第八十八話 助ける為に
セイの家へと着いた彼はそのまま中へと案内された。
道中彼らを見ている視線は感じたが、敵意は感じなかったので放置していた。
セイの家に入ると、顔を腫らしたテトがいた。
「あ、おにいさん、どうしてここに……?」
そんなテトの言葉に、セイが答えた。
「イーナをたすけられるかもしれねぇんだ、だから、きてもらった」
セイの言葉に子供達が次々に本当かと詰め寄ってきた。
まだ一晩しか経っていないが、イーナはあの時のまま虚ろだったのだ。
いつも優しい姉のそんな姿に、弟や妹はとても悲しんでいた。
だからこそ、助かるかもしれないという言葉に強く反応していた。
「おちつけ!おまえら!かくじつじゃねぇんだ!まずはにーちゃんにみてもらうんだよ!」
騒ぐ弟達をなんとか宥め、大人しく待っていろと告げてから、イーナのいる部屋へサイリールを連れていった。
ベッドの上で横になっているイーナは虚ろなままで少し顔が青白くなっていた。
「イーナ、ただいま!きのうのかっこいいにーちゃんつれてきたぜ!イーナ……」
セイの声に何の反応も示さないイーナにセイの顔がクシャリと歪んでしまう。
サイリールはそんなセイの頭をふわりと優しく撫でた。
「にーちゃん……イーナを……イーナをたのむ!」
セイはガバリと頭を下げて必死にサイリールに頼んだ。
「うん、まだなんとも言えないけど、イーナを見てみるよ」
そこで一旦言葉を切った彼は、しゃがむとセイと同じ目線になった。
「セイ、驚かないで聞いて欲しい。僕はイーナを助けたいし、君達に危害なんて加える気は一切ない、それを覚えておいて欲しい」
彼の言葉にセイは首を傾げた。
「?なにいってんだ?にーちゃんがわるいやつじゃないのはわかってるぜ!」
「うん、ありがとう。驚くかもしれないけど、僕は人間じゃないんだ、闇の住人なんだ」
彼の言葉にセイはぽかんとしてしまう。何を言ってるんだろうと。
「見た目は人間そっくりだけど、違うんだ。ほら、これが証拠」
そう言って彼は手の平からコポリと闇を生み出した。
それを見たセイは目を大きく開いて、口をわなわなと震わせていた。
やはり怯えてしまうか……と彼が目を閉じると、予想外の言葉がセイの口から零れ落ちた。
「す……すげぇ!にーちゃんほんとにちがうんだな!すげぇ!それどうなってんだ?」
そう言って闇に触れて、おおっと声を出して驚くセイ。
その言葉と態度に、今度はサイリールが目を丸くしてしまう。
理由を聞いてみるとそれは至極簡単な話しだった。
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