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残虐王と能面王女  作者: Deadline
本編
2/6

残虐王と能面王女 2

トマルア王国の城内で能面王女に関するある噂が広がった。


『能面なのに男漁りが激しいらしい』


『夜でも能面らしい』


『相手を不能にさせる』


女性にしたら不名誉な噂であり、通常悲しみに明け暮れるもの。だが、そうでない者もいるようだ。


例えば、自ら進んでその噂を流させた人とか。


〜ルーナside〜


「エマ、サイラス、おかえりーお疲れ様!どんな感じ?」


「このままいけば夜までには王城中に広まるかと、今後どころか、今夜すら来るか微妙じゃないですか?」


「とりあえず今夜は色気皆無の能面王女様を作り上げましょう!若干ルーナ様がイケメンに当てられて頬が緩んでもいいくらいのメイクをしますね!エマのメイクの腕がなります」


「任せたわ、エマ」


エマはメイドの力もさることながらメイクの技術も一級品だ。なんなら生地さえあればどんな服でも作れる。ぶっちゃけ天才。我エマは天才。これに関して私は一度も異論を認めたことがない。


「そういえば、ルーナ様はどのような感じですか?進捗はありましたか?」


「そうね、抜け出せる場所はたくさんあったけど、1番手っ取り早いのは上の方にある窓かしら。細工しても上の方だからバレにくいしね」


「下手に天井上とか床下とかいくと汚れてその後が大変でしたよね」


と、エマが渋い顔をする。


母国で初めて部屋を抜け出そうとした時の失敗談だ。懐かしいなぁ。


「王女様。そろそろ」


サイラスが真顔で言う。


サイラスが私を王女と呼ぶ時、それはつまり人が近づいてきてる時だ。サイラスはぱっと見はひょろひょろで頼りないが、元々暗部出身で気配を察知するのに長けている。


サイラスの合図に合わせて私とエマがだらけていた雰囲気や座り方を引き締める。


サイラスはどころからとなくお茶を持ってくる。ティータイムをしていた設定にするらしい。


コンコン。


ドアのノックが鳴った。


「私が出て参ります」


サイラスはそう言うと要件の確認のために部屋の外で話しにいく。と思ったが、サイラスが部屋を開けた瞬間大きなイケメンが入ってきた。


びびったぁぁぁ、急なイケメンは心臓に悪い。取り敢えず慌てて立ち上がり、礼をする。


なんか先に知らせるとかサイラスにいったん要件を伝えるとかあったでしょ。私が着替えちゃうだったらどうすんねん。裸が見たいか私の裸が。


あ、でもイケメンの鍛えてある上裸は需要あるかも。そんなことを考えていると、


「頭を上げろ。突然の来訪失礼する」


私が、驚いたと思ったのかな?


「いえいえ、私に早めの末が訪れてしまったのかと、焦っただけですわ」


あくまで無表情で言う。もちろんこれは嫌味だ。「お前が目の前に現れんなって言ったのになんでお前から尋ねてきてんねん。ふざけんな」って言う感じのね。


いや実際、イケメンだからいくらきてくれても構わないけどキャラ的にはこの答えが正解かなって。あぁ待ってやっぱさっきのなし。いくらきてくれても構わないは嘘だわ。


そんな何回も来られたら心臓爆発するし、普通にお城から抜け出しにくいから無理だわ。


「は、負け犬の子はどんな子かと思ったら、負け犬の子は駄犬であったか(訳:敗戦国の王の娘、どんなものかと思ったら、所詮喚くことしか知らないガキだな)」


いや、私を犬に例えるとかどうでもいいから早く要件言ってよーー。イケメンさん!名前忘れたなんたらたんたら陛下。まいっか、クズイケメン陛下略してクズイケ陛下。


まず、要件を言ってその後に付け加える説明してくんないと、こっちも困るんだよなぁ。対応の仕方不明すぎて。さて、直球に言うべきか。比較をこめるべきか…。


「あら、格下のつまらない発言に噛み付き、正しい道へと進めない駄犬ほどではありませんわ(訳:そんな敗戦国の王女の発言にいちいち反応して、話に来た内容すら話し始められないあなたほどでなありませんわ)」


え?天才かも。天才。キャラ崩壊してないんじゃない?キャラ保ててるんじゃない?というか、私の顔の特徴覚えられたくないからあまり長い時間話したくないし、顔も見たくないんだけど気になる…。


こう言われて、クズイケ陛下の反応は如何に?怒る?流石に怒るかな?なんか、なかなか酷いあだ名もつけられてたし、クズイケ王怒って「打首」とか言わないかな?


と恐る恐る、でも、恐る恐るなことをバレないようにクズイケ王の様子を見ると、


何か少し困ったような悲しいような、大型犬がシュンってしてる様子が浮かんでくるような顔をした後、


「俺はしばらく執務が忙しい。夜も来れない、と言うか金輪際この部屋に来るつもりはない。嫌なら今すぐ母国に帰れ。君の代わりに金品を要求するからな」


うわぁ、え?そんなことをわざわざ直接伝えにきてくれたとかどんなに優しいねん。え?クズイケ陛下に優しい要素加えた方がいいかな?


というか、ここまで噂の成果が如実に出るとは…!やっぱ相手も無反応だと萎えるよなぁ。この国は確か3年間白い結婚にしろ、白くない結婚にしろ子供ができなかったら側室が許されるから私はそれを狙う。


イケメンって眺めてるだけがちょうどいいしね


クズイケ王が嬉しそうな顔をしたと思ったら悲しそうな顔をした、気がしたのは気のせいだ。心が読めるわけでもあるまいし。


「政務に没頭しすぎて体調を崩されたら行けませんのでお気をつけください。お忙しいのは承知していますので、私のことはお気になさらないでください」


そして、頭を下げる。


エマとこのクズイケ陛下に優しいの要素を加えるための議論とサイラスが事前に調査してくれたいくつかの食事処からどこで働くかも決めなきゃいけない。


イケメンが出ていくことは名残惜しいが、でも、まだこれからも見れる可能性のあるイケメンよりも今しかできないことの方が大切だ。


このクズイケ陛下の優しさに対する感動をエマと共有することと、比較的治安の良く雇用条件がいいと言う競争率の高いお店で働くための準備。早いものじゃんなところもあるしね、採用なんか。


だから、このなんたら陛下を見るのはまた今度でいい。


バタンと扉が閉まるとがして、しばらくすると、


「はいかっとー、お疲れ様でしたー」


という、王様を相手にしていた時とは似ても似つかないサイラスの声が響く。


「クズイケ陛下、思ったより優しいわね」


「ルーナ様、なんですかその略し方は…」


「え、でもエマはルーナ様と同じ呼び方してましたよ、名前忘れちゃいましたし。でもたしかに、優しかったですよねクズイケ陛下。優クズイケ陛下だと長いからなぁ、なんで呼びます?ヤクイケとかにしますか?」


「それでいいと思います。僕ら以外誰のこと指してるかわからないですしね」


「最悪誰だと聞かれても、エマの弟、とか答えられるようにもう少し名前っぽくしたらどうかしら?」


「クユーケにしますか?」


「そうねそうしましょう。エマの弟で設定はいつも通りに」


「了解です!」


「いろいろ決まったところで、まだ決まってないどこで働くかを決めますか」


「そうね、そうしましょう。クユーケさんはしばらくこの部屋に来ないらしいしちょうどいいわね。明日面接に行ってくるわ。エマよろしくね」


「はーい!」


エマは私がこっそり王城を抜けてる時に私のフリをしてくれてる。逆に私は時にはエマとして抜け出し、時にはこっそり王城を抜け出し街へと働きに出る。これは母国にいた頃からやってきたことだ。


無事、クユーケさんがやってこない夜を迎え、翌日には無事第一志望として狙っていた食事処にも合格。ルナとして働き始めた。


ルナとして働き始めて分かったことは、王城近くの街はめちゃくちゃ栄えていることと、働いている食事処の常連さんがイケメンなことだ。面食いにはありがたい。


食事処のオーナーのおばぁちゃんも、おじぃちゃんも優しいしね。


そんなこんなで、クユーケさんと顔を合わせないまま、私的には充実した2年と言う月日が経った。


この2年で変わったことは一応私たちの居住地が王妃の宮へと移されたこと、そして、王妃としての仕事、外交系とかそう言うのを少し任されるようになったことだ。


で、外交の席とか、政務のお手伝い的なことをする度に、「子供はまだか」とか、「お前の魅力がないから」とか言われる。


でも考えてみてほしい。後一年。後一年で、側室がめとれる。その時までに陛下と私が一回でもやっちゃったとして、でも3年経ったから側室娶りました。でも私が運悪くあたっちゃって子供できちゃいました。


ってなったらさ、なんか政治的争い大変そうやん?私は側室に子供を産むとかそっち系の妃としての本当の仕事を丸投げするよ。


その代わり、側室がきたら今やったら食事所やめて、政務に集中するからさ、


夫婦のこと?ほぼ夫婦とはいえないけど、夫婦のことに口出ししてこないでよ!たぬき爺さんどもめ!!

少しでも「面白いな!」「続きが読みたいな!」と思ったら下の☆の1番後ろをタップしていただけると、幸いです!


また次話で、お会いできたら嬉しいです٩( ᐛ )و

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