残虐王と能面王女 5
最終話です!ここまでお付き合いいただきありがとうございます(*゜▽゜*)
〜ルーナside〜
どう言うわけか、大きな食堂には美味しそうな料理とルーナとクユーケさんだけだ。
え?ここで、ぐさっ!ぐはっーみたいな感じで殺されるとかないよね?え、流石に殺されそうになったらやり返すけど、剣の心得あるのでね。
相手がどれくらい強いか知らないけど。鍛えてそうだしぱっと見強そう。
「俺はもともとこの国の騎士団長をやってたから比較的強い。あと俺の名前はアルゼアだ。クユーケさんでもクソイケ陛下でもないからな」
へぇ、騎士団長かぁ、すごいなぁ。副団長倒すくらいまではいけたけど、団長倒すのは無理だったから戦ったら私が負けるなぁ
そうだそうだ、名前そんな感じだった…、、って、なんで私がクユーケさんって呼んでるの知ってるんだ?
「ルーナ、俺は人の心が読める。そして、いつでもどこでも楽しんでるお前に惹かれた」
うおう、なんの話だ?まじで。心が読める?左手が、疼くぜ!みたいな感じのノリ?
でもそのノリにしたら、クユーケさんって名前知ってるの変だよな…。そんな変な名前のやつこの世に普通存在しないし。
「いや、君とエマが決めたんだろ、名前っぽいからって言う理由で。まぁたしかに、名前っぽくするならもう少し何かあっただろ、とは思うけど」
たしかに、、でもそこは突っ込まないで欲しかったなぁ。ワンチャン通ると思ってたし…。
「それはワンちゃんにかけすぎだ」
はい一旦ストップ!落ち着こう、餅つこう。ぺったんこー!うん、今私普通に頭の中の話でクユーケさんと会話してた…?あ、左手が疼く的なノリじゃなく、ガチなノリだった…?
「クユーケさん呼ぶな。流石にそろそろ名前を覚えろ。さっきも名乗ったぞ」
はぁ、とため息をつきながら肩をすくめるイケメン。そんな仕草もイケメン。ってからも読まれてるのか…。
ん…?じゃあ私が最初に思ってた、イケメンごちそうさまです!みたいなノリも聞かれてるってこと?
心の声聞かれてたらまずいよ、殺されるよとかさっきまで思ってたけど今生きてる時点で、もう諦められてる…?
「諦めてるわけではなく、お前の考え方に惹かれたんだ」
そう言ってにっこり笑う、、あ.あ…あゆーけへいか?
「アルゼアだ」
そうそう、、アルゼア陛下。イケメンの笑顔とか眩しすぎて無理。これは人の生死にかかわるレベルの破壊略力だわ。
「ルーナ、さっきから俺が1番お前に伝えたいことをスルーしてないから?」
何か、、スルーしてる?クユーケさんの本名はアルゼア様で、心が読める。それ以外に…なにか…
「あっ」
思い出した。惹かれているって言ってた。え?私に…?
顔が、紅潮していくのが自分でもわかる。え、でも私は人質だし。初夜も来なかったし。
「初夜に行かなかったのはお前が望んでないと思って。初対面でひどい態度をとった上で初夜を無理やり始める男にはなりたくなかったし。その、きみが、自分の悪評を流してまで拒絶しようとしているようだったから」
悪評…?あ、確かにしたわ。まぁ外に働きに出たくてしょうがなかったからなぁ。まぁそれもやめてきたけど。そろそろ側室がくるなら宮整える準備とかもあると思ったから。
「働いてたのは黙認してたが、側室の宮の準備など必要ない。俺の妃はきみだけだ」
やめて、惚れちゃうし、愛されてるのだと勘違いしちゃうから…。ほんとに…。
「勘違いしてくれて構わないんだがな」
やだ、やだ、ずるいよ、自分だけ心が読めるなんて、私だって心が読めたらほんとかどうかわかるのに…。
というか、こんな「惹かれている」とか、「君だけだ」とかそんな言葉だけで嬉しくなって舞い上がってる自分が恥ずかしい。
「お前の不安は俺が全力を尽くして解消していく。だから、一歩踏み出してほしい。今までルーナが考えてこなかった、俺と歩むと言う未来に」
ずるい。ずるい。そんな好みドストライクな顔で言わないでほしい。そんなに、嬉しい言葉を、心の奥底、多分自分も自覚してないたらこで待っていた言葉だった。
だから余計に心に響く。でも、
「2年半も放置して何を信じろと?何を思えと?私は人質である以前に誇り高き王女です」
わかってる。心を読まれてるから私の心がすでに揺れ動いてることを相手に知られていることも。
そもそも平静を保てなくなっているから心が読まれてなくても気づかれる動揺具合だ。
嘘をついてる目に見えないし。でもだからと言って、口で簡単に認めるわけには行かないから。
「2年の空白期間は俺が悪かった。臆病だったんだ。きみは俺に興味がなさそうだったから…。きみに惹かれていると言う話をして、きみが俺から逃げていく未来を想望したら怖くて何も言えなかったんだ」
「イケメンは好きだけど、ずるい男は嫌いです」
何言ってるんだ私。でもアルゼア様がずるいのは事実だ。そんなすがるような目でこっちを見てそんな胸キュン台詞。ずるい
「そうか?きみは意外とクズだと思っていた俺が実は自分のことが大好きだった、みたいなギャップや予想外な展開が好きだと思ったんだがな。まぁ狙ってやったわけではないが」
うわ私の好み把握済みなのか。確かに、好きですが何か?ギャップがいちばんの好物ですよ。三度の飯よりもね。
「改めて言う。俺と、本当の意味で夫婦になってくれないか?俺はきみの心を読めてしまう。その代わりに俺はきみに俺の全てを話そう」
「そんな簡単に信じられる話ではありませんわ。私は駄犬なのでね。でも、駄犬は駄犬でも好奇心旺盛な駄犬なので今まで行ったことのない道があったらふらっと迷い込むかもしれませんわ」
絶対に肯定はしない。まだ信じられるわけではないから、でも、いつか信じられる日が来たらきたらいいな。
この日を境にだんだんと私の能面王女という噂もアルゼア様の残虐王という噂も出回らなくなり、次第には「笑顔王妃」と「溺愛王」と呼ばれるようになるのだが、それは少し先のお話。
〜〜10年後の1/17〜〜
「ルーナ誕生日おめでとう、きみが生まれてきたことに感謝してもしきれないよ」
そう言って私の額に唇を落とすアル様。
「わあああああああ、この10年間、誰よりも先に、誰よりも先にルーナ様の誕生日を祝ってきたのに…出会って10年そこらの新参者に抜かされるなんて」
「エマ、確かに新参者だけど、ルーナ様を2年間も放置したやつだけど、一国の王だよ」
サイラスの言い方がいちばん棘がある、けれども、私を祝ってくれる人がエマと、サイラスの他に3人も増えた。
1人は、さっき、いちばんに誕生日を祝ってくれたアルゼア。そしてきっと、翌朝には、可愛い可愛い9歳の双子ウィリアムとナタリーが祝ってくれる。
私は幸せ者だ。
ふわぁっと始まりふわぁっと終わっていく感じでしたが、最後までお付き合いいただきありがとうございます!
ここまで読んでくださったことに感謝です!
本編はここで完結ですが、気が向いたら他の人物視点も描きたいなと思ってます!(3/19 午前8:00時点、アルゼア視点追加しました!)
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また新作でお会いできたら嬉しいです٩( ᐛ )و