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転生吸血鬼がエクスカリバーを引っこ抜いた!~魔族でも中身はれっきとした人間だから殺さないでっ!!~  作者: 楠ノ木雫


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28/28

■28 これから先も


「すまん、この通りだ」



 アンディ達が深々と頭を下げる。別にいいのに、そこら辺は本当に真面目ね。


 アンディは、アンドリュー・ルナティアス王弟殿下。マクスとカシアスは近衛騎士団団員兼王弟殿下専属騎士。何ともかっこいい肩書きである。自分は何という接し方をしてきてしまったのだろうかと今更反省をしている。


 それにしても、騙していた事を謝りたいと言われましてもなぁ。仕方のなかった事だし。


 あの日、皇帝は首謀者の一人、陛下の弟君だっけ。その人が自爆に道連れにし、巻き込まれ亡くなった。そして、次の皇帝はと意見が割れている状態だとか。皇位継承権を持っているのは王弟殿下であるアンディと皇太子ルカ・ルナティアスの2人のみ。しかも皇太子は4歳というあまりにも若すぎる年齢だ。


 それを考えると、皇太子派側はただ表に立たせて裏で操る気満々じゃん。


 私の件に関しては、まぁ色々と大変なことになっている。私の事を讃え君主と呼んでいるのを目撃され、この事件の一番の首謀者は彼女なのでは?とね。でもその件は任せてくれ、とアンディが言ってくれたので私は大人しくすることにした。


 あれから、今回この事件に加担したファラストメア国の子孫達は、私の一言で全員が自首してくれる事となった。情報も、ほぼ全て話してくれた。後片付けは難なく終わらせることが出来たのだ。


 私は、その件に関しては一度もスキルを使っていない。皆が、私を【君主】と認めてくれたからこそ出来たという事だ。


 その中の一人が、こんな発言をしていた。数名魔法の覚醒をした者達がいたという事は、君主の復活と共に魔族の方で力を持つものが誕生した可能性がある。そう、言っていた。力を持つもの、それは〝魔王〟だ。



「あ、ごめん。その魔王の卵私壊してきちゃった」



 その発言で、周りの皆が唖然としてしまった。ファラストメア国の子孫達は『勇者様!!!!』と称えだした。エクスカリバーを持っているのが私だとバレている事だし……この件も全てアンディに丸投げした。任せろ、そう言ってくれてホッとしている。なんか何もかもすんません。



「それで……イヴ……」


「ん?」



 ……あぁ、なんか久しぶりに見るアンディのスキル赤面。今回はだいぶ茹だってません?



「その、だな……気付いていると、思うんだが……」



 おっと、これはアレですか。告白イベントってやつですか。あ、違う? まぁそうだとしても頑張れアンディ! 男だろ!



「だから、この先ずっと、一緒にいてくれると、嬉しい……その、近く、ではなくて、隣に……」


「……プロポーズ?」


「ッ!?」



 あの、なんか噴火してません? 大丈夫ですか? お水、持ってきましょうか……?



「私、魔族なんですけど」


「そんなのは関係ない!」



 おぉ、言い切った。しかもそんなのって言われちゃった。すご。



「誰が何を言おうと、イヴがいてくれるのなら絶対に守る。その為の皇帝だ」


「……えっ?」



 皇帝っすか、あらまぁ。そこら辺はまだ決まってないと思ってたけど……もう話もまとまってるなんて驚き。まぁ戦場大好き陛下の代わりに仕事してたってジェイク、あぁいやジェイコブか。彼が言ってたし。



「イヴは、この事件を終わらせた功労者、それにファラストメア国の君主だ。なら何とでもなるさ」



 すごい、流石皇帝。頭下げるのはこっち? 有難き幸せ~って。


 そ、それで……と私の返事を聞きたそうにもじもじするアンディ。ギャップ有りすぎ。女子かよ。



「そうねぇ……さっきも言った通り、私は魔族。ここじゃ魔族は敵って考えが普通らしいけれど、けれどあの日、貴方を襲ったのに貴方は私を殺さないでいてくれた。それでも殺さず、しかも責任は自分が取るまで言ってくれて嬉しかった。

 人間達のいる中で生活するのは少し怖かったけれど、アンディ達といた時間はとても楽しくて沢山笑えた。そんな貴方が差し伸べてくれた手、取らない選択肢なんて私の中にはないよ。

 貴方がさっき言ってくれた言葉、とっても嬉しかった。ありがとう」


 「イヴ……!」



 グヘッ……そんな声が出てしまうくらい強く抱きしめられ、て……!? アンディ!? 貴方泣いてるの!?



「すまん、やっぱりイヴの前だと……何というか……かっこ悪くなる……すまん……」


「あは、いいよ、私の前じゃ素直って事じゃん。私の前でも皇帝スイッチ入ってたら疲れちゃうよ~?」


「はは、確かにそうだ。なら君の前ではアンディでいさせてくれ」


「もっちろん!」





 異世界にコウモリとして転生した私は、吸血鬼、そして忘れられた国の君主となり、かけがえのない人達と出会うことが出来た。


 まだいろいろと問題が山積みだけど、これから先の()生も、笑って過ごせると信じてる。


 皆と一緒なら。この人と一緒なら、ね?






*END*


 これにてひとまず完結です。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。

 面白いと思ってくださった方、もしよろしければブクマ、評価、ご感想などなどよろしくお願いします。特にご感想やレビューなどがあればとても嬉しいです。励みになります!



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