第八十七話 傷ついた子供
涙をボロボロと零しながら、自分のせいでイーナが、と泣く少年をサイリールはぎゅっと抱きしめた。
「すまない、僕のせいだ、僕が銀貨なんて渡さなければ……」
そんなサイリールの言葉を聞いた少年セイは、首を横に振った。
「にーちゃんはわるくねーよ……おれがうかつだったんだ、あんなとこでかねのはなしなんかしちゃったから」
サイリールは自分に何が出来るだろうか、と必死に頭を回転させた。
闇で何とかできないだろうか、記憶を覗けるなら記憶を奪い取る事も出来るだろうか?
セイの脇腹も気になる、ああ、どうして僕はこの子達に銀貨なんて大金を渡してしまったんだ。
僕は何も分かってない、本当に、くそっ
サイリールが必死に考えているとそっと肩を叩かれた。
振り返ると鎮痛な顔をしたアソートだった。
そうだった、あの少女が懐いていたのはアソートだった。
「サイリール、助けて……あげられる……?」
「分からない、でもやってみようと思う、子供達をお願いできる?」
「うん、サーシャとファニーはボクとエルで見るから大丈夫だよ」
「ごめんね、お願い」
サイリールは子供達の元へ行くと、用事が出来てしまい一緒にいられない事、でもお出かけはアソートやエルと一緒に楽しんでおいで、と子供達に伝えた。
ファニーは少しぐずったが、サーシャがパパにお土産買おうねと言うと目を輝かせて頷いた。
サイリールはサーシャの頭を撫でて感謝を示した。
サイリールの肩にいたフォウをアソートに預けようとしたが、フォウが頑なに彼から離れないのでそのまま連れて行くことにした。
家族との話し合いを終えたサイリールはセイの元へと戻った。
「セイ、約束は出来ない、でもイーナを何とかできるかもしれない」
「えっ!にーちゃんほんとか!?イーナをたすけてくれるのか!?」
「うん、やってみないと分からないが、なんとか出来る可能性はある、だから、君の家に連れて行ってくれないか?」
セイは彼の言葉を聞いて目に涙をいっぱい溜めた。
強がっていてもまだ子供なのだ。
「うん!うん!」
あとは涙が零れてしまい言葉にならないようだった。
セイが落ち着くまで、彼はセイの頭を優しく撫で続けた。
しばらくして落ち着いたセイに案内され、彼らの住んでいる家へ向かって移動を始めた。
家へ向かう間、セイ達の事情等を色々と聞いていた。
セイ達はみな本当の兄弟姉妹ではないという事だった。
セイ達は六人の子供達でひとつの家に住んでおり、親はいなかった。
セイとラリーが兄弟で、テトとエリーが兄妹、イーナとリーアはそれぞれ別々の孤児だった。
セイが9歳と一番年上で、次がイーナで8歳、テトが7歳、ラリーとリーアが6歳でエリーが5歳との事だった。
彼らが住んでいるボロ家は、テトとエリーが元々母親と住んでいたらしい。
しかし、テトが4歳、エリーが2歳の時に母親が病気で死んでしまい、どうしようも出来ずに飢えて死に掛けていた所をセイが助けたらしい。
それ以来何かとセイが面倒を見てるうちにラリーとも仲良くなったテトが一緒に住んで欲しいとごねてそれから一緒に暮らしていた。
その後すぐに、飢えて死に掛けていたイーナとリーアをテトが見つけ、セイにお願いして一緒に面倒を見ることになった。
最初の2年はセイが盗みや街案内等で得た金で他の子達の面倒を見ていたのだが、ある日盗みがばれてひどく殴らた。
家に帰ったセイを見た他の子供達がセイに任せきりだった事を謝りながら泣きじゃくり、それ以来セイは弟達を悲しませない為に盗みをやめた。
そこで初めて、セイが皆に家族になろうと告げて彼らは本当の兄弟姉妹となったのだ。
そんな話しを聞いてるうちにセイ達が住む家へと辿り着いた。
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