第八十四話 絡まれる
明日から18時投稿に変更します。
セイ達が家路を急いでいる時、彼らはソレに直接的な経験がなかった。
だから、子供特有の声の大きさで会話してしまった。
きっと持ったことのない大金で高揚していたのもあるのだろう。
そう、彼らは貧困な者から見れば、とてつもない大金を持っていたのである。
まだ年端もいかぬ子供が、大金を持ち、それを貧民が住むような場所で大声で話せばどうなるだろうか。
分かりきった事だった。
曲がり角を曲がった時、先頭を歩いていたセイが誰かにぶつかって転んでしまった。
「いって」
「おう、クソガキ、いってぇなー、何ぶつかってやがんだ?あ?」
その言葉にセイは慌てて謝罪をした。
こんな場所にいて、こんな言葉を言うのはガラの悪い、危ないヤツしかいないからだ。
「すっすまねぇ!」
「あーあー、いてぇなぁ、こりゃ、骨折れたんじゃねーか?あーいてぇなぁ」
「おー、そりゃーいけねぇなー、医者にいかなきゃなぁ?」
ぶつかった相手は三人のガラの悪いやつらだった。
ここ最近この辺に住み着いたやつらで、かなり好き放題しているやつらだ。
だが、セイ達の住む周辺にはいなかったので、セイ達は直接彼らの事を知らなかったのだ。
スラム街でも奥深くは人間嫌いの闇の住人が多く住んでいるので人間は極力近づかない。
こういう輩はいずれ人間嫌いの闇の住人の領域に足を踏み入れ排除されてしまうのだが、だからこそ浅瀬を仕切るヤツがいない為、こういったヤツが排除されるまでの間好きに暴れられてしまう。
だが仮に仕切るヤツがいたらいたで、ここに住む貧民は金を徴収されたり、何かしらあるのでいると困りはするのだ。
セイがチラリと男達の顔を伺うと、男達は明らかにニヤニヤとしていた。
どうもわざと角で待ってぶつかったようだった。
だからといってまだ小さいセイ達にどうこう出来るわけでもなく、謝るしか手がないのだ。
「あーん?何持ってんだ?クソガキ、それよこせよ」
そう言われ、指を指されたイーナは甘いパンが入った袋をぎゅっと抱きしめて後ずさりした。
これは弟や妹の為に、食べたいのを我慢して半分残した大事なパンなのだ。
後ずさりしたイーナを見た男は眉間に皺を寄せ不機嫌な顔になる。
「おいおい、聞こえなかったのか?ああ?よこせって言っただろ?」
男達はニヤニヤしながら手にもった鞘に収まった剣を見せ付けるように肩の上で動かし、カチャカチャと音を立てた。
イーナは恐ろしくて目に涙をもりもりと溜めて、それでも弟達にあげるパンを守ろうとした。
男の一人が足を踏み出し、イーナに近寄ろうした。
それを見たセイがイーナの前に出てイーナを庇った。
セイは失敗したと思ったがどうしようもなかった。
本当ならこういう輩の言葉は素直に聞いて渡すべきなのだ。
だけど、イーナが必死に守ろうとしてるのを見て思わず庇ってしまった。
「す、すまねぇ!で、でも、これはおとうとたちにあげるぶんなんだ!だから……だから……」
そこまで言った時、ひゅっと何かがセイに向かって飛んできた。
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