MPダンジョンー⑬
「ふむふむ」
階段のマークがあった辺りを散策しているが、それらしき道は一切ない。
壁に手を当てながら何かないかを隈無く探しているところだ。
考えていたら、発見した。
天井に青いボタンがあったのだ。
目を凝らさないと見えない程の小ささだ。
あれだと指は入らないな。なんてせこい設計なんだ。
「ラプラス」
ラプラスを伸ばせば、なんの問題もない。
しかし、先程からラプラスしか使っていないのでウリエルが不機嫌だ。
気のせいだと思うが、とても暗いオーラを出し、殺意のオーラをラプラスに向けている。
なんなの?怖いんだけど。
ラプラスがボタンを押すと、暗い空間にいた。
足場が見えないが、立っている感覚はしっかりしており、不自然と違和感はない。
さらに、目の前にはリビングアーマーを思わせる魔物がおり、その上には【突破クエスト】と出ている。
鑑定は反応しないし、解析は妨害を受けているのか、反応しない。
しかし、此奴を倒さないといけないのは分かった。
リビングアーマーの高さは3メートルはするだろう。
紅色の盾に、蒼色の鎧、黒銀の大剣を持っている。
暗視がなければ、こんなにくっきりと色は見えてなかっただろう。
ラプラスとウリエルを刀にして、二刀流にする。
それを、戦闘態勢だと感じたのかリビングアーマーが大剣を構えた。
鬼のような顔で、牙が剥き出しで角が生えているリビングアーマーの姿は、正直キモかった。
リビングアーマーが大剣を振り下ろすが、すんでのところで躱し、大剣とすれ違うようにリビングアーマーに向かって進む。
大剣に足をつけて、走り出そうとしたところで跳躍して離れる。
大剣が黒いモヤを出していた。
解析も鑑定も出来ないが、本能の奥底から怯えを感じているのだ。
あれは、やばい。
確信に近い感覚が襲ってくる。
そのモヤを見た瞬間から盾も鎧もなにかの能力があると見ていいだろう。
簡単には近ずけないし、鎧も硬そうなので俺の攻撃力だと苦労しそうである。
しそうではなく、するのだろう。
しかし、このリビングアーマーの目や鎧の隙間を凝視して分かったが、此奴には中身がある。
なら、鎧の隙間を攻撃していけば勝てるのだろうと予測する。
中身あるのにリビングアーマーはおかしいので、騎士とでも呼ぼうかな。どうでもいいか。
リビングアーマーは盾を俺に向けると、その盾が燃えて火炎放射を出てきた。
その火炎放射はレーザーだと思う太さを誇っていた。
汗がじわりと垂れてくる。
跳躍して、躱す。
今更だがこの空間には天井らしき物はないようだ。
かと言って翼にして飛んで戦うには、あれは不完全であり不安定だ。
もう少しウリエルに質量があれば良かったのだがね。
無いものねだりは良くない。
クルクル回転して、2段ジャンプによりリビングアーマーに向かって空を蹴る。
盾でガードしようと俺に向けてくる。これで相手は俺を見ることが出来ない。
なので、この攻撃をモロに受けるのだ。
ラプラスとウリエルを融合して、盾に向かって突き刺す。
ようにしてからギリギリで曲げて、盾の上を通り兜の隙間、目を狙う。
片目に突き刺した感覚が身体を巡る。
すぐに元に戻してから盾を足場にして、跳躍、後退で距離をとる。
大剣を地面に突き刺し、片目を抑えながら盾を構えている。
目を抑えている手が黒く光り、数秒後手を離した。
潰した目は完全に回復しており、両目を俺に向けている。
口元は分からないが、笑っているように感じる。
大剣を持とうとしたところを狙う。
「神風琉。飛翔風」
刃の風が縦にリビングアーマーの腕を狙う。
傷や壊すなんて出来る筈もないが、少し、ほんの少しだけ動きを遅らせた。
リビングアーマーの足元に迅速で駆けつける。
「神風琉。一風の太刀」
MPを節約したいので、スキルでの使用はしていない。
その分、威力は落ちるが今はそれが狙いではいのだ。
一風の太刀によりバランスを崩したところにスキルを叩き込む。
硬いやつにはこれだ。
「神風琉。【壱風の太刀】」
一風の太刀と壱風の太刀や読み方は同じだが、性能が違う。
壱風の方がMP消費が大きく、威力が高い。
一風は横だが、壱風は縦に斬るので振り下ろす感覚だ。
振り下ろすして、鎧に切り傷を与え、そのまま肉を斬る事に成功する。
切断は出来なかったが、十分だろう。
火炎放射を見て、盾よりも大剣の方が危険と判断したのでなるべく大剣を握らせないようにする。
しかし、そんな期待は簡単に終わるのだがね。
「へンケイ」
魔物らしいカタコトを話、盾が大剣に変わっていく。
「まじかよ」
その大剣は先程の盾同様紅色だが、最初から火を纏っており、燃えているのだ。
どうしたものか。
大剣を振り下ろすリビングアーマー。
俺はラプラスとウリエルをクロスさせ、大剣を防ぐ。
しかし、防御力が絶望的に低く、攻撃力は相手の方が上で、物量も相手の方が上だ。
どんどん潰されていく。
ラプラスとウリエルがどんどん熱くなるのを感じている。
火に熱される鍋のようだ。
このままでは俺の手は火傷して使い物にならなくなるし、押し潰され、ジッエンドだ。
それだけは避けたい未来だな。
でも逃げたくても、足が動かない。
『お兄ちゃん』
ああ、走馬灯ぽっいやつが見えてきた。
妹が励ましてくれている。
『こんなんで負けるとか、ダサいよ!』
なんか、馬鹿にされた!しかもめっちゃ笑顔に見える。
所詮走馬灯だ。きっと現実の妹様はこんな事を言わない。⋯⋯筈だ。
「確かに、こんな前座で負ける訳には⋯⋯行かないよね」
後のMPは120だ。
範囲殲滅は使わない。
範囲殲滅だけに頼っていたら俺の技量が下がってしまうし、いざと言う時に動けなくなる。
「神風琉。【十風の太刀】」
クロス状態から無理矢理解き放す。
それに合わせてエックス型の風の刃がリビングアーマーの大剣を押し返す。
残りMP70。
◇◇◇◇
「ねね、おかしくない」
「確かにおかしいわね」
「なんで、まだ魔物出てくるのよ!あ、またレベル上がった」
「あはは、レベリングトラップみたいだね」
「これじゃあ先に進めないよ。休む事も出来ないよ」
「なにか奥に有りそうだね。ちょっと見てくるよ」
「よろしく」
「私を爆破しないでね」
「しないよ!」
フフ、と笑い奏は空間を展開して空間転移魔法を発動する。
「なるほどね」




