決意
何で今日はこんなに暑いのだろうか…そんなことを考えながら過ごした1日でした。
まぁ、そんなことはさておき、本編をどうぞ!
「どうしようか?これ?」
「せっかくもらったんだから、ありがたく受け取っちゃえば良いんじゃないかな?」
砦の人達に話を聞いていくと、その人達から色々と物をもらってしまった。
特に食料をもらった…彼女さんにちゃんと食べさせてあげてねとかなんとか…どうやら、俺と弥生は異世界でも恋人に見られることがあるらしい。
もう慣れてしまっている自分が恐ろしい…このままじゃ、まずい気がするな…気をつけよう。
「情報収集はどれくらい進みましたか?」
「あんまり進まなかった…皆、魔王軍が次から次へと街を破壊してこちらに向かってるってのは知ってるんだけど、どのタイミングで来るかはわかってないみたいだ」
さらに、魔王軍にどんなやつが居るかもあんまりわかっていなかったみたいで、とにかくとんでもない化け物がいっぱい居るということしかわからなかった。
さすがに情報が少なすぎる…もしかして、見張りの兵士さん達なら何か知ってるか?
「…砦の前の兵士さん達に話を聞いてみよう。もしかしたら何か知っているかもしれないし」
「そうだね、聞いてみようよ」
そうして、俺達は見張りの兵士達の元に向かった。
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「どうも。今、大丈夫ですか?」
「君はさっきの…どうだい、少しは休めたかい?」
「はい、おかげさまで…本当にありがとうございます」
「それは良かった。それでどうしたんだい?」
「…単刀直入に聞きます。魔王軍は後どれくらいでここに来そうですか?」
俺の質問に兵士は驚いた表情をする。
そして、しばし考える素振りを見せてから口を開いた。
「これは他の人には言わないでほしいんだが」
「わかってます」
「…あと3日といったところだ。一応、まだまだ兵站はあるし、兵士達も多くいる。籠城戦になれば10日は持ちこたえられると私達は考えている」
「あと3日で魔王軍が…」
魔王軍が来るまで3日、籠城戦で10日か…つまり、この砦が崩壊するまで、半月もないってことか。
もちろん、想定外の出来事でそれが短くなったり長くなったりはするだろうけど、どっちにしても時間はあまり残されていないだろう。
「ここの砦は、この世界に生きる人々の最後の希望…もし、この砦が崩壊すれば人類は滅びてしまうだろう。勇者様が魔王を倒すまではこの砦を必ず守り抜かなくては」
「勇者…」
今、この世界はクローザーによって未来が閉ざされている。つまり、クローザーをどうにかしないと勇者が魔王を打ち倒す未来は永遠に訪れない。
そしたら、この世界の人々は魔王軍に容赦なく殺されてしまう…いや、もしかしたら死ぬより恐ろしい目に遭う可能性だってある。
それは嫌だ…例え、俺達がこの世界の人間でなくても世界がこのままだと滅亡するとわかっていて、見て見ぬ振りをすることはできない。
「すまない。不安を煽るようなことを言ってしまったな…安心してくれ君達のことは必ず守ってみせる」
「いえ、聞いたのは僕ですから…ありがとうございます。でも、何故僕達にここまで良くしてくれるんですか?」
「私情さ…私にも君と同じように妹がいたんだ…妹は優れた魔法使いで、勇者様と共に魔王を倒すために旅に出たのだが、魔王軍に襲われている人々を救う為にその命を散らしてしまった」
「そんな…」
「だから、君達には私達のような悲劇を繰り返してほしくなくて、ついつい手を貸してしまったんだ…良いかい?君は必ず妹と共に生き残ってくれ…約束だ」
「…はい」
「よし!それでは私は勤務に戻る。君達はもう少しゆっくり休んで英気を養ってくれ」
「ありがとうございます。それじゃあ僕も戻ります」
そう伝えて、弥生達が待つ物陰に向かって歩いていく。
「兄さん、どうだった?」
「貴重な情報を手に入れられたよ……あんまり状況は良くないみたいだ」
「そうなんだ…それで、これからどうするの?」
これからどうするか…それはさっきの兵士の人の話を聞いて、ようやく覚悟を決めた。
「行こう、クローザーを倒しに!」
「兄さん…!」
「創太さん、ついにクローザーを倒す決意をしたんですね!」
「あぁ…といってもこのまま無策で突っ込むつもりはないけどな」
クローザーを倒して、この世界の未来を取り戻す…それは変わらないが、流石に無策で突っ込むわけにはいかない。
まず、クローザーの居る場所に行く方法、この世界で言うなら魔王と勇者が戦っている場所だが、そこに行くまでの移動方法やルートについても考えなきゃいけない。
それに、仮に魔王軍に遭遇した場合の対処とか、他にも色々と考えることはある。
「2人共、一緒に作戦を考えてくれないか?」
「もちろん!任せて、兄さん!」
「三人寄れば文殊の知恵とも言いますし、私も協力しますよ!」
「ありがとう…それじゃあ作戦会議といこう」
そうして、俺達はクローザーを倒す作戦について話し合うのだった。
といった感じの第6話でした!
それでは今回はここまで!ここまでの拝読ありがとうございます!