤くんも強制参加やー!」
優子(笑いながら):
「逃げられんよー!みんなで大爆笑の時間ば楽しもうや!」
朱里(戸惑いながらも笑顔で):
「えー!?私も?ま、まあ、やってみる…」
佐藤くん(苦笑しつつ):
「しょうがないなぁ…でも、面白そうやん!」
光子が即興でネタ振り。
「じゃあ、佐藤くんは酔っ払いのおっさん役やけん!セリフは『ワシの消しゴム、どこいったんやー!』や!」
優子は朱里に振る。
「朱里ちゃんは、それに怒る駅員さん役!『ここは酔っ払い、降りてください!』って言うとよ!」
三人の軽快な掛け合いに、美香もニコニコしながら見守る。
佐藤くん(酔っ払い役で大げさに):
「ワシの消しゴム、どこいったんやー!あんな小さいの、見失うなやー!」
朱里(駅員役でキリッと):
「ここは酔っ払い、降りてください!迷惑ばかけんとって!」
光子:
「消しゴムで酔っ払いになるとか、どげんねー!」
優子:
「消しゴムが酔うとは、うちらも知らんやったばい!」
全員爆笑し、和やかな空気がリビングを包む。
光子が笑顔で、
「こんな感じで、笑いはみんなの心をつなぐばいね!」
優子も大きくうなずき、
「これからもみんなで笑い合っていこう!」
【夕暮れの小倉家前】
ギャグコント劇場の笑い声がまだ響く中、朱里は少し明るくなった表情で家路についた。
心の中の重りが少しずつ軽くなり、胸の奥に小さな希望の灯がともっているのを感じていた。
「私、これからもっと強くなれる気がする」
そう呟きながら、家のドアを開けて中に入った。
一方、その頃、佐藤くんは双子刑事のもとへ再び呼び出されていた。
光子と優子は真剣な顔で、しかしどこか楽しげに彼を問いただす。
「佐藤くん、今回のことは本気で反省しとるとね?」
「嘘は許さんけん、ちゃんと言わんばい!」
佐藤くんは汗をかきながらも、真剣に頭を下げる。
「はい…本当に反省してます。二度と迷惑かけません」
優子が最後に言い放つ。
「わかった。けど、これからはみんなのことを思いやる男にならんばいよ!」
佐藤くんはうなずき、足取り軽く帰っていった。
夕暮れの街に、少しずつ平和な空気が戻ってきていた。