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転生吸血鬼がエクスカリバーを引っこ抜いた!~魔族でも中身はれっきとした人間だから殺さないでっ!!~  作者: 楠ノ木雫


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■15 メルテルス領へ


「メルテルス領?」


「そう、ここの隣なんだ」



 その領地に、三人は仕事で行くことになったらしい。仕事、とは彼らの所属するギルドの依頼なんだとか。ジェイクのいるところとは違うようだ。


 もちろん私も付いていく事になる。魔族であるため護衛という名の見張りをしなければいけないからだ。



「昼間移動でも私平気だよ?」


「無理しなくていい、距離も結構ある」



 何度も何度も大丈夫と言ってはいるがずっとアンディはこの調子。夜じゃなくても大丈夫なんだけどなぁ。視界悪くて大変じゃない?


 お荷物になっちゃっているみたいだ、何だか申し訳ない。



「馬、乗った事あるか?」


「ううん」



 じゃあ俺のに、とアンディが乗せてくれることになった。何だか、マクスとカシアスが視線で何かをアンディに訴えてはいるけれど、何と言っているのかは全く分からない。


 掴まれ、と馬に乗るアンディに手を出され、引き上げられた。うわ、結構高い。座っている所が動くから中々落ち着かない。落とさないから安心していいと言われてもですな、暗いせいもあってちょっとだけ怖いんですよ。あー私が吸血鬼じゃなければこんな苦労しなかったのに!



「今丁度、収穫祭だったっけ」


「あぁ、もうそういう時期か」



 収穫祭で、数日はお祭り騒ぎだそうだ。夜も色々とやっているらしい。あ、でも私魔族だから程々にしなきゃだな。気を付けよう。それに、三人は仕事をしに行くんだから、付いていくだけの私が迷惑を掛けちゃダメだもんね。


 道中は、皆が使うようなちゃんとした道を進んでいるようでモンスターと出くわすことは無く、無事領地へ入る事が出来た。


 馬が初めてな私の為に何度か休みは入れてくれたけれど、ローブの中に陽の光が入らないように抱え込まれて建物の中に入れられてしまって。いや、そこまでしなくていいから。ちゃんと歩けます、と言ってはみたものの、疲れているんだから大人しくしていてくれと言われ、あぁこれは言っても聞かないだろうなぁと諦めた。



「わぁ……!」



 領地の、中心都市に着くと、夜のはずなのに凄く明るくて驚いた。とても明るいランプがそこら中に設置されている。とても綺麗だ。近くで見てみると、ランプがとても綺麗に装飾されている。昼間も見てみたいな。


 荷物があるから、とりあえず宿に向かおう。そう言って、あらかじめ決めていたらしい宿屋に案内してくれた。


 ここは旅籠の都市。宿屋がたくさん集まっていて、旅人が立ち寄る為の場所と言われているそうだ。確かに、この宿も中がとても綺麗。部屋の中も、沢山そろっている。3人部屋、そして私の為に隣の1部屋を取ってくれた。何だか申し訳ないと宿代を渡そうとはしたけれど、俺たちの都合で連れてきたのだから要らないと言われてしまった。


 宿の一階にある食事処で、ご飯を食べる事になった。私は、一応食事ができるから付いていく。けど……



「イヴじゃん」



 ここはメルテルス領中心都市、いつもの首都ではない。なのに、何でこの人がいるのだろうか。……ジェイクが。もしこの都市に用事があったとしても、何でこの宿にいるんだろうか。いや、偶然? 偶然過ぎるでしょ。どんだけなのよ。



「ここで会えるなんて偶然だね。最近見かけないから心配してたんだ。俺が教えた宿出ちゃってたようだったしね」



 それで、この人達は? とマクス、カシアス、アンディ達の方に視線を向けた。さて、どう説明した方がいいだろうか。そういえば、私喋れない設定だったのこの人達に言ってないな、と急いでメモを出した。これで気づいてくれ、頼む。


 と思ったら、私の被っているフードの上に手が置かれた。この手はマクスだ。



「へぇ、お友達? 俺らの(・・・)イヴちゃんと仲良くしてくれてありがとうね」


「……首都に初めて来たらしくて案内してあげたんだ。困っていた子がいたら声をかけるのは当たり前だろ? でも、君と話せてこっちも楽しかったよ。あ、この前二人で一緒に行った店、また美味しい商品出たんだって。今度一緒に行こ?」


「……そうか、助けてくれた事には感謝する。こちらからもお礼を言わせてくれ」



 そして、アンディは私にこう言った。……笑顔で。めっちゃ怖い笑顔で。



「……すまないイヴ、俺達がちゃんと言わなかったのが悪かったな。ストーカーペテン師には付いていくなと言っておけば良かったよ」



 さも、ジェイクにわざと聞こえるかのように言っているようで。ちらりと見えるジェイクはというと……すっごくニコニコ顔だ。すっごく、うん、すっごく。……この人達、知り合いだな。


 じゃあ行こうか、とジェイクとの間にわざとカシアスが入り背中を押されその場を去ったのだった。





「……飲んだか」


「……?」



 小さい声だったけれど、すっごく真面目、というかちょっと怖い顔でこっちに聞いてくるアンディ。あぁ、そういう事か。なら、と一応筆談で答えた。



〝私、アンディの味しか知らないよ〟



 ……はい。アンディさん、スキル赤面発動。マジで真っ赤になっているんだけど。てか聞いたのお前だろ。



 面白いと思ってくださった方、もしよろしければブクマ、評価、ご感想などなどよろしくお願いします。特にご感想やレビューなどがあればとても嬉しいです。励みになります!

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