第九十四話 食事
弟達の笑顔を励みにセイは皆のために料理を続ける。
いつもはイーナも一緒に料理をしてくれていたので、やや手間取ってしまう。
鍋に水を注ぎ、綺麗に洗った沢山ある芋や、野菜を適当な大きさに切っては放り込み、今日買った塩を少し鍋にいれる。
少し味見をして少々味は薄いが今日は肉の切れ端もいれるので問題ないだろう。
出来るだけ皆に配れるように、肉の切れ端をさらに細かく人数分切って鍋に放り込む。
年少の弟達はいつも料理中は危ないので近寄るなと言われている為、少し離れた場所からじっと見ていた。
セイが料理している間、ずっと、ぐーぐーとお腹の音の合唱がしていた。
そんな音に苦笑しながらもやっと弟達の腹を満たしてやれる事にセイはとても満足していた。
しばらく煮込んで野菜が柔らかくなったあたりでやっと完成した。
一人ずつ器を持ってセイの前に並ぶ。
セイは鍋からケンカにならないように肉のカケラを一つと、野菜をゴロゴロと器に注いでいく。
肉なんて久々に見た弟達が目をキラキラさせていた。
皆によそい終わったセイも自分の器に注いで皆が待ちきれないという目でこちらを見ているので急いで近づいていく。
「よし、じゃあみんなてをあわせて」
はーい、と皆仲良く手を合わせる。
「いただきます!」
「「「「いただきます!!」」」」
セイの言葉に皆が続き、そして一斉に器の中身を食べ始めた。
もちろんフォウにもサイリールから預かったベリーのような実を与えている。
硬いパンも一人一個あったので、みんなスープに浸して食べている。
パンが一人一個あって、具がたくさん入っているスープなど本当に久々なのだ。
皆幸せそうに味わって食べていた。
元気のなかったテトもなんとか食べてくれている。
そんな光景をセイは満足そうに、しかし少しばかり辛そうに眺めていた。
そうして食事を終えたセイは皆にフォウについての依頼を説明し、自分は出かけるから少しの間頼むと告げて家を出た。
「よし、にーちゃんのかぞくをさがそう。いちおうやたいひろばからみていくか」
そうしてセイは屋台広場を目指して走り始めた。
屋台広場についたセイは辺りをキョロキョロしながら歩いていた。
今日はそんなに広場に人は多くないので案外すぐ見つかるかもしれない。
そう考えながら広場を歩いていた。
探しながら歩いてはいたが、セイは先ほどの満足そうな弟達の顔を思い出していた。
その顔を思い出してほんの少し辛くなる。
今はまだサイリールからもらったお金があるから、弟達を満足させてやれる。
しかし、お金が尽きたらまたひもじい思いをさせる事になってしまう。
セイはまだ9歳だ。ハンター登録も出来ない。
あれは最低15歳からでないと登録が出来ないのだ。
登録が出来ないから、ハンターギルドで常駐である薬草採取の依頼なども受ける事が出来ない。
しかし貧乏な子供達は森へ行き薬草を集めたりする。
当然浅瀬ではあるが、それは危険な行為だ。
林なんかよりも森というだけで、数倍も危険度があがる。
それでも時には行かねばならない。
お金は子供にはそう簡単には稼げないのである。
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