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A級ダンジョンー⑧

 アークファイヤーワームを討伐後、道なりに沿って進んだいた。

 時には別れ道があったりもした。

 別れ道の殆どは右に進んでいる。

 それから進むこと数分。

 階段を発見する事に成功した。

 しかし、何時もの下の階層に行く時の階段と色が違うのが分かった。

 この階段は黒過ぎるのだ。


 ぺたぺた


 何か、登ってくる足音が聞こえる。

 出てきたのは、身体の全てが火であり、顔の部位はあるが、パーツがない。

 そう、火人だ。

 鑑定してみると、名前が火人仮となっていた。

 俺の、仮説が正しいと証明してくれた。

 俺の仮説、本体がいて、召喚して操っている仮説。


「神風琉。【神風】」


 風になって、最速で目視出来ない風となって、階段を速やかに降りる。

 そこは、王が王座に座り、その王座の下で家臣達が頭を下げるイメージが浮かび上がる場所だった。

 正面には、王座に腰掛ける火人がいた。

 しかし、ただの火人ではない。

 その体内から漏れ出る魔力、汗が止まらないレベルの空間の熱が高く、さらに火人の大きさが通常の倍以上あるのだ。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

 火人王 A級

 火人の王。

 王系ではない。

 分裂して、火人を生み出し、召喚で火人仮を生み出す。

 火属性攻撃無効、物理攻撃無効。

ーーーーーーーーーーーーーーーー


 鬼王きおと違って、王系では無いらしいが、名前に、王がある。

 なんとも紛らわしい名前なんだ。

 王系では無いのに、王の異名を持つ、てきな。

 火人王ひびとキング、見つけた時点で、幾ら勝ち目がなかろうとここで倒す。

 範囲殲滅でしか俺が火人王にダメージを与えられる攻撃が存在しない。

 しかし、ファイヤーワームですら範囲殲滅を耐えたのだ。

 火人王は余裕で耐えるだろう。

 だがら、少しでも火力を上げ、なるべく近くで発動させるしかない。

 火人に顔のパーツが無く、感情は読み取りにくいが、火人王は違った。

 確かに顔のパーツはないが、感情が溢れているのだ。

 侵入が現れた苛立ちの感情が、伝わってくる。

 火人王は地面に平行に右手を上げ、人差し指を俺に向けてくる。

 少し、火が揺れる。

 火人王の見た目は火人と大差がない。しかし、唯一圧倒的に違うところがある。それは頭のてっぺんが王冠のようになっていることだった。

 その王冠が揺れたのだ。

 そして、地面からゾンビ映画でゾンビが這い出てくるように火人が現れる。

 数は10ー20ー30!

 なんと30人?いるのだ。

 数が恐ろしい。

 それのどれもが物理攻撃無効なのだ。

 範囲殲滅を使えるのは、先程の回復分を合わせても後3回。

 鬼王の時のダンジョンでの戦利品は教会に渡してないので、エリクサー等も入っている。

 教会はダンジョンの階層が少なく、アイテムがないと説明した。

 だって、俺のユニークスキルが戦闘に役に立たないと分かれば、疑われる可能性がある。

 それにユニークスキルでSS級があると分かれば他の国が黙ってないだろう。

 それは楓と相談して決まった事だ。

 俺が信用して人は家族以外だと、楓の日向のみだ。

 日向には話す機会がなかっただけだ。

 楓が友達として認める奏さんも少しばかりは信用できるが、俺のユニークスキルについて話すつもりは今のところない。

 目立たない為に強すぎるスキルを隠すならアニメとかでもよくあるのに、弱いから隠すなんて初めてな気がする。

 まあ、アーティファクトにも適応させるなんて、前代未聞出しな。

 それよりも、本当にどうしようか、これ。

 ひたすら火人達の攻撃を余裕を持って、回避している。

 引火さる可能性があるかね。

 このままだと火人王に接近出来ない。

 天井に避難したくても、天井に火人がくっついているのだ。

 完全に対策されている。

 何故かは分からんが、火人王は俺が天井に足を着ける事が出来るのを知っているようだ。

 かと言って、アークファイヤーワームみたいにラプラスとウリエルを自分の周りに展開して、球体の中に俺が身を潜めても、熱によって焼けるだろう。

 アークファイヤーワームの討伐報酬のポーションを使うか?

 確かにあれなら火人の攻撃を無効に出来る。

 俺の身体をだけなら。

 今、着ている服はショッピングモールでこの前購入しておいた断熱・防寒性能が備わった防具なのだ。

 ポーションで一時的な防御を行い、突破したところで、防具が燃えてしまったら、ポーションの効果が切れたのと同時に俺の身体は焼けるだろう。

 ここに来て、革製の防具のダメなところを垣間見た気分だよ。

 防具もアーティファクトがいいな。無いものねだりは辞めよう。

 火人は最大30が限界らしい。

 外に出ている分を合わせたらどれだけか分からないが、今いるのは30体だけだ。

 10体は天井にいて、10体は壁の近くにいて、残り10体があれの相手をしている。

 なんともやりにくい空間だ。

 完全に俺の機動力となる壁や天井を守られている。

 天井はそこそこ低いのだ。

 高さ30メートルぐらい。

 先程の通路は高さ60メートルはあっただろう。

 考えろ、この場を打開出来る作戦を。この状況から逆転出来る方法を······!


 《受診。個体名:フロリア鬼人から「問題ない」と受診しました》


 ありがとうな、鬼人。

 鬼人は俺に魂を預けている限り、死なないのを利用させて貰うぜ。

 この空間で、小さすぎず、大きすぎない、者は人狼、鬼王、そして鬼人だけだ。

 人狼は身体の修復、鬼王はクールタイム、ならば残った鬼人を使うしかない。

 鬼王の部下をこんな使い方をしたくはなかった。

 後で、きちんと鬼人や鬼王に謝らなくてわな。

 まずは、少しでも近ずく!


「神風琉。【神風】」


 風となり、最速で火人王へと向かって進んでいく。

 天井や壁に居た火人が火人王の前に立ち、壁になる。

 それでもかなり近ず事が出来た。

 神風の効果時間が切れるとの同時に鬼人を召喚する。

 身体をきちんと修復してくれ鬼人。


「召喚、鬼人」


 そのまま目の前に召喚した鬼人を突っ込ませ、火人の壁に隙間を作る。

 鬼人は声を1つも漏らさず、身体が焼けて行った。

 光の粒子となり、俺の元へ帰ってくる。


「ゆっくり休んでくれ」


 火人王に向き直す。

 既に肉薄している状況。

 火人王自体が火で燃えているので、かなり熱いが気にしない。


「さらばだ。範囲殲滅ウリエル!」


 白色のドームが火人王と火人を包む。

 治まった時に、残って居たのは俺と、王冠のようなアイテムのみだった。

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