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■5 その護衛任務受けます!


 迷いに迷って、やぁっと出口に辿り着いた私。ここに辿り着くまでに一体どれぐらいの時間と、モンスターを倒したのだろうか。


 以前は、外に出る手前でシステムウィンドウの警告が出てきた。今はさっき陽の光に当たって何ともなかったから大丈夫だと思うけど、びびって人差し指を出した。……何ともない!



「わ~い! 外だぁ!」



 あぁ、新鮮な空気! ポカポカな陽気! あぁ、以前は当たり前に浴びていたものが、今の私にとってはこんなに素晴らしいものだったなんて! 仕事詰めだった前世の私でも、こんな気持ちになる事は無かった!!


 さぁ~て、これからどこに行けばいいのかな~? 目の前には生い茂る森、適当に進んでもいいのか? 確か、あのイケメンさん達は、ここは二国の境目だって言ってたな。じゃあ、お兄さん達の国ってどっちに行けばいいのだろうか。


 とりあえず……進む! どうせモンスターに出くわしても石投げればいいだけの話!!



「ふふふ~♪」



 もう嬉しすぎて表情筋が緩みまくりで鼻歌まで出てきてしまう。だって仕方ないじゃない、あんな洞窟に一体何日いたと思ってるのよ。まぁ、時間の感覚なんてものはなかったから自分でも把握できなかったのだけどさ。しかもお腹も空かなくて腹時計すら機能しなかった。


 最後に食したのはあの人の血だ。それからだいぶ時間が経っているから、どれだけあの人の血が満腹感に満ち溢れていたのかって思うと手を合わせて拝みたくなっちゃう。けど、私は生き物だ。時間が経てばお腹は空く。そこら辺を何か考えておかないとなぁ。


 そんな時、何やら奥の方で音がした。私最初コウモリだったじゃない? だから耳がいいのよ。あ、これ間違いだった? 自分でそう解釈しちゃってる。


 何だ何だ、とそぉーっと近づいた。……うわぁ、ドンパチやってんじゃん。馬車があって、モンスターに襲われてるじゃん。よくあるパターンってやつだ。お付きの人が剣を持って立ち向かってるけど怪我してるし。


 じゃあ、助けるべき? この人達ってどこかに向かう途中って事でしょ? 助けたら道教えてくれるかも。



【モンスター Lv.40】



 幸いレベルでいったら私の方が強いから楽勝。あ、レベルが上がって鑑定スキルをゲットしたの。だからこういうのも見ることが出来るようになったんだ!


 という事で、石、石……あった! ……いや、待てよ。石を投げた所で、これを投げたのは私ですって言っても信じてもらえなかったら? 傍から見たら、ただのローブを着た変な格好の女性だ。なら……殴る? 久々に殴るか?


 他に案がなかった為、森の茂みから思い切り飛び出した。その先には、デカいふさふさした熊のようなモンスター。前世ではただ動物園とかしか本物を見た事がなかったのに、こんなに近づいた事なかったよ。てかこんな不細工じゃなかったし。もうちょっと可愛げあったし。


 そして、無事私は皆様の前でモンスターを一発K.Oしたわけだ。てか拳めっちゃめり込んじゃったよ。デカい図体していた為思い切り地面に倒れて少し砂埃が立っちゃった。……あの、誰か何か言ってもらえません? 口をぽかんとされても。だって私今喋れません設定なんだもん。そっちが喋ってもらわないと進まない。



「たっ助かりました!!」



 そう言って頭を下げるお付きの方々。全部で7人か。という事はそれだけ身分の高い人だって事。この馬車だって相当なものだ。


 お礼を、と言われたけれどそんなの要らないと手でジェスチャーをしてみる。そんな私を見て、喋れない事に気が付いたのだろう。そんな時、馬車の窓から顔を少し出した人物がいた。それに気が付いたお付きの人が「姫様!」と呼んでいて。一体どこの姫様なんだ。


 事情を聞き、馬車から降りてきたのは……これまた可愛らしい女性。……いや、女の子だ。成人してないだろこの子。



「危ない所を助けて頂き感謝いたします」



 お名前を、と聞いてきたが、周りの人が一人耳打ちをしていて。きっと私が口がきけない事を伝えたのだろう、すぐに謝ってきた。そして、姫様と私との間にシステムウィンドウが表示された。



【14歳女性 血液型:A型】

 甘味:★★ 栄養:★★★

 旨味:★★

 温かみのある優しい味です。



 ……いやいやいや、食レポなんていらないから。あれか、レベルが上がって目利きスキルも上がったからパワーアップしてこうなったのか。てかこの姫様すっごく優しい人じゃんこれ見たら。てことは、良い人と悪い人の見分けが付けるって事だよね、すごっ。



「私は、ミトルア公国第三公女のリンティです。この先のアメトリス帝国に向かう道中でした。もしよろしければ、護衛として雇わせていただけないでしょうか」



 その姫様の言葉に反応し「姫様っ!!」と声を荒げるお付きの人。



「我々は、何が何でもアメトリスに向かわねばならないのです。私が行かなければ、次はお姉様なのですから」


「姫様……」



 これは……訳ありだな。でも、公女様が何でモンスターのいるこんな森を通ってるんだろ。ここしか道がなかったのかな。まだこの世界の国の位置は知らないからなぁ。てかこの子、14歳なのにしっかりしてるのね。




 結局、私は雇われる事となった。契約は、アメトリス帝国に入る手前まで。この森、[静寂(しじま)の森]は中級~上級のモンスターが生息している森。この森を出ればもう王国は目の前らしい。だから、この森を抜けられればもう安全なのだそうだ。


 私が、口が利けないからと思ったのか、訳を聞かせてもらえた。実は、公国と王国は隣同士。だけど、境目にある門を通らせてもらえなかったのだそうだ。このままでは向こうが提示してきた日に間に合わなくなってしまう為、仕方なく隣接する危険なこの森をルートに選ばざるを得なかった。



「アイツ等……こっちが小国だからって好き勝手……姫様だって、人質にされてるも同然「口を慎みなさい」……姫様……」


「違うわ、和睦の為に私がそちらに嫁ぐのよ」



 この歳で嫁ぐのか……身分の高い方々は大変だな。でも、これを聞くに、アメトリス王国のミトルア公国へのあたりが強すぎるのでは? 確か、イケメンさん達の国だったよね。そういった点は、よく分からないな。魔族と人間との争い事だけではなかったのか。まぁ、そんな簡単な事ではないよ……ねッッ!!!



 どっかぁぁぁぁぁぁん!!



「「「お、おぉ……」」」



 前方に出てきたモンスターを石で片付けた。出てきた奴が悪いし馬車が通るのに邪魔だったからしょうがないよね、それにこれが仕事だし。という事で蹴り飛ばして馬車の通り道を開けたのだ。え? ゴリラだって? 煩いよそこ。モンスターの餌にしてやろうか。因みにさっきのモンスターはLv.45だ。



「い……いやはや……凄まじいものですな……」



 それは、喜んでいいやつですか?


 面白いと思ってくださった方、もしよろしければブクマ、評価、ご感想などなどよろしくお願いします。特にご感想やレビューなどがあればとても嬉しいです。励みになります!

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