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白銀の翼VS昆虫の使徒

 決勝第1回戦【白銀の翼】VS【昆虫の使徒】

 俺達は今から決勝戦だ。

 だけど、俺は気が気ではない。

 何故なら俺は虫が大の苦手なのだから。


『決勝戦からは、スポーン位置がランダムに変わります。両者共に最高の試合をお届けよ』


 まさかの出てくる位置がランダムと来たか。

 俺の苦手な触手使いや召喚者等と1番最初に会うのだけは辞めて欲しいものだ。

 頼むから突撃槍ランスの人がいい。

 そう祈りながら、試合会場への入室をする。


 場所は地面が雪に覆われていて、足取りがかなり悪い。

 吹雪や雪は降っておらず、寒さも感じない。

 ただ、岩や木があちこちにあり、見渡しが悪いので楓達を探すのは苦労しそうだった。

 それから進んではいるが、何分足取りが悪く、思うように動けないのだ。

 辺りはシーン、と静かで唯一俺の足音だけが鳴っていた。

 見渡す限りの雪と木、それに岩だけだ。

 木は既に枯れており、枝には雪が積もっていた。


「誰だ」


 岩の後ろに人の気配を感じたので声を掛ける。


「流石は世界初のS級ダンジョン攻略者だ。しかもソロだと聞いている」


 筋肉が引き締まって、背筋がスラッとしている武器を持たない女性が俺の前に現る。

 てか、S級ダンジョン攻略したの広まっているのね。

 そう言って気がするけど。

 それに、しても、まさかよまさかのさ、触手さんかよ。

 逃げたい。


「だけどね。1対1なら私にも勝ち目はあるでしょ。【土触手アースノア】」


 土触手アースノアと叫んだ途端、彼女の背中の中央から四対八の触手が伸びる。

 まさにミミズの見て目をしており、脈動を打っている。

 無意識の内に言葉が漏れる。漏れてしまった。


「キッモ」

「ハッ」

「あ、嫌。君では無く、触手がね、その、気持ち悪いなーなんて」

「この触手は私のスキルつまりは私の1部。それをキモイと言うなら私をキモイと言っているものだ。覚悟しろ!」

  「悪いが俺も負けるつもりはない!」

「全身震えている奴には言われたくないな!」


 視線を下げると、俺は全身が震えていることに気づいた。


「さあ、行くわよ」


 そう言って、器用に背中の触手を1本1本動かしながら襲ってくる。

 キモイ、無理無理。本能が俺の本能が逃げろ、と告げている。警告している。そして、俺は本能に従う。製造本能にッ!

 逃げた。

 それはもう綺麗に逃げた。


「はぁ?え、ちょっ、おい、待て逃げるな。いや、逃がさん」

「無理無理。生理的に無理ぃぃ」

「まだ、言うか!」


 無理な無理なのだ。

 チラッと後ろを振り返ると、触手を2本使って足の代わりをしている。

 このままだと相手の方が雪の上を走るのが速いので、追いつかれてしまう。

 覚悟を決める。しかないのか。

 範囲殲滅ウリエルで終わらせるしかない。

 ウリエルを手榴弾に変形させて、バッと振り返り、相手を視界に入れる。

 まさにミミズが触手が俺に迫ってくる。

 一瞬意識が消えかけたが、何とか留めて未来視ラプラスを発動させる。


未来視ラプラス


 10秒先の未来を見て、完璧に触手を躱す。

 その間、俺は目をつぶって、感覚だけを意識していた。

 聴覚と視覚を遮断する。

 これで、触手の鼓動音とミミズの見た目を見る必要が無くなる。

 未来を見ているので躱すのも用意なのだ。


「なっ、ど、どうして目を瞑っているのに当たらないのよ!」

「これで、チェックメイトだ。【範囲殲滅ウリエル】!」


 刹那、爆音と眩い白色のドームが雪地帯に広がる。

 会場内なら何処でも見渡せる様な眩し光が、現れる。

 最早、俺には相手のログアウトした音すら聞こえない。

 しかし、相手の気配は完全に消え、相手が消滅するのをこの目で見た。


 ベチャ


 頭の上に何かが乗り、足元に落ちる。そして消滅。

 足の震えが止まらない。でも、ダメだ。ここで意識を手放したらログアウトになってしまう。

 耐えるんだ。耐えるんだ俺ぇ。


 一方の楓は


 ドゴーン


 遠くから白色のドーム状の物が出来たと同時に轟音が鼓膜を震わせた。

 確か、あれは翔君の範囲殲滅ウリエルだったような覚えがある。

 今、私の現状は相手の召喚者と接敵して、交戦しているところだ。

 しかし、私は未だに一切の攻撃を仕掛けていない。

 理由としては相手の出方を見るのと、一撃で相手を倒してなるべく他のギルドに私の攻撃を知らせない為だ。

 別に広範囲爆裂魔法エクスプロージョンをブッパしてもいいと思うがそれだと、勝者決定戦に対策をされてしまう。

 絶滅壊滅破滅崩壊プロメテウスを使うにしても、この技は分かり易いのですぐに対策をされてしまう。

 殲滅爆発光線プロントノビウスが1番確実だろう。

 連載爆破サウレントハブは攻撃用の技ではないんだよね。

 相手はでかいカマキリの上に乗って、降りてこない。

 ずっとカマキリの鎌で攻撃しながら、私を煽ってくる。


「どうしたかのかな?白銀の翼新入り君。僕の召喚獣に手も足も出ないのかな?」

「別に手も足も出す必要は無いんだけどね」


 その通りである。

 私が使うのは魔法なのだから。

 相手も埒が明かないと思ったのか、蜂の集団を飛ばしてきた。

 ならば、ついでに纏めてやることに決めた。

 そうだよ。わざわざ対策されるのを恐れて攻撃しないなんてナンセンスだ。

 対策使用のない力を能力を見せつければ良いでは無いか。

 どうして気づかなかったのだろう。

 馬鹿正直に対策を恐れる必要は無い!


自爆セグエ


 私を中点とした半径50メートル以内にいる全てを巻き込む技。

 自爆などと言っているが、私の周りから爆発しているので、私には一切の被害がないのだ。

 強いて言うなら焦げ臭い。

 おっと、召喚者の人は範囲外に居たらしく生き残っている。


「な、なんだよ。その魔法わぁぁ」


 絶叫がうるさい。


広範囲爆裂魔法エクスプロージョン


 そして、クレーターが出来たが、召喚者は倒せたようだ。


 一方の奏は


 突撃槍の男の人と戦いを繰り広げていた。

 特にユニークスキルらしき物も使っておらず、己の気術のみで戦っていた。

 初期のみ獲得スキルの武技等も使っていない。

 しかし、その腕前がとてつもなく上手く、洗礼され、強いのだ。

 私の空間魔法を発動させるには構築の時間が掛かる。

 こんな1対1の状況じゃあ無理だ。

 神隠しは別物だ。

 楓みたいな人が多いと魔法は使い易いが、こんな隙もない人との戦いには意味がないのだ。

 空間切断にも構築が必要で、その時間があれば苦労はしていない。

 確かに、私のユニークスキルは強いと自覚はある。

 だが、私のユニークスキルの本領発揮はパーティを組んでいる時であり、タイマン戦には不向きなのだ。

 それでも、負ける訳にはいかない。

 2回に渡るとてつもなくでかい爆音はきっと、範囲殲滅ウリエル広範囲爆裂魔法エクスプロージョンだと推測できる。

 多分2人とも勝っている。

 それなのに1人だけ負けているなんて、恥ではないか。

 それでも、あの2人は笑って励ましてくれるだろう。

 それでも、それでも私の気持ちはきっと収まらない。

 私は負けない。


「流石は最強と言われるだけはあるな。先程から気術のみで戦っているな」

「それは貴方も同じですよね」

「フッ」


 鼻で笑われた。

 まだ、時間切れまでは時間が残っている。

 最後の最後まで私は諦めない。


「降参。ログアウトするぜ」

「な、何故だ」


 それは私の本音だった。

 どうして降参するのだ?まだ、戦いは終わっていない。


「何故って、そりゃ3対1なんて無理だし、あんな爆発を見せられた後だとな」


 確かに、あんなのを見たら私だって戦意喪失するよ。


「それに、お前さんは俺を技術のみで戦っていると思っているらしいが、違うぞ。俺のユニークスキルはMPを消費して、己の技術を上げてくれんだよ。それと同等でスキルを使わなかった、お前の勝ちだ」


 そう、笑顔で言われ。

 その後にはログアウトの音が静まり返った雪地帯に広がった。

補足

初期のみ獲得スキル

ステータスを獲得した時にのみ、与えられるスキル。

ユニークスキルに似ているが違う。

色んな人が持っている可能性がある。

ユニークー10人に1人

初期のみー5人に1人

初期からー3人に1人

です。

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