魂世
地龍と戦い始める前
魂界にて
「なぁ、人狼なんでお前はA級魔物に勝てたんだ?」
「む?何故だと?鬼王は翔の固有スキルを忘れたのか?」
「取得時ランクアップだろ?覚えているに決まっているだろ。それとなんの関係があるんだよ?」
「取得時ランクアップは人から貰った物は適応されないが、魔物からだと話しは変わるらしい。魂を預けたすぐに変化が起きたんだ。魂に何かが詰まる感覚。そのような感覚が出てきて、日を追う事にそれが身体に馴染んで来たのだ。なのでA級魔物に勝てたんだ」
「なんだと?俺にはそんなのなかったぞ」
円形の机に対面しながら椅子に腰を下ろしている人狼と鬼王。
その隣には人狼の仮の身体が再生している所だった。
「これは俺の憶測だがな」
「聞かせて貰おうか」
そう言いながら机に置いて会ったコーヒーを啜る。
魂界では想像したものを創造することが出来るのでコーヒー等の飲み物から物まで作る事が出来る。
ただ、味はあんまり再現出来ない。
「これは自我が芽生えた時の年月によると思うんだ。鬼王はダンジョン主になる前に自我あるだろう?そして、オーガ達は進化しているので魂の器が埋まっている。そして、フロリアも鬼王と同じように昔から自我会った。そして、魂の器は自我芽生えた瞬間に出来たと考えられる。鬼王は長年生きているので魂の器が溜まっていたが、俺の場合は自我芽生えたすぐに魂を翔に渡した。魂の器のみが出来ている状況だ。そして、翔のスキルで魂に中身が出来た。そして、急成長したのだ。未だに全てが身体に馴染んだ訳では無い。それにあっちで戦ってレベルを上がればさらに強くなるだろうな」
「なるほどね。でもさ、それなら俺はさらに強くなっていると思うのだが?」
「王系は部下の量や質量で強さが変わるしな。う〜んそこが分からないんだよな」
そう言って悩む人狼。
「魂の器の違いかな?」
「S級は元々満タンてか」
「かもしれない。今の俺はA級相当の強さだ。多分、魔物はS級までしかなれない魂の器しかないのかもしれない。だからS級の鬼王はスキルの範囲に入らなかったのではないか?」
「なるほどね。ん、何となくわかった」
そう言って鬼人と鬼龍を呼ぶ。
そして、鬼王が右手を少し上げて、手の平を上に向けると、手の上にトランプカードの束が出現する。
「うっし、ババ抜きしようぜ。負けたら腕立て15万回な」
それからババ抜きが開始した。
ここで、判明したのは人狼がポーカーフェイスが苦手な事だった。
案の定、人狼は4抜き目になった。
「さあ、罰ゲームだ」
「ガンバ〜」
「人狼ならすぐだろ」
4分後
「終わったぞ」
「速いね。相変わらず」
それから5回ぐらいババ抜きをして、その全てが人狼の負けに終わった。
その後、特訓の時間になった。
「うっし、行くぞ人狼」
「ああ、来い!」
人狼と鬼王の拳がぶつかる。
火花を散らし、空気の流れがぶつかり合っている所を中心に人狼と鬼王に吹き荒れる。
鬼王は手加減をしている。
そうじゃあないと勝負にならないからだ。
元々、翔よりもステータススペックは鬼王の方が高かったのだ。
自動防衛に頼らず、すぐに攻撃に移っていたら翔の負けだっただろう。
それから数度拳のぶつかり合いが行われる。
人狼が回し蹴りを鬼王の頭に向ける。
鬼王は右手の甲で回し蹴りを受け止めて、向きを変えて足首を掴む。
そのまま後ろに引き、人狼の顔に向けて左拳を入れるが、身体を捻り躱す。
攻撃して躱して反撃の繰り返し。
「はぁあぁあ」
「まだまだ」
人狼の連撃を全て手の甲で受け流す。
(人狼の奴格闘術だけなら俺以上の強さになってきているな。前の時よりも強くなっているな。でもな、お前が強くなるように俺も強くなっているんだ)
鬼王が拳を地面に向かって全力で殴る。
地面が振動し、衝撃波が人狼に向けてそのまま進んでいく。
地面を一直線にえぐっていく。
跳んで、グルっと回り、空気を圧縮して足場に使い跳ぶ人狼。
翔の2段ジャンプの真似だ。
翔の気の特訓を手伝っている時に覚えた技能だ。
翔みたいにすぐに出来た訳では無いが、最近になって覚えたのだ。
「ふむ、いつの間にそんな技能を?」
「つい最近だ」
そのまま1時間程地形を破壊しながら戦闘訓練をし、終わったら創造した温泉に入る。
身体の汗をながらしら今度は人狼と鬼人との戦闘訓練が始まる。
その後も諸々戦闘訓練をした。
「休憩がてら人生ゲームしようぜ」
「鬼王様ってゲーム大好きですよね」
鬼人が呆れた顔で呟く。
人生ゲームは、勝負にならなかった。
どのくらいの力で回せば何処に行くかが分かるので、殆ど均等のお金で終わってしまったのだ。
ゴール順にお金を貰えるルールは今回は付けなかったが、今度から付けようと決めた。
それからボードゲーム等を楽しんだ。
「それにしても、あっちとこことじゃあかなりの時間差があるな」
「そうだな。こっちの1日があっちの1時間だもんな。なんか、今地龍と戦っているし」
「龍種ってどんなのだ?」
「ふふ、ならば教えて上げよう。この賢き鬼王さんが!前にも言ったと思うが龍種には元素となる三大龍種がいる。水流、地龍、飛龍だ。水流は今、翔が戦っている地龍のような見た目で蛇みたいなやつだ。地龍は4足補講でゴツゴツした見た目が多いな。飛龍は翼を持っており、空を飛ぶことが出来る龍だ。そこから進化して新たな属性龍か上位互換の龍になる。ワイバーンと龍との違いはワイバーンは前足から翼が生えているが、龍は背中からだ。人は竜も龍もまとめてドラゴンや青龍とか言うらしいが」
「龍にはどのくらいの種類があるんだ?」
「?そんなの分かるわけないだろう。進化の歯止めがあるかも分からない状況だ。そもそも龍種は成長が遅いんだ。だから属性龍か上位互換の龍になってもう1回ぐらい進化すると進化しないやつの方が多いな」
「未だに全容が分からないのか」
「龍種に限った話ではない。王系等は次なる進化は期待出来ないが、人狼達ならさらなる進化があるかもしれない」
「俺達はどこから生まれたんだ」
鬼王が天を見上げながら呟く。
「それは、遠い遠い世界からだろうな。神々は何を考え、何を成したいかは分からない。ただ、俺達は今の世界に慣れるしかないんだ」
「違う世界か。そんなものが存在すると思うか?」
「思うか?じゃあない。あるんだよ。他にも世界ってのは。いくつも。戦争は人々の間だけとは思わない方がいい」
その鬼王の目は何かを悟ったような目だった。




