A級ダンジョンー⑤
「ん、んん〜」
眩しい光が醒めてから、目を開くと辺りがクレーターになっており、鬼王と俺がそこに居た。
人狼の姿が⋯⋯ない。
「人狼」
ぽつりぽつりと涙が出てくる。
人よりも信用出来る仲間だった。
魂を預けた事によって嘘を付くことが出来ないらしいのだ。
それだけでは無い、今までの修行も人狼のお陰でスムーズに進めれたのだ。
S級ダンジョンをクリアして、S級ボスの鬼王が居て、油断していた。
調子に載っていた。
地面を何回も殴る。
殴って、殴って、殴って、殴って、殴って、拳から血が滲み出てきた。
「お、おい落ち着け翔」
「な、なんでお前はそんなに冷静なんだよ!人狼はどうでもいいのか!あいつは自分の命を犠牲にして、1人で爆発を受けとめ、俺達に被害が出ないように気を俺達を守るように展開したんだぞ!」
「んな訳ないだろ!」
「じゃあなんで、そんなに冷静なんだよ」
「いや、だって、ほら、⋯⋯本体の魂は翔がずっと持っているし、外に出ている仮初の体が壊れただけだから、時間が経つと治るぞ。そしたらまた召喚できる」
「え」
「え、じゃないよ。本気で俺達のこと心配してたのかよ。そもそも俺達は翔が魂を持っている限り死なないんだよ。あと、そろそろ活動限界だから」
「人狼の事は分かった。活動限界?」
「ん、仮初の体で外に出てこれる時間は個体によって変わるのだ。そして、俺と人狼は4時間。今、丁度俺の召喚活動時間が4時間に達した。なので召喚が強制的に解除させる」
「ちょ、ちょっと待て、そんなこと書いて無かったぞ」
「そりゃあ、個体差があるからな」
「そ、そっか。次はいつ召喚できるんだ?」
「24時間後」
「わ、割に合わねぇ」
「ハハ、んじゃあ」
そう言って、鬼王は光の粒子となって消え、俺の中に取り込まれていく。
活動限界があるとは思ってもみなかった。
まあ、結局は何時も通りの攻略だからな。
それでも楽しかったのは真実だ。その分、油断しまくったが。
それにしても4時間か。
「このダンジョン広すぎ」
何時もと変わらないペースで攻略している筈なのに、まだ2層だ。
鬼王の時みたいに階層が少ないならいいのだが、そんな事はないだろう。
さらに、人狼や鬼王が居た分、かなり楽に進む事が出来たのだ。
俺は火人の攻略に関して考えながら進むのだった。
まず、物理攻撃無効なので、ラプラスやウリエルの攻撃は意味が無い。
気による斬撃もきっと意味はないだろう。
範囲殲滅はMPの消費を抑えたいので駄目だ。
俺の持つ魔法は火人にはあまり有効ではないし、初級なので、A級魔物に通ずるかも怪しいところだ。
あれ?詰んでね。
気のせいかな。
火属性が無効なので、鬼達でも難しい可能性がある。
どうしよう。
◇◇◇◇
「ねえ、楓。私の事、恨んでないの?」
「?どうして」
「半分無理矢理翔さんを入会させたから」
「半分!ああ、最後の決断は翔君だもんね。半分、半分。まあ、確かに強引だったね。でも、別に怒っても、恨んでもない。そもそも翔君の決めたことだしね。それに、翔君も気づいていた筈だよ、レイドではギルドかパーティには入らないといけない」
「連携評価ポイント」
「そう、その他諸々。1人ではレイドの貢献ランキング上位には入れない。早かれ遅かれギルドには入っていた筈だよ。それに、悪い人達のギルドに入るよりかはマシかな。それに、マスコミの件が1番助かったと思う」
「どうして?」
「翔君のお父さんに付いては知ってる?」
「仮想空間を創り出した1人。有名だよ」
「そそ、そんな国家機密を持っているから、翔君のお父さんはまあり住居などはバレたくない。それで、翔君にマスコミが付いて、紐ずる式で翔君のお父さんに行き着いたら大変だから、その事で翔君は感謝してたと思うよ」
「そうかな?」
「そうだと思うよ」
「少しだけ楽になったよ。ありがとう楓」
「フフ、何時でも相談してね」
そんな団欒をしながら襲ってくるA級魔物を斬ったり、爆破していたのだった。
◇◇◇◇
今、最大のピンチを迎えている。
別に虫系が来た訳では無い。
火人が現れたのだ。
まだ、倒し方が思い付いておらず、解析で魔石が無いのも判明している。
すぐに自爆していない事が不幸中の幸いだ。
そもそも魔石がないと自爆出来ないのかな?
火人が拳を振るってくる。
ギリギリで回避したらかすり火になりそうなので、余裕を持って回避。
まじでどうしよう。
「てか、火人ってどうやって動いてんだ?」
そう疑問にありついた。
そもそも火人は火の塊で、人の形をしているだけだ。
動く事が凄い筈だ。
魔力で何とかなる、なんて言っても確実に『核』が存在しないといけない。
さっきは魔石が核だと分かり易いが、今回はどうだ?
魔石もないので魔力の流れが安定していない火人が動いているのだ。
疑問に思う。
鑑定してみる。
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火人仮 A級
人型の炎の塊。
炎属性無効。物理攻撃無効。
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仮、明確にそう表示してあった。
なにかの仮?
鬼王の言葉が脳裏に過ぎる。
鬼王達の本体は俺の中にある魂で、外に召喚されるのは仮初の体だと言う。
もしも、俺の仮説が正しいとしたら、攻略出来るかもしれない。
俺の、俺達の天敵とも呼べる火人を倒せる可能性。
でも、今は此奴から逃げるしかない。
戦略的撤退ってやつだ。
人狼みたいに魔力の流れを正確に、瞬時に見れる事が出来たらなにかのヒントが得られたかもしれないな。
それから全力で逃げる。
虫達にも追いつかれないスピードだからな。
火人が追いつける訳がないのだ。
しかし、火人の手は、俺の横にあった。
「なっ!」
狼狽。
火人は俺のスピードに付いてこれたのだ。
手をギリギリで何とか回避するが、少し服に火が付いた。
ささっと払って火を消す。
逃げて逃げて逃げて、2分程逃げた辺りで、火人は追いかけて来なくなった。
正確には止まっている。
ただ、突っ立っているのだ。
これは攻略の糸口になってくれた気がした。
とりあえず、火人が止まっているので、火人とは反対の道を進んでいく事にした。
「グギャアア」
まじですか。
でかいミミズのようだが、少し違うようだ。
頭?に当たる部分が開いて円形の穴になっていた。
良く漫画とかでも見る、気持ち悪い生き物、ワーム。
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ファイヤーワーム A級
火の海だろうとマグマの海だろうと泳ぐ事の出来る。
口から火の玉を吐き出して攻撃する。
好物ー人間
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