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暗夜に響く咆哮

空気を震わせ轟くは、猛り狂う魔獣の咆哮。距離にして数百メートルは離れているのに、その雄叫びは青年の鼓膜を激しく叩き、脳裏に恐怖を植え付ける。


月明かりに照らされ、暗夜で立つ巨大な体躯に色が宿った刹那、松明を持った冒険者がか細く声を放つ。


「ありえない……。あいつは間違いなく巨爪熊ヒガンテスカ……」

「ヒガンテスカッて、山岳地帯で棲息してるッてあの獰猛な肉食魔獣ですか?」

「そうだ……しかも、群れをなさない筈の奴が従えてるのは種も異なる魔獣・青毛狼ブルードウルフ


青年は聞いた事があった。文字通り鋭利で長い爪を持ったヒガンテスカは、密集した毛や分厚い脂肪と筋肉によって、刃を全く通さない。加えて、その獰猛な性格から、魔竜だろうが喰らい殺す。


群れをなさず、一匹で行動する化け物。だが、目の前のヒガンテスカは例外だった。取り囲むように彷徨くのは、ブルードウルフ。違う種の魔獣が組織を作り上げ、今正に村を襲撃しようとしてるのだ。


彼の報告が遅ければ、青年達も準備間に合わず死んでいただろう。


「こちらの数は十人。あっちの数は十五体……あまりにも劣勢だ」

「村の皆を逃がすまでの時間稼ぎは駄目ですか?」

「駄目だろうな。徒歩どころか、馬車に乗ったとしてもブルードウルフには追いつかれる。奴らを殺すか俺達が全滅するか──どちらかだ」

「分かりました」


青年は呼吸を整え、腰にぶら下げた刀の柄を強く握る。


「安心しろ、少年。少年にはオレが付いてるさ」


優しく穏やかな声で少女は青年を鼓舞する。


「だね。それに──」


青年は鑑定スキルで自分の武器である刀のステータスを把握していた。これが(みね)に記された数字と関連性があるかは、定かではないが。


「俺とこの刀、君が居れば十分に戦えるはずだから」

「その意気やよし!んじゃあ、ちゃちゃっと殺っちゃいますかね!!」

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