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22/28

■22 なんじゃこりゃ


「……私、どうすりゃいいのよ……?」



 気が付けば、私は縄で縛られていた。しかも、大きく硬い何かと一緒に。縦に伸びているそれは、 鉱石? そんな感じだ。床にめり込んでいて全く動けない。


 背中に当たっているけれど、痛くはない。けれど、身動きは完全に出来ないでいる。


 さっき、とっても暗い場所にいた様な気がするんだけど……あんま覚えてないや。


 それより私、あれから拉致された? じゃあここはどこだ? 魔界? あり得そう。でも、それじゃあどうやって帰る? まずここを出なきゃいけないんだけど……どうすれば出られるんだろうか。



「……これ、どうやれば切れるかな」



 背には大きなどす黒い鉱石。そして私を縛る縄。エクスカリバー? いや、私今手が使えないから出した所で意味がない。ならどうしたら……筋力ゴリラな私でも、これは引き千切れないし……え、一生ここに……? え、やなんだけど。ご飯も食べれないし風呂にも入れないじゃん。誰か助けに来てよちょっと、ねぇ。



【推奨 アクアマリン】



 ……は? 宝石? それをどうしろと? 肝心なところで役に立たねぇなシステムウィンドウよ。もっとわかりやすく表示しろやゴラ。


 イライラしていたら、ふと、思い出した。確か、私、魔王の卵食べたよね。あのゆで卵みたいなやつ飲み込んだよね。



「……食えと……?」



 ちょっと待って、ちゃんと洗って焼くか煮るかして味付けしてから食べさせてよ。美味しいの食べたいよぉ!



「あ、グラタンにしてもいいよね。私大きいエビが入ったの好きなんだよね~。あ、お腹空いてきた。……じゃなくて」



 魔王の卵はちょっと不味かった気がしたんだよねぇ。これ、美味しいのかな……システムウィンドウよ、これも味を教えてくれ。ほら、人の血の味を表示してくれてたじゃん。それと同じくさ、ねぇ、ダメ? おい出せやケチクソ!!


 

「……はぁぁぁぁぁぁ、よっしゃ腹くくるぞ!!!」



 収納空間!!そう叫び私の口の上に出現させた。あ~~っと口を大きく開き……ごっくん!! あ、やっべ喉に詰まり……あれ、なんか飴みたいな。ちょっと不味いけど塩味のなんかの味がする。え、調理してくれたの? 感謝! けどもうちょっと美味しいのが良かったなぁ~なんてね。



 ピコンッ



 STATUS

 根本彩羽 Lv.87

 種族:吸血鬼

 称号:忘れられた王国[ファラストメア]の新たな君主、聖剣[エクスカリバー]の主、龍殺し

 ______________

 飛行:Lv.70 打撃:Lv.80

 吸血:Lv.85 治癒:Lv.75

 目利き:Lv.80 鑑定:Lv.70

 筋力:Lv.MAX 

 ×(魔力:90%)

 ______________

 権力者の手:MAX

 権力者の眼光:MAX

 絶対服従:MAX




 いきなり出てきたシステムウィンドウ。あれれ、なんか魔力項目の所がバツになってる。これって……抑えられてるって事?え、すご。……待って、それよりさ、魔力90%になってたの!? 吃驚なんだけど!! いつアンディの血飲んだの!? 30%くらいだったよね!?




 ピコンッ



 おうおう次は何だシステムウィンドウ君よ。



【推奨 ラピスラズリ】



 おっと、また私に宝石を食わせようと。そういう魂胆っすか。私このままじゃゲテモノ食いの称号貰っちゃう気がするんだけど。まぁ、アクアマリン食べて魔力が抑えられるようになったんだし……これも素直に食べたほうがいいんだけれど……



「いっただっきまぁぁす!!」



 おえ、次はかっらいんだけど!! 私辛いもの嫌いよ!!カレーも中辛も食べれないレベルよ!! ちょっとどうしてくれてんのよ!! 誰か水持ってきて!!


 そう文句を言っていた時、何だかパリン、と硬い何かが割れる音がしてきた。……あれ、何か、縄が緩くなってきてる……?


 縄がほつれ始め、そして後ろの鉱石が中からピシッ、ピシッと音を立てて割れてきていて。おっと待てこれ割れた鉱石の破片私に落ちてこない? え、逃げなきゃじゃん。



「ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”!!」



 力を入れて縄を引っ張り千切った。よっしゃ脱出成功。筋力ゴリラで良かった良かった。



「……なんかさぁ、薄々気づいてはいたんだけど……これ、もしかして……」



 魔王の、卵、じゃね……?


 だって、すっごくそっくりなんだもん。大きさは違くてもさ。色とか。不気味さとか。こんな所にあって、しかもラピスラズリを飲み込んでこうなってしまってるって事は……



「私の心の中とか、そんな感じ……?」



 だって、気付いたらここだったし。なーんも周りに感じないし。やっぱりそういう事? そういう事なの? そういうのあり得そうな世界だし。そしたら……



「……よし、壊そう」



 ぶっ壊そう、これ。変なもん食わせやがってあの野郎全部羽根抜いて毛むしり取ってやる。覚悟しろよ。



「さてさて、召喚! エクスカリバー!」



 よっしゃ、いくつもの至難を共に潜り抜けてきた相棒! 今回もよろしくお願いしますよ!



【 スキル:マナ連結 を使用します 】



 おっと、何々? マナ連結? そんなのあったっけ。そう思いシステムウィンドウを開けると、スキルの一番下に追加されていた。これは、何だろうか……? そもそもマナとは何だと言う所から始まるのだが。でも、なんか繋がってるなぁとは感じる。心臓から紐が出ていて手を通りエクスカリバーへ。みたいな感じ。もっと詳しくは説明できないけれど……



「え、なにこれかっこいい。エクスカリバー光った!!」



 成程! これがマナ連結ってやつか! 何かエネルギー感じるし! これで魔王の卵壊せそう!



「よっしゃいってみましょうか! せぇ……のッッッ!!!!」



 あの日の地龍を倒したかのように、踏み込んでやり投げのように投げ飛ばしたのだ。エクスカリバーを。あ、やべマナ連結してたんだっけ。離しちゃったけど……あ。


 地響きを立てて砕けていく、魔王の卵。刺さった場所からバキッバキッと亀裂がどんどん入っていって、砕け散ったのだ。それはもう木っ端微塵に。これ、さっきのマナのせい? 普通こんなに粉々にならないよね。こーわっ、流石エクスカリバー様。


 そして、周りの白い空間にも亀裂が入っていっていて。待って待って私巻き込まれるの嫌なんですけどぉぉぉぉぉぉぉぉ!?


 逃げ場なし、床もバキバキと崩れ始め……墜ちていったのだった。いつぞやの、崖から身投げしたような感じで。コウモリに擬態する暇すら与えてもらえなかった。


 面白いと思ってくださった方、もしよろしければブクマ、評価、ご感想などなどよろしくお願いします。特にご感想やレビューなどがあればとても嬉しいです。励みになります!

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