王様の頭ぶん殴った!
「よくぞ参った!勇者木下よ。今から君にはアウスト王国を救うべく、魔物を打ち倒す使命を与える!」
「いやいや、待ちぃや。使命云々よりもな、求人出したのはアンタか?だったら、そんなとこに座ってないでこっち降りてきぃ。労務契約は対等。なんでこっち突っ立てるのにアンタ座ってんねん」
「貴様!無礼であるぞ!おいそこの兵士達!あ、そうじゃった今は兵士達は出払ってるんだった!ええい!」
「いちいち煩いわ!」
ボカッ!
「き、貴様今ワシを殴ったなぁ!処刑だ!」
「何事ですか王様!?(まあどうせ木下のオッサンがやらかしたんだろうけど)」
「コイツを処刑しろぉ!」
やれやれ、面倒なことになりおったわ。
処刑台に立つわい。まあ元々電車に飛び込む予定だったし別にええか。
「ええ、これより、勇者木下の処刑を執り行いたいと思います。事実、被告の勇者木下は王を殴った。被告はこれを認めますか?」
「ああ、殴ったわ。王がなんや?そんな偉いんか?民にキツイ肉体労働させておいて自分は王宮でふんぞり返って、そんなん誰だって腹立つやろ?」
群衆が沸き立つ。『そうだそうだ!』『さすが勇者様』『王を処刑台に立たせろ!』
「さあ!アウストの民よ!今立ち上がらなくていつ立ち上がる!?」
「お、おい、扇動を止めろ、う、うわあ」
兵士達に集まった国民達が詰め寄る。
「ええーい!反逆者は投獄せよ!」
「ははは!どうや王よ、今の気分は?それに今わいを処刑したら、この国は持つのかな?さっきフード被ったオッサンの独り言聞いちゃったけど、わいのために国家予算の3分の1を費やしたんだって?そんな人間を処刑して良いのかな?わいは勇者!国家予算の3分の1の価値の人間なんや!」
「ぐぬぬ!えーい。もうよい!処刑はやめだ!」
「そうそう、分かればええんや」