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■17 勇者の伝説


 空は光り輝く満月、そして周りに散りばめられた星々。


 そんな夜空の下で心地良い音を奏でて楽しく踊る領民達。


 明日首都に帰ることになり、今夜はお祭りに連れてきてもらった。ニヤニヤとアンディを見ながら遠慮するとマクスとカシアスはお留守番になった。


 私が周りの風景に視線を奪われていた時、右手を取られた。アンディだ。



「逸れる」



 ……顔真っ赤だな。学生時代の青春かよ。こっちのが恥ずかしくなるわおい。


 真っ赤になりつつも、彼は色々な事を教えてくれた。と言うか、私の視線を読みすぎ。まぁ私は喋れません設定だから助かるんだけどさ。そこら辺見ればきっと日本とかじゃモテたんだろうね。あ、見た目もイケメンだからもっとか。


 そういえば、彼の首に下げられているネックレス。小さい鉱石? に穴を空け紐を通しているようなものだ。夜になると白い光を放っているのを何度か見ていた。そんな私の視線に気が付いた彼は、これか? と手に取って。



「これは、母の形見なんだ」



 これは、〝ホワイトムーンストーン〟と言うらしい。……何か、同じ種類の色違い、持ってたような……



「これと、ブルームーンストーンを揃えると願いが叶うという話があるんだ。まぁ、ブルームーンストーンだなんて昔話の中でしか出てこないがな」



 ……収納空間の中に、あったような、なかったような……あったな。うん。なんかすんません。


 そんな時、聞こえてきた。《エクスカリバー》と言う単語だ。おっとっと、何か身近で何度も触れてる言葉だぞぉ?


 

「見るか?」



 彼が指を指したのは、あれは……舞台かな。劇をやるようだ。折角だから見てみようかなぁ、なんて思いながら二人並んで席に座った。



「 昔々のその昔、知る人ぞ知る土地の潤う水の都があったとさ 」



 その水の都を作りし水の神ファラメスにより、人を脅かす魔の者達は一歩も入る事を許されなかった。


 そして、人々を脅かす魔の王を倒すべく立ち上がったのは、その国一の強者バレル。


 水神ファラメスは、彼に退魔の剣を与え、選ばれた者達と共に魔王の元へ旅立っていった。


 そして、彼らは討ち取ったのだ。



 このお話は、そこで終わり。劇団達が舞台に並び、周りの観衆たちの拍手を受けながら一斉に頭を下げたのが見えた。


 退魔の剣、それは冒頭にあった通りエクスカリバーの事だ。


 けれど、悟った。


 以前、私の収納空間の中に入っているそれを手に入れたのは、あのヒュードルア洞窟。そして、それを抜いた時にファラストメア国の新たな君主となった。


 もし、もし勇者が……ファラストメアの民だったと、したら……?


 水神ファラメスが作った国が、ファラストメア国だったとしたら……? 



「イヴ、どうした?」



 顔色が悪いぞ、と言われ我に返った。大丈夫、夜だから悪く見えただけだよと顔に出さないように返した。


 ファラストメア王国。


 魔族を国に入れる事を拒み、そしてその民の一人が魔族の王、魔王を討ち取った。もしそれが、本当なのだとしたら……




 STATUS

 根本彩羽 Lv.87

 種族:吸血鬼

 称号:忘れられた王国[ファラストメア]の新たな君主、聖剣[エクスカリバー]の主、龍殺し





 __魔族を受け付けない国の君主。



 そして……



 __魔族である、吸血鬼。



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