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残虐王と能面王女  作者: Deadline
本編
3/6

残虐王と能面王女 3

〜アルゼアside〜


なんなんだ。あの王女は。出会った時から、ずっと、ずっと。心にあるのは権力への興味でも俺への畏怖でも企みでもない。


そこにあったのは俺の顔への興味と次の日の食事処で出る賄いの想像だった。




俺には「人の心を読める」と言う能力があった。この能力のおかげで、命を助けられたことも多い一方で、知りたくもない話もたくさん知ってしまった。


とくに、幼い頃母親が自分の護衛と懇ろな関係にあることを知った時には驚いた。あれだけ父に愛を囁いていた母は父を裏切っていた。


信頼できるものなどないのだと、思った。


側近の中にも俺を排除しようと試みるものはたくさんいた。そいつらに慈悲をかけたやる必要性も感じず、無理矢理な理由だろうとなんだろうと、理由をつけて排除した。


そうした行動から残虐王と呼ばれるようになった。周りには幼い頃から俺に仕え俺の能力を理解してくれるゼパードなど数名しかいなくなった。


ただ、それはストレスの軽減につながり、以前まで患っていた不眠症も改善しつつあった。


そんな矢先にフロイス王国が戦争をふっかけてきた。無事勝利に終わったが、念の為ということもあり、フロイス王国の王女を娶った。


能面だと言われる彼女は頭の中でどんなことを考えているのだろうか。と少し気になりました。今まで頭の中が真っ白な人は見たことがない。


護衛騎士のフラッッシュは喋ってる内容と心の中が一致しているがそれは空っぽとは言わない。


心が空っぽなのだろうか。そう思い、会ってみると、衝撃だった。


能面だから何も考えていない真っ白な頭なのだろうか、そんな考えはすぐに裏切られた。


「お初におめにかかります。フロイス王国第一王女、ルーナ・フロイスと申します。末長くよろしくお願いいたします」


綺麗な乱れぬ完璧なお辞儀をしながら彼女はひたすら俺がイケメンだと騒いでいる。自分の容姿が悪いとは思ったことがなかったが、みんな俺の容姿より先に権力に目がいくため、ここまでイケメンと叫ばれたことはなかった。


動揺して酷い言葉を言ったのに、なぜか彼女は喜んで叫んでいた。


彼女の頭の中はいつだって楽しそうだった。エマとサイラスにこれを話そう。次はこれをしよう。あれがしたい。希望に満ち溢れていてそれが眩しく羨ましく、愛しく感じた。


だが、彼女は別に俺のことなど興味はなさそうだった。


謝るべきなのはわかっていた。最初の態度は失礼すぎた。


でも、無駄なプライドがあからさまに最初とキャラクターを変えることを阻んだ。「くつろいでくれ、これからここが君の家になるのだから」とかもいえずに、酷いことを言った。


自己嫌悪に陥っていた俺に彼女の「恋人とか夫とかにしたくないタイプ」という正直な心の声は結構胸に刺さった。申し訳ないと思った。


俺が彼女が一時滞在する部屋を出て行ってから少しすると、彼女のメイドと護衛と思われる2人が何やら噂を流していた。


それは主人を貶める噂だったが、主人が望んだことだということが心を読んでわかった。どうやら彼女は俺からの愛も何も望んでないらしい。


噂の話が本当ならば彼女は純潔ではない。その可能性が頭に浮かび上がり、モヤモヤとしたが気のせいだと思い頭を振りかぶった。


王が一時の感情に流されてはいけない。ましてや相手はあったばかりで俺の顔にしかない敵国の王女だ。彼女のことが気になるなんていう感情は気のせいだ。


ただ、出会ってそうそうに色々申し訳ないことをしたからせめてものお詫びとして、「初夜も何も迎えない」という約束をした。


その時の彼女の頭の中もすごかった。悲しかったのは俺の名前が覚えられていないほど、彼女にとって俺はどうでもいい存在だったということだろうか。


メイド、護衛、王女の3人の中で俺の名前を覚えてたのは護衛だけだった。


彼女には王妃の宮の整備が完成次第そっちに移ってもらった。少しは王妃として、そういう営みに対して期待を抱いてくれるのかと思っていたら、そうではなく、それ以外の王妃の仕事をし始めた。


彼女の中ではもう後継を作るのは俺がいつか娶るであろう側室の仕事だと思っている。


それが無性に腹がたつ。俺は君に、話しかけたい。君にもっと見てほしい。そう思ってるのに、君は俺を見てくれないのか。


いつも彼女のことを執務室から目で追ってる俺を見てフラッシュが笑いながら、呆れながらいう

「お前は思ってることがわかるからいいかもしれんが、王女様はお前が何を考えてるかなんかわかったもんじゃないんだ。お前から近づいていかなきゃ、あの王女様は一生あのままだぞ」


という。


「わかってるつもりなんだがな…」


「いや、アルゼアは結構わかってないよ。側近のゼパードじゃなくて友達のゼパードとして君にいうけど、君は実際今、ぐだぐだと悲劇のヒーローぶってるだけだ何も行動を起こしてない。そんな怠惰なやつの恋が叶うと思うなよ!俺はアタックしたって振られてんだから」


と自信ありげに言う。最後は胸を張る処じゃないと思うが、2人の頑張れと言う気持ちと俺に若干呆れてる気持ちが伝わってきた。


2人の話を聞いて俺は、彼女の誕生日に彼女を晩餐に招待し、腹を割って話すことを決めた。


少しでも「面白いな!」「続きが読みたいな!」と思ったら下の☆の1番後ろをタップしていただけると、幸いです!


また次話で、お会いできたら嬉しいです٩( ᐛ )و

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