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■18 碧の使徒


 月の隠れる、暗闇の中。


 一つだけ、小さな光が灯っている。


 それは、とある小屋の中だ。



「遅かったな」


「収穫祭で人が大勢出ていたからな、一目を避けてここに来るのは至難の業なんだ」



 その中にいたのは、ローブを被った数人の男達。そして、取り囲むかのように真ん中に置かれたテーブルに視線を向けた。置かれていたのは、このアメトリス帝国の地図だ。



「無事入り込めた」


「そうか。決行は」


「次の、新月」



 この場所に、そう指をさす男。その男の腕には……何かの紋章の様なものが描かれている刺青が刻まれていた。


 これは__



 そんな時、思い切り扉が乱暴に開かれた。


 敵襲。


 男達は腰に下げていた剣を抜く。だが、突風のような風により壁に激突させられてしまったのだ。



「行け」


「畏まりました」



 入ってきたのは、3人の男達。緑色の髪の者、赤い髪の者。そして、金色の髪の者。暗闇の中、金色の瞳を光らせていた。








 俺の魔法、風魔法で戦闘不能にさせた。これは、皇族にしか使用出来ないもの。一人一人属性が違い、俺は風魔法が使える。因みに、陛下は雷魔法だ。まぁ、使えば誰だか分かってしまうがどうせ牢屋送りにするつもりなのだからそれはいいだろう。


 ようやく見つけた、我々が追ってきた集団の内の数名。全部で5人か。マクス、カシアスは持ってきていた縄で奴らを括りつけ4人を気絶させた。そしてもう一人に問いかける。



「《碧の使徒》だな」



 やはり口を割らないか。黙ったままだ。



「……いや、違う。お前、その顔、見た事あるぞ。暗殺ギルドの餓狼だろ」


「チッ……」



 ギルドを雇っていたのか。気絶させる人物を間違ったな。まぁいい、あとで割らせればいいだけだ。



「とりあえず《凶夢の牢》にでも入れておけ」


「まッ待ってくれッ!!違うんだッ!!」



 凶夢の牢。その言葉で焦りを見せたこの男。そこは、どんな牢なのかは全く知らされていないが、入れられた者は一生出る事が許されない場所であり、中に入れられた者の末路は悲惨なものだとだけ噂が流れている。



「おッ俺は雇われただけでッ……そう、さっきの《碧の使徒》だッ!!」



 そこにいる奴らか、そう聞いてみたが違うらしい。そいつらはただの仲介役。直接契約をした者は違う場所にいるらしい。奴らと会ったのは、静寂の森の中。あまり顔が見れなかったが、前金だけを渡された。



「あッ……その中に一人ッ!!アンタと一緒の金色の眼をしたやつがいたッ!!帰り際に光ってたんだッ!!アイツは、もしや……「黙れ」」



 金色の瞳。髪は、暗くて良く見えなかったらしいが……



「……連れていけ」



 待ってくれッ!!あそこにだけはッ!!そんな叫び声は聞こえてきたが、俺はそれどころではなかった。



「閣下……」


「…………どうして、ここで皇族が出てくるんだ……」



 金色の髪に、金色の眼。それは、このアメトリス帝国の皇族の特徴だ。それを持つものは、皇族であるという証拠。今の皇族内男性は、もう俺と陛下、そして皇太子のみだ。


 皇太子はあり得ない。まだ4歳の子供だ。なら、陛下という事になるが……それもあり得ないだろう。


 俺は6人兄弟の内の四男。3人の兄に、一人の姉と一人の妹がいる。姉妹は他国へ嫁ぎ、そして兄弟の方は俺と陛下のみが生きている。……そう、次男と三男は殺されたのだ。今の皇帝であるサミュエル兄上が、皇帝になる際に。


 俺は当時、母上の腹の中だったから免れたが、邪魔だった兄弟二人は皇帝が自らの手で殺した。


 だから、生きているわけがないんだ。皇帝は、容赦のない人物だ。だから、見逃がすなんてことはしない。見間違いじゃないのか、そう思ってしまった。



 なら、一体誰なんだ。


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