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幽霊彼女はツッコミ大魔王  作者: リンダ
彼女いない歴=年齢の優馬と美人な幽霊みすずのドタバタ喜劇
15/176

ただいま。そしてありがとう。

2023年8月〜12月八幡、幼稚園に降臨!?ツッコミ大魔王、美鈴の黒ビキニ制裁!』


ある日、美鈴がいつものように園児に囲まれて笑いの渦を巻いていたその時――

園長先生が職員室で言った。


「今週から実習生が来ますけぇね〜。名前は……八幡 陸斗くん言うとる」


美鈴:「ん……今、なんち言った!?……陸斗?」


園長:「えぇ。八幡 陸斗くんって福大の教育学部の学生さんで――」


美鈴:「やばっ、来たっ!!来てしもうたっ!!配達のアイツがっ!!!」


優馬にメッセージを送ろうかと思ったが――

その前に、玄関から元気よく現れる見慣れたあのキラースマイル。


「こんにちは〜っ!今日からお世話になりますっ!八幡 陸斗ですっ!!」


子どもたち:「わ〜!イケメンせんせーだー!」


美鈴(心の声):「あかん……園児に好かれとる……!このままじゃ、第二のコチョコチョ大魔王が育ってしまう……!」



【作戦決行:黒ビキニ&黒ブラ大作戦】


優馬にLINEを入れる。


美鈴《緊急事態発生。アイツが来た。今すぐ例の衣装出しといて。》


優馬《え。どれ?》


美鈴《黒ビキニ&黒ブラのコンボよ。やるしかない。》


優馬《……また鼻血出る案件……》


帰宅後――

夜。八幡陸斗が忘れ物を取りに園に戻ってきたところで、

待ち構えていたのは、黒ビキニに黒ブラ、美鈴 in 実体化モード!


陸斗:「うわぁあああああああ!!!また出たああああ!!っていうか!!!まじでビジュ最強じゃないっすか!?!?」


美鈴:「おまえ、ほんまに懲りん男やね!!」


陸斗:「あっ、これ夢かもしれん…じゃあお願い、記念写真だけ――」


\パァン!!/(ブラのホックをパチン!)


陸斗:「ぶふぉっ!!!」(鼻血吹いて昇天)


優馬(後ろから登場):「……霊界直行チケット、片道やけんね」



【翌日】


園長:「あら、八幡くん、実習辞めるって言ってきたわ〜。理由は“人生を見つめ直すため”らしいわよ」


美鈴:「見つめ直すもなにも、黒ブラで直視できんようにしたからねぇ……」


優馬:「おまえが一番ホラーやったわ……でも、ありがとう」


美鈴:「ふふ。ま、あたしだけのボケ担当は優馬やけん♡」



おまけ:美鈴語録 in 実習撃退モード

•「こっちはツッコミ大魔王たい!実習生の妄想ぐらい、ツッコミ一閃じゃいっ!」

•「ビキニは見せるためやなく、撃退するために着る時代ったい!」

•「ツッコミと美貌で、園児も大人も沈黙させたるわっ!」




ただいま、そして――ありがとう。


「ねぇ、今日はさ……あたしがごちそうするけん」


そう言って、美鈴はちょっと照れた笑顔で、優馬の腕をギュッと掴んだ。


「え、なんか悪い気もするけど……」


「よかとよ。今日、給料日やったっちゃけん。あたしが復帰して初めてのお給料。優馬に、ありがとうって言いたくてさ」


少し頬を赤らめながら、言葉を続ける美鈴。


「優馬にはずっと支えてもらったし、笑わせてもらったし、鼻血も出してもろうたし、コチョコチョも……まあ、色々あったやん?」


「だいたい笑いと鼻血とコチョコチョやん、それ」


「ええやん、それがうちらの夫婦の証やけん!」


二人は笑い合いながら、キャナルシティのイルミネーションが煌めく街へと歩き出した。光子と優子は美鈴の実家に預けてきた。今日は久しぶりに“大人だけ”の時間。



向かったのは、地元で評判のもつ鍋専門店。

博多の冬の味覚、プリプリのもつと、たっぷりの野菜、そしてにんにくと唐辛子の香りが食欲をそそる。


「はぁ〜っ、やっぱもつ鍋って、身体に染みるっちゃねぇ」


美鈴が嬉しそうに箸を動かす姿を見て、優馬も自然と笑みがこぼれる。


「ほんま、元気になってよかったわ。こうして一緒に、鍋つつけるなんてさ……夢みたいや」


「夢じゃないよ。現実よ。ほら、湯気で顔もテカテカなるくらい、現実


「いや、それは認めたくない現実やけども……」


「ほんなら、スープで顔洗う?」


「アカンて!」


また笑いが弾けた。



鍋を食べ終わり、店を出る頃には、外はすっかり夜の帳。

キャナルシティの中央ステージでは、クリスマスソングが流れ、イルミネーションが水面に揺れていた。


「わ〜っ、きれい……!」


美鈴が嬉しそうに、両手を広げてくるくる回る。その姿を見て、優馬はカメラを取り出す。


「……今の一瞬、めっちゃ綺麗やった。やっぱ撮っとけばよかったー」


「え、あたしのこと撮りたかったと?」


「うん。あれは完全に霊界遺産級のワンシーンやったけん」


「なーんそれ〜〜、でもうれしい……」


にっこり微笑んで、そっと優馬の手を握る美鈴。

そのまま手を繋ぎながら、街を歩く二人。すると、目の前の段差でつまづいて、美鈴が前のめりに!


「ひゃっ!?……って、いった〜〜!!」


「お、おでこぶつけた!?」


「イルミネーションに夢中で段差が目に入らんかったっちゃ〜〜!」


「ま〜た、たんこぶできるで〜!」


「ちがうったい、今日は記念たんこぶ!」


「そんな記念いらんて!」



その夜、冷えた身体を温めようと、帰宅してすぐに二人でお風呂に。


「やっぱ風呂が一番落ち着くわ〜〜……」

「しかし、うちの風呂って、なんでこう毎回イベント感あるんやろな」


「そりゃ、登場人物が優馬と美鈴やけんやろ?」


「自分で言うたな?」


泡で遊んだり、お互いの背中を洗い合ったり、しっかり湯に浸かって、心も体もぽっかぽか。



布団に入りながら、美鈴がふと呟いた。


「ほんまにさ、こうして笑って、おいしいもん食べて、くっついて寝られる日がくるなんて思わんかったよ」


「なぁ、美鈴。ほんまありがとうな」


「こっちのセリフたい」


二人は自然と顔を見合わせ、ふわっと笑って、手を繋いだ。


――この笑いと温もりが、きっとこれからも続いていく。

どんな日々も、ボケとツッコミと愛があれば大丈夫。

それが、優馬と美鈴の物語。



きらめく夜と、我が家の無言のツッコミたち


その日は、美鈴の職場復帰祝いも兼ねて、家族みんなでイルミネーションを見に行くことにしていた。


生後半年になった双子の姉妹・光子と優子。まだ言葉は話せないが、豊かな表情と無言の圧だけで、すでに「ツッコミ大魔王」の片鱗を見せていた。


「よ〜っし、光子も優子も、ぬくぬくにして出かけるばい」


優馬が防寒対策ばっちりのベビー服に包まれた二人をベビーカーに乗せると、双子はきょとんとしながらも、どこかテンション高めに手足をバタつかせた。


「見てみて、このもこもこ〜。もう、着ぐるみみたいやん!」


美鈴も嬉しそうに笑い、二人でベビーカーを押しながら、街へと繰り出す。



向かった先は、博多の某イルミネーションスポット。

街路樹には青と白のLEDが巻き付けられ、アーチのトンネルをくぐるたび、頭上が星空のようにきらめいていた。


「わぁ〜〜!光子、優子、キラキラばい!ほら、見てみて〜!」


美鈴がベビーカーを止めて、二人に向かって手を振る。

双子はぱちぱちと瞬きをしながら、目を丸くして光の海を見つめていた。


「きゅっ……きゅぅっ……(興奮の呼吸音)」


「ぶ〜〜……(口から泡)」


とにかくテンションが高い。まだ喃語しか出せないはずなのに、なぜかしっかりリアクションは一丁前。



「なぁ、美鈴。俺、今ちょっと光子と目が合ったんやけど……すっごいジト〜って見られた気がするっちゃんね……」


「それ、アンタがさっきイルミネーションのサンタに向かって、“おぉ、トナカイとお友達なっとる!俺も入れてー!“って寒いギャグ言ったからやろ!」


「そげなこと……ある?」


「あるある。見てみぃ、これ。二人とも眉毛へのっぺりシワ寄せて、完全に『またか』みたいな顔しとるけん!」


光子と優子は、無言でやや斜め上から父・優馬を見上げていた。

その顔には確かに、「はいはいパパまた滑っとる〜」という表情が浮かんでいた……気がした。



「でもなぁ〜〜、これが我が家やもんなぁ〜〜」


優馬がにへらっと笑うと、美鈴は優しく肩を寄せた。


「ほんとにね。こうやって、三人で……いや、四人か……一緒にいられるって、奇跡みたいやもんね」


「美鈴……ほんと、生き返ってくれてありがとうな」


「……うん」


二人で見つめ合って、自然と手がつながれる。

その横で、ベビーカーの中の光子と優子が、同時にくしゃみをした。


「くちゅんっ!」


「ぶちゅんっ!」


「えっ、なになに!?なんで今シンクロくしゃみ!?」


「完全に、ラブモード中止しなさいってツッコミやろ、これ!」


「……やるな、この生後半年コンビ……」



帰り道。優馬と美鈴は、二人の娘を挟んで手を繋ぎながら、ぽかぽかした心を抱えて歩いた。

イルミネーションのきらめきの中、笑いと愛と、ちょっとのジト目に包まれて。


家族って、ほんとに最高やね。




ぬくぬく、そして……ふたりの夜


イルミネーションの余韻を引きずったまま、帰宅した小倉家。

冷えた身体を温めるべく、風呂場に直行。


「ほい、ぬくぬくのお風呂、できたばい〜!」


優馬が脱衣所でテンション高めに呼びかけると、美鈴も光子と優子のパジャマを脱がせながら、


「お風呂、楽しみやね〜〜。ほら、お湯加減ばっちりよ〜!」


双子はすでにご機嫌モード。湯気の立ち込める浴室で、四人のバスタイムが始まった。


ちゃぷん――。


「わ〜……あったか〜い……はぁ、しあわせ〜」


美鈴が湯船につかりながら、目を細める。その隣で優馬は、浮かべたおもちゃを双子にぷかぷか流しながら、笑っていた。


「ねぇ、パパってばぁ、バブーって言ってみて〜」


「え、なにその無茶振り!?」


「いいからいいから〜!」


「……バブーっ!」


即座に光子と優子の表情がピクリと止まり、次の瞬間、生後半年とは思えぬ“ジト目”発動。


「……完全に見透かされとるやん……」


「光子も優子も、将来ツッコミ界の女王やね、こりゃ」


美鈴はくすくす笑いながら、双子のほっぺをやさしく撫でた。



風呂上がり――。


ふわふわのタオルに包まれた光子と優子は、ミルクを飲んで、しばらくして夢の中へ。


「は〜、今日もよぉ笑ったわ〜」

「ほんと。ありがとね、連れて行ってくれて」


二人でベッドに腰を下ろす。

リビングにはヒーターのぬくもり。カップにはホットココア。


「なぁ、美鈴……」

「ん?」


「今夜は……その……夜のお楽しみ、してもいい?」


「……もぉ、言い方〜〜〜。まるで子どもみたいに!」


「だってさ、最近ずっと光子と優子中心やったやん。ふたりっきりの時間、ちょっとだけでも……な?」


「……うん、わたしも……したいって思ってたし」


美鈴はふっと微笑みながら、立ち上がって、ふわりと黒のネグリジェを羽織る。


「ちょっ……それ、禁断の霊界遺産アイテムやん……!」

「えへっ。今日は特別。復帰祝いも兼ねて、ってことで♡」


優馬、鼻血ぶー寸前。


ふたりはそっと電気を落とし、ベッドにもぐりこむ。


「……ねぇ優馬」

「なに?」

「……大好き」

「……俺も」


手をつなぎ、額を寄せて――

ふたりのぬくもりが交わる夜が、ゆっくりと始まった。







※翌朝。寝室の扉の外で光子と優子がベビーモニター越しに「ふえぇ〜」と小さく泣く声。


「あ〜〜!ごめん、もうちょっと寝かせて〜〜〜」

「パパ〜〜、起きんかいっ!」


と、優馬の寝ぼけツッコミも炸裂しつつ、ドタバタの日常は続くのであった。



【霊界より祝福を】~ツッコミ大魔王ふたり、そして25歳のバースデー~


それはある朝のこと――


「……え、なにこれ?」


優馬がリビングに置かれた、**ふんわり光る“お札”**のような紙を見つけた。


「見てみて!書いてあるやろ? “霊界認定・笑いのプリンセス”って」


美鈴がニヤリと笑って手渡してくる。そこには、





【霊界より祝福を】~ツッコミ大魔王ふたり、そして25歳のバースデー~


それはある朝のこと――


「……え、なにこれ?」


優馬がリビングに置かれた、**ふんわり光る“お札”**のような紙を見つけた。


「見てみて!書いてあるやろ? “霊界認定・笑いのプリンセス”って」


美鈴がニヤリと笑って手渡してくる。そこには、



【霊界認定状】


光子姫・優子姫 殿


そなたらは、生後半年にしてすでに人間界の“寒いギャグ”に対し、ジト目・シンクロツッコミ・冷ややかなくしゃみなど、多彩なツッコミを披露。

この偉業を讃え、ここに「御笑いツッコミ大魔王 Jr.」の称号を授ける。


霊界ギャグ審査委員会

審判長:ボケ尊者 第33代



「こ、これ公式文書なん!?」

「そうらしかよ。わたし、夜中に夢の中で霊界裁判官に会って言われたと」


「えぇぇ〜〜!? 夢枕パターンきたぁ〜!」


しかもその瞬間、双子の光子と優子が、**ぴしっ!**と寝返りしながら、

パパの寒い悲鳴に合わせて、両手で顔を覆った。


「見事なシンクロジト目や……!」


優馬、父としてツッコミ道の後継に嬉し涙を流した(なお、ボケ道に進んでいるのは言うまでもない)。



そして――美鈴、25歳の誕生日


「ねぇねぇ、今日何の日かわかるぅ?」


「え? え?……勤労感謝の日? 建国記念日? 文化の日……?」


「ブーッ!わたしの誕生日っちゃろーもん!!」


「ごめんっ、ほんとにごめん!……って、冗談冗談、ちゃんと覚えとったばい!」


優馬が笑いながら差し出したのは、手作りの“黒ビキニ型ケーキ”。


「うっわ〜〜〜、なんこのギャグセンス!?最高すぎるんやけどっ!」


「ちゃんとチョコでレースも再現しとるっちゃん」


「細けぇよ!」


もちろんそのあと、光子と優子にも**“おっぱい型プリン”**が用意されており、

美鈴がツッコミを入れる間もなく、双子がスプーンで豪快に突っ込んでいた。



誕生日プレゼントは、なんと霊界SNSで再生回数1億回突破記念の金のネグリジェ(冗談)。

実際は、優馬が内緒でオーダーメイドした【美鈴のこれまでの軌跡フォトブック】。


「わたし……生き返ってよかったなぁって、ほんとに思うよ」


「俺もや。こうやって、ツッコミと鼻血ブーが絶えん毎日やけど……お前がそばにおってくれる、それだけで最強やけん」


「ちょっ……何このセリフ、キザっ!」


「今のはマジやって!!」


「……よし、はい。ツッコミ大魔王から、愛のチョップ――じゃなくて、ハグ!」


ふたりは手を取り合い、そこに双子が「だぁー♪」と駆け寄ってくる。



その夜。


布団の中、美鈴がぽつり。


「次の誕生日も、家族四人で笑って迎えたいね」


「ううん。五人か六人になっとるかもよ?」


「……え、まさか……」


「そんときゃ、エロ大魔王もパワーアップするかもしれんばい?」


「こらーーーーっ!!」


と、いつものように笑いとツッコミが交差する、**“最強の家族の夜”**が更けていくのだった――。






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