■13 魔力項目
STATUS
根本彩羽 Lv.87
種族:吸血鬼
称号:忘れられた王国[ファラストメア]の新たな君主、聖剣[エクスカリバー]の主、龍殺し
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飛行:Lv.70 打撃:Lv.80
吸血:Lv.85 治癒:Lv.75
目利き:Lv.80 鑑定:Lv.70
筋力:Lv.MAX 魔力:30%
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権力者の手:MAX
権力者の眼光:MAX
絶対服従:MAX
アンディから血を貰い……いや、襲ったのか。そしたらレベルが格段に上がった。そして、新しい項目が増えた。この[魔力]だ。きっと最大値の30%って事なのだろう。魔力って言われてもなぁ……何に使うんだろう。
今までなかったから、スキルに必要ないものだ。だから、これがどういうものなのか全く分からない。これから魔法とか使えるようになるとか、そういう事なのか?
「貴方はいいの?」
「え?」
話しかけた相手は、マクスだ。因みに、この部屋には私とマクスのみ。二人はついさっきどこかへ行った。私は魔族だからね、見張りは大切だ。まぁ、アンディは護衛だと言ってくれたけれど。
今は昼間、だから部屋の窓も締め切りで陽の光が入らないようにしている。彼らは、私が陽の光に当たると焼かれてしまうと思い込んでいるようだ。まぁ、聞かれないから私も言わないだけなんだけど。
私がこうして生きていられるのは、アンディのおかげ。だけど、マクス、カシアスの意見は聞いていなかった。
「んー、まぁ、魔族は人間にとって敵なわけではあるけど……無闇矢鱈に殺すだとかって事はやりたくはないかなぁ」
以前の吸血鬼事件、アンタ? と聞かれ、違うと答えた。マクスも、私がやった事じゃないと知っていたようで。だって、目撃情報には黒髪赤目となっている。私は全く当てはまっていないわけだ。
悪さしなきゃ何も言わない、だそうだ。
「今犯人捜してんだけどさ、なっかなか見つからなくて困ってんだわ。何か知ってる?」
それ、私がふっ飛ばしました。……言っていい?? だって、大変そうだし。静寂の森まで捜しに行くってなるまでどれだけの時間がかかるか分からないし、もしかしたらもうアイツは移動してしまっているかもしれない。
「静寂の森」
「え? 静寂?」
「そう、静寂の森」
固まったマクス。そして、何を思ったのか冷汗をかき……マジ? と聞いてきた。いや、本当の事言っただけであって、嘘はついてない、断じて。襲われそうになって、正当防衛をしただけだ。
「……何した」
「投げ飛ばした」
「マジかぁ……」
アンタ何者、って聞きたそうだけど、吸血鬼ですとしか答えられないよ? あ、転生吸血鬼です。中身が人間だったんで。……言っていいのか?? 言って信じてもらえるのか分からないし、それを聞いてどんな反応をするのかも分からない。転生した人って、この世界で私の他にいるのかな? また魔族みたいな位置づけだったとしたら背筋が凍る。やめとこ。
「マクスー、イヴいじめんなってアンディが言ってたぞー」
そう言いながら部屋に入ってきたカシアス。それ、イヴに言ったら殺すって言われたろ、と呆れ顔をするマクスに、正解! とグッドサインを出してきた。俺は今お前に言ったんだから大丈夫大丈夫! だそうだ。
三人は、とても仲がいい。いつから一緒なんだろうか。きっと、ずっと前からなのだろうな。互いが互いをよく知っているように見える。いいなぁ、私も交ぜてほしい。
カシアスには、飯は? と聞かれ、え、血くれるの? と言いたそうになったけれど、これから二人は食事にするらしい。普通のご飯が食べれるかどうかという事だった。勿論私はうんと答えた。
「俺の血は勘弁ね」
「こいつのは美味くねぇぞ、アル中だからな」
へぇ、マクスって酒豪だったんだ。私も結構いける口よ? まぁ、この世界のお酒はまだ飲んだことないし、口に合うかどうかは分からないけれどね。でも興味はある。
こうやって仲良くしてくれて、とても嬉しいなぁ。ここに来るまで、出会った人達とは筆談しか出来なかったから余計だね。
あ、そういえば、あのファラストメア国民の子孫の人。名前は確か、オリヴァーだっけ。ハンカチ貸して、返すのは図書館でって言ったような。きっと待ってるよね。でも、私今外に出られないからなぁ。あそこ何時までやってるんだろ。
まぁでも、あのハンカチは大切なものでもないんだし……いっか。
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