格闘術の修行スタート!
かれこれ数日間薙刀を扱って修行をしていた。
そしてまた今日も楓との模擬戦特訓に挑むことになったのだ。
今回は此方側から先制攻撃を仕掛けようと思っている。
婆ちゃんの初めの合図と共に地を蹴り楓に接敵する。
薙刀に慣れた俺にとっては少し遅くなる程度のスピードになったので楓には見えないスピードなはずだ。
案の定、楓は少し目を見開き驚いていたがすぐに真顔になり冷静に対処されていく。
なるべく細かい動きをして、さらにその攻撃も速く。
2分の攻防で初めて俺は楓に勝つことができたのだった。
まあ、腑に落ちないけどね。
なぜなら俺の高速攻撃を全力で集中しながら対処していた楓の体力切れになったからだ。
ステータスを獲得しようとレベルをあげようと体力は関係ないのだ。
ダンジョン攻略していく内に基礎体力は上がるのだ。
楓もかなり体力はある筈だが俺よりかは下になりさらに全神経を研ぎ澄まし全力集中で体力の消耗も激しいものになったのだろう。
これで次は格闘術を教えて貰うことになったのだ。
他の武器で修行していた甲斐があって俺自身の素早さに慣れてさらに基礎能力も向上しているのだが婆ちゃんと爺ちゃんには未だ勝てない。
そもそも楓がユニークスキルを使い全力の勝負なら俺に勝ち目は一ミリもないだろう。
そもそも俺のステータスは世間一般から見ても素早さは異常、HP・MPは普通、攻撃力・防御力はダメな方の異常なのだ。
楓は平均的なステータスでMPが飛び抜けているらしい。
そんなことより婆ちゃんの格闘術の修行内容はざっくりまとめるとこうだ。
高速のパンチを繰り出せるまでひたすら正拳突きの練習、その際きちんと中腰。
キックも同じ。
それと『気』という物の流れを感じとりそれを操るまでが内容だ。
そんな『気』なんてアニメかよとも思ったが実際に楓が大きな岩に手を当てて少し集中したのを見せたら岩が割れたのだ。
これで証拠は見せて貰った。
俺にできるようになるかな?
違うか、できるようにするんだよな。
尚、楓の割った岩は横が1m縦2mでゴツゴツとした物だ。
足を開き腰を下げるそして拳を前に突き出す。
右ー左ー右ー左、と繰り返すどんどん速くさせていく。
ただし拳の突き出し方を変えるのいけない。
ひたすら前に、垂直に、地面とは並行で何回も繰り返す。
その間も技のイメージをしながら特訓を続ける。
イメージと拳の振りの二つに集中していく。
俺の戦い方はスピードを扱って、その勢いで攻撃力の低さをカバーしていく戦い方だ。
修行前の俺は自分の素早さについていけず翻弄されたが今は違う。
完全に素早さを俺のものにしている。
素早さは攻撃にも反映されるが全速の攻撃には慣れてないのでこの正拳突きの特訓をしながら攻撃速度に慣れていく。
速いと言ったらなんだろうか。
風、光、音、これらが思い浮かぶな。
俺のスピードは目で追えない人から見たら本当に風に見えるのだろうか。
光は無理だろうな。そんなには速く走れない。音も同じ。
スピードを使っての攻撃力のカバーにも色々あるのだ。
回転しながら回転力も使って相乗効果で攻撃力をあげるか。
限界ギリギリまでスピードを上げての攻撃。
回転は隙ができ、限界まで上げるとその後の反動も大きい。
高くジャンプして斬り落とす、人もいるがそれは攻撃力が相当高いか馬鹿かしかやらない。
隙が大きすぎるのだ。
防御もまともにできず回避も困難、挙句に体はがら空き状態の攻撃していいよ状態だ。
メリットとしては落下による相乗効果の攻撃ができるところだろう。
天井を蹴って速度を付けるならまだしも屋外でやるなら攻撃力が本当に重要だがな。
妹とのジェノサイドシリーズは『殺し』に長けている面がある。
なら俺は何に長けてればいいのだろうか。
素早さは当然だ。
だがそれだけだ。
圧倒的に攻撃力が低い俺の攻撃だといくらスピードを上げようと限界がくる。
さらにスピードに耐えれなくて武器が壊れる可能性があるのだ。
今更だが俺のアーティファクトは万能系が多い気がする。
色々な武器を扱い、それを自分が作った技で扱うならこれもオリジナルスキルになると万能系になるのか?
違うだろう。
俺は速さを完璧に活かした技にしたいんだ。
速さを活かすならどのような技がいいのだろうか。
それとも地形?
違う違う。
そもそも地面や壁、天井と言う概念すら邪魔に思えてきた。
空中を空気を蹴ることによってどんな状況だろうと技が使えたら・・・・・・。
イメージする。どんな技になるか。
如何なる所でも同じ速度を出せる方法がそもそも行けるのか?
2段ジャンプ。
俺の万能靴にはそんなスキルがある。
修行するため今は履いていないがあれは空中を蹴っているのではないか。
それでもアーティファクト有りきの技なんてそんなのは技とは言い難い。
2段ジャンプのやり方を自分に叩き込むことが出来たら。
そんなことが脳裏によぎる。
パチン
「翔よ技のイメージするのは良いがあまり思考呑みに集中するのでは無い。拳の振り速度が落ちとるぞ」
おっと、技のイメージに没頭するあまり、肝心の特訓が疎かになっていたみたいだな。
気をつけないと。
それから数時間が経ち晩御飯の時間になったのだった。
今日は朝から煮込んだ肉じゃがメインのオカズだ。
婆ちゃんが俺の修行につききっりだったので楓が全部一人で作ったみたいだ。
じゃがいもを一つ食べる。
「ど、どうですか?」
隣に座る楓が顔を覗き込んで感想を求めて来たので素直に答えることにした。
「うん、美味しよ」
「やっった(小声)」
朝から煮込んだだけあってか味が凄く染み付いていてさらに柔らかく口に入れたら溶けるように食べることができたのだ。
にしても楓の料理スキルはいつの間に覚えていたのだろうか。
その心を読んだかのように爺ちゃんが答えてくれた。
「楓が家に来てから婆さんと一緒に毎日作っているうちに覚えていったのだよ」
なるほど。




