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ストーリー・フィクサー  作者: 切り札の一手
6/8

砦の中へ

最初は玄信達の視点で、後半から創太達の視点になります。それでは本編をどうぞ!

「創太の奴、遅いな…もう昼休み終わるぜ?」

「確かに、神白遅いよね…もしかして、サボり?でも、神白はそんな奴じゃないもんね」

「だな…だとしたら、まだ図書室に居るかもしんないな。よし、ちょっと見に行ってくるわ」

「私も行こっか?」

「入れ違いになるかもしれないし、紡木はここで待っててくれ」

――――――――――

―――――――

――――

「創太〜、弥生ちゃ〜ん、いないのか?おばちゃん、創太達見なかった?」

「あぁ、あの2人ならさっきまで図書室に居たわよ…ただ、気づいたら居なくなってたのよ、もう教室に戻ったんじゃないかしら?」

「そっか、あんがとな、おばちゃん。もうちょい探してみるわ」

 図書室のおばちゃんに礼を言って、教室に戻ることにする。

 にしても、創太達の奴どこに行ったんだ?図書室に行く途中でもすれ違わなかったぞ。

 これじゃ教室にも居ないだろうな…まさか、2人共、神隠しに遭ったんじゃね?

 いやいや、まさかな…でも、万が一そうだったらヤバくね?あいつら、大丈夫か…いや、ニュースでも神隠しに遭った高校生達は無事に戻ってきたし、2人もきっと無事に決まってる!

 とりあえず、残りの授業の内容は創太の分のノートも取っておくか。あいつが戻ってきた時に授業の内容がわかんなかったら困るだろうし。

 早く戻って来いよ、2人共。

//////////////

「お前達、一体何者だ?」

 砦に入ろうとした俺達を見張りの兵士が呼び止める。

「すみません。僕達は魔王軍から逃げ延びた旅人なんです。さっきの森でも獣に襲われまして…出来れば妹を休ませたいんですが」

「なるほど、あの森には凶悪な魔物が潜んでいると聞いたことがある。よく無事に逃げ切ったものだ…早く妹を休ませてあげると良い」

「ありがとうございます!さ、行こう!本当にありがとうございます!」

 そうして、弥生とコアを連れていき、砦の中に入っていく。

「ふぅ、何とか入れたな…」

「上手くいって良かったですね…まさか、こんなにあっさり入れるとは思いませんでしたよ」

「そうだな…コアが用意してくれたボロボロの上着のおかげかもな」

「創太さんに頼まれた時は何故かと思いましたが、この為だったんですね」

「あぁ、そういうことだ…ここまで上手くいくとは思わなかったけど」

 砦に入る前に、コアにボロボロの上着を用意してもらった。こういう砦には門番のような人が大体居るものだから、そういう人達に自分達が避難してきた人間ということを印象づけたかった。

 ただ、それでも簡単には入れないと思っていた。まぁ、もし入れなければ色々と演技をしようとは考えていたけど。

 あの人達が良い人達で本当に良かった…ちょっと罪悪感があるけど…まぁ、弥生を休ませたかったのは本当だし、獣に襲われたのも事実だからな。

「さて、とりあえず話を聞きたい所だけど…少し休むか」

「そうだね、一旦色々と整理したいこともあるし」

「あぁ、そうしよう」

「では休憩がてら、お二人の武器について説明しておきましょう」

「それは気になるな…出来るだけ声は小さめで説明してくれ」

「わかりました。まず武器ですが、お二人が武器を出したいと思えばすぐに出せますよ」

「そうなのか…じゃあ試しにやってみるか」

 そうして、武器を出したいと思った瞬間、俺の手にリボルバーとナイフ、腰にワイヤーガンが出現する。

 そして、弥生には魔法の杖のようなものが握られていた。

「すごい…本当に出てきたな」

「それが、あなた達のジョブの基本装備です。創太さんの装備の使い方はわかると思いますので、弥生さんの装備について説明させていただきますね」

「いや、さすがに銃の使い方は知らないぞ」

「大丈夫です、創太さんの銃は引き金を引けばそのまま発射できる特別仕様なので」

「そうなのか…なら、大丈夫か」

「はい。それで、弥生さんの装備についてですが、弥生さんの杖は回復魔法を使う時に、魔力の消耗を抑えつつ、回復魔法の効果を上げる便利アイテムです」

 なにそれ、めちゃくちゃ便利なアイテムじゃん…というか、魔力とかの概念あるんだ。

「なら、兄さんが怪我をした時は、私の杖を介して回復するね!」

「その時は頼んだ。そういや、一応確認したいんだけど、回復師って何ができるんだ?」

「回復師は、傷を治したり、体力を回復させたりできます。後は、状態異常を治したりもできますよ」

「回復全般ができるってことか…すごいな」

「まぁ、さすがに死者蘇生や、重い病気は治せませんが」

「それはそうだろうな…そんなことが出来たら、もはや神だよ」

 でも、回復系の魔法はほとんどできるってことはかなりすごい。ただ、弥生の魔力も無限ではないだろうし、無理はさせないようにしないと。

 幸い、俺は怪盗との親和性が高いおかげか、敵の核を盗むことが可能みたいだし、真正面からやり合うような無茶はできる限りしないようにして、ダメージを負わないように立ち回るのが良いか。

 そもそも正面戦闘は怪盗らしくはないしな。

 ま、出来れば戦いそのものを回避したいところではあるけど、クローザーとは絶対に戦わなきゃいけないしな……とりあえず、今は弥生を守るために全力を尽くそう。

「よし、それじゃあそろそろ情報収集に行こうか」

「そうだね、手分けして情報収集しに行こ」

「いや、それはダメだ。そっちの方が効率は良いかもしれないけど、危険すぎる」

 思わず口早にそう告げてしまう。だが、こればかりは許してほしい。

「兄さん…」

「ごめん、ちょっと焦っててさ…」

 今の俺達には連絡手段がない、そんな状況で右も左もわからない異世界で別行動するのはあまりに危険すぎる。

 予め集合場所を決めておけば良いかもしれないが、万が一、弥生に何かあった時に助けることができない。

「そうですね、ここは創太さんの言う通り、一緒に行動しましょう」

「だね。今の兄さんを1人にはできないし」

「ありがとう…それじゃあ一緒に聞きに行こう」

 そうして、俺達は情報収集をする為に歩き始めた。

////////////////

「弥生さん、これは私が口を出すことではないかもしれませんが…聞いて頂けますか?」

 私の手に収まっているコアが真剣な口調でそう話し始める。

「わかってる。兄さんのことだよね」

「そうです…創太さんはとても追い詰められています。それは私から見てもわかるほどに」

 それはとっくに感じていた。だって、私は誰よりも兄さんのことを知っているから。

「うん…多分、兄さんは私のことを守ろうと必死になってくれているんだと思う」

「…やはり、弥生さんは気づいていたんですね」

「もちろんだよ…ずっと兄さんのことを見てきたから、兄さんのことなら大体わかるよ」

 小さい頃から、兄さんは私のことをいつも助けてくれた…きっと、今も私を守ろうとしてくれているんだと思う。

 それが嬉しい反面、兄さんの重荷になってしまっているんじゃないかと不安になるけど…私もなにか力になりたいな。

「まぁ、そうでしょうね…とりあえず、私の言いたいことは1つ!創太さんの力になれるようにお互いに頑張りましょう!ということです」

 驚いた…まさか、コアも私と同じ気持ちだったなんて。コアもコアなりに兄さんのことを気遣ってくれているのかな。

 そんなことを思いながら、コアに言葉を返す。

「そうだね!でも、コアは何で兄さんのことを心配してくれるの?」

「それは、彼がとても素質のあるフィクサーだからです!彼にはこれからも色々と協力して頂きたいことが山ほどありますから」

 一瞬、見直した私がバカだった…やっぱり、コアは信用ならない。

 そもそも、私達を勝手にストーリー・ワールドに呼んだのに、さらに兄さんを巻き込むつもり?それは許せない。

 でも、兄さんは何だかんだで助けちゃうんだろうな……仕方ない、釘を刺すぐらいに留めてあげよう。

「…兄さんに酷いことしたら許さないよ?」

「ヒッ!?だ、大丈夫ですよ。そんな酷いことはしませんから…だから、その顔は止めてください!ほ、ほら創太さんが心配そうな顔でこっちに来てますよ!」


「弥生!コア!良かった、無事で…あの人に話を聞いてたら、居なくなってたからびっくりした」


「心配しすぎだよ、兄さん。私ってそんなに頼りにならないかな?」

「いや、そんなことは……ごめん、ちょっと心配しすぎだな…」

「兄さん、あんまり1人で抱え込みすぎないで…私も居るんだから、もっと頼ってよ」

「弥生…そうだな…これからはもう少し弥生を頼るようにするよ。ありがとう」

 そう言って、兄さんは小さく笑った。まだ兄さんの重荷が完全になくなったわけじゃないだろうけど、少しは元気になってくれたかな?

 そうだったら嬉しいな。

「どういたしまして!じゃあ兄さん、早く次に行こ!」

「あぁ、そうだな!」

 そうして、私と兄さんは情報収集の続きに向かった。

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