海と眠る-2019-
ぼくは海の中で眠っていた。海の中の奥深く、水がどんよりとした暗さになっている深さ。体が透けているエビも暗くては魅力が半分削げているようだ。(何も見えないよ)
ふと上を見上げると二粒の星が落ちてきた。そのままゆっくりとクラゲのように舞い、そしてスタッと砂の上に落ちた。一瞬砂が舞い上がり、目を傷つけた。目の前の砂を払うが、砂はいくら手を使っても払いきれない。手からサラサラとこぼれていく。
(それは重要なことではない)
ぼくは必死になって暗い中を手探りで星を探す。
(輝きが失われる前に探さなければ!)
星は光が海の中に溢れ出してビスケットかクッキーみたいに硬くなっていった。
(手は目よりも物が見える)
また、泥と砂が舞い上がり、ぼくを包んだ。その中に星はあった。
(あぁ、そんなものか)
僕は、星を口に運んで尖った先をパクリと食べた。またパクリ。もう少しパクリ。星一つを平らげて、満腹になった僕は、ゴロリと横になった。
(少しばかり寝るとするか)
目が覚めたら、宇宙になれるといいね。もちろん、満点の星空のね。