A級ダンジョンー⑦
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アークファイヤーワーム A級
ファイヤーワームが進化した個体。
再生力、攻撃力、防護力、機動力が上昇。
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進化⋯⋯したようだな。
見た目は先程とあまり変わらないが、大きさが段違いだ。
アークファイヤーワームが口に火を固め、放つ。
それは火の玉の3倍はする大きさだった。
「神風琉。【神風】」
風になって、火の玉をすり抜ける。
通路の殆どを埋めつく火を回避するには【神風】しかないが、それだといずれMPが切れて終わる。
さらに、アークファイヤーワームが地中に潜って篭れば、与えたダメージすら回復する。
ぶっちゃけ詰みだ。
それでも乗り切る。
一撃で倒すのは無理だろうが、高速の連撃で一気にダメージを稼いで範囲殲滅でトドメをさす。
これが1番確実な方法だろうが、あいつは俺の接近を警戒しているようだ。
多分、さっきの範囲殲滅の影響だろう。
オーガ達を召喚させ、突っ込ませるべきだろうか。
無駄足かな。
普通のオーガなら火の玉で瞬殺だ。
フロリア達だと、鬼人ならともかく、鬼龍はデカすぎてこの通路だと召喚出来ない。
かと言って、鬼人と一緒にアークファイヤーワームに挑もうが、俺自身がソロでダンジョン攻略していたので、チーム戦に慣れていない。
連携が取れないパーティで挑もうとしても、本領が出せないだろう。
手詰まりか。
一か八かでやってみるか?それでも失敗した時、俺が死ぬ。
日向との約束があるので負ける訳にはいかないのだ。
絶対に勝つ!
「神風琉。飛翔風」
ラプラスを横に一閃させ、斬撃を放つ。
気を操作する事によって、風を固め、斬撃にしているのだ。
「ぐがあああ」
叫びと共に飛翔風で生み出した斬撃に突っ込アークファイヤーワーム。
そのまま、斬撃を飲み込む。
「まっじか」
内部に斬撃が入った筈なのに痛みを感じた動きはしないし、感情も感じない。
地上にいるおかげか、気配を感じるし、後ろにジリジリ退る音が聞こえる。
地中に潜ると気配感じないし、音も聞こえなくなる。
先程の火の玉を吐き出した距離を思い出して、火の玉が放たれない距離を保ちながら前へ進む。
後ろの壁は見えない。
もしも、壁に当たって、アークファイヤーワームが地面に潜るような事があれば、色々厄介だ。
楓なら吹き飛ばすと思うし、奏さんなら空間転移や空間切断を駆使して倒すだろう。
要さんの戦い方は知らない。
しかし、俺には戦闘に役立つユニークスキルは持っていないのだ。
範囲殲滅にはMPを使う。下手に打てない。
相手はさっきの範囲殲滅で、範囲殲滅の範囲を確実に見ていた。
それで、範囲外を保っているのだろう。
それよりも内側に入るものなら火の玉を放つ。
地中に潜らないのは、潜ったタイミングで先程の範囲殲滅が来るのを恐れているのだろう。
互いに手狭り。相手はただの警戒心からだろうが。
そろそろ勝負に出てもいい頃合いだろう。
地面を蹴る。火の玉を吐き出すアークファイヤーワーム。
跳躍、2段ジャンプ、天井に足を着け、駆れる。
相手が口をこちらに向け、火の玉を吐き出すが、俺はさらに加速して躱す。
さっきまでは手加減して、スピードを偽っていたのだ。
急に加速した俺に少し驚きを見せるアークファイヤーワーム。
相手の真上に来たら、地面ーー天井ーーを蹴り、相手に向かって垂直に向かっていく。
アークファイヤーワームが口を大きく開け、俺を食おうとする。
その口の大きさは、ファイヤーワームの比ではないレベルの大きさだった。
空中で身体を捻っても間に合わない。
さらに、何らかのスキルなのか、アークファイヤーワームの身体が硬い何かで覆われていた。
どうして固いと分かるかと言うと、解析のおかげだ。
思考をなるべく加速させる。
硬い何かは内側にも反映されているようだ。
アークファイヤーワームの口の中を凝視する。
口の中には、液体が沢山あるのが分かる。
ひとつは消化液のようで、もうひとつは食った物を溶かすであろう酸だった。
「ラプラス・ウリエル。頼むぞ!」
ラプラスとウリエルを混ぜ合わせながら、自分の周りに球体型で覆う。
視界が真っ暗になるが、万能眼の暗視があるので問題はない。
神経を研ぎ澄まし、外の状況を感覚で確認する。
そのまま落ちていく。
酸だろうと消化液だろうと、破壊不可能のラプラスとウリエルを溶かす事は出来ない。
ちゃぽん
何か水に物を落とした時の音が鼓膜を震わせる。
消化液の溜まり場、胃に着いたようだ。
感情が伝わってくる。
内側にいるのでかなり感情が、掴み易い。
しかし、熱い。早く終われせないと。
アークファイヤーワームの感情は勝利の優越感が1番大きかった。
相手は完全に勝ったと思って油断している。
アークファイヤーワームは胃の操作が出来ないようだ。
ありがたい。
「さあ、ジッエンドだ。範囲殲滅!」
ブチブチ
「ぐががあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああーーー」
アークファイヤーワームの神経がち切れ、肉が消滅していく。
アークファイヤーワームのとてつもない大きさの絶叫が鼓膜を振動させる。
さかさず耳を手で覆う。
範囲殲滅が止んで、熱さが無くなったところで、ラプラスとウリエルを腕輪に戻す。
そこには何かの青色のポーションが落ちているのみだった。
きっと、アークファイヤーワームの落としたドロップアイテムなのだろう。
「勝った⋯⋯」
疲れも相まって、仰向けに大の字で寝転ぶ。
少しばかり勝利の余韻に浸る。
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冷水ポーション S級
飲むと効果を発揮する。
効果時間ー50分
効果
火属性攻撃の完全無能、自然熱無効
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要約、火属性の付いた攻撃を無効にし、自然の熱さを無効にする。
今回みたいなファイヤーワームのような敵に持ってこいの代物だ。
アイテムボックスを開き、収納する。
まさか、この目で進化を見る事になるとは思っていなかった。
それに、進化してもA級魔物なんだな。
進化にも段階があるのかもしれない。
鬼王のところのゴブリンはS級だしな。
よく分からんな魔物というのわ。
それに、ゴブリンがS級で、進化したオーガでもS級なんだよな。
小鬼から大鬼に進化しても階級は変わらないのかな。




