第七十三話 フォウの学習
「よし、じゃあ挨拶しておこう。まず最初に、君にはフォウという名前をつけました。君達の種族である、リトーフォウから名前をとりました」
アソートのそんな言葉にフォウはじっと耳を傾けていた。
実際の所は言葉の意味は理解はしていなかった。
だけど、彼らはとても賢い種族なので今まさにフォウは学習を始めていたのだ。
「で、ボクはアソート。彼がサイリール。君を助けたのは彼だよ」
手振りを交えてフォウに繰り返し名前を教えた。
「ボクがアソート。彼が、サイリール。君が、フォウ」
数回そんな事を繰り返し、再度アソートが自らを指差して名前を教えた所で、フォウがしっかりとアソートを見つめ、ぴぃと鳴いた。
その変化におや?と思ったアソートがフォウを指差して、名前を呼んだ。
「サイリール」
それを聞いたフォウは自分に向けられた指を見て首を傾げ、サイリールを見てぴぃと鳴いた。
「おお、サイリール、この子すごく賢いよ。もう誰が誰か、名前を理解してるみたい!」
「本当だ。フォウの種族は賢いのかな?それともこの子が特別なんだろうか?」
「ううーん。確かそうだと思うけど……、えーとあの本にはなんて書いてたかなぁ……。二十年前に見た本だから……」
しばらくうんうん唸っていたアソートだったが、ついに降参した。
「だめだぁ。思い出せない。サイリール、悪いんだけどボクの過去を見てー」
「ははは。わかった。じゃあ、ちょっと失礼して……」
そう言ってアソートの記憶を覗く。
「あ、これかな。あったよ。えーっと、リトーフォウは大変頭がよく、学べばある程度人語を理解する能力がある。幼児に言葉を教えるように話しかけていれば学習は早いだろう。 だって」
「あー!そうだった。そうそう。よし、フォウがしんどくない程度にちょっと言葉を教えてみよう」
「うん、そうだね、いいかも」
二人の会話を聞いて、まだ意味の理解できないフォウは首を傾げた。
それから主にアソートがフォウに言葉を教えた。
単語を発し、それを身振り手振りつきで繰り返すという教え方で進めた。
2時間程たった頃にはある程度の単語をフォウは学習していた。
しかし、まだフォウは幼いので、このくらいで教えるのをやめる事にした。
「よし、今日はこのくらいにしておこうね。あんまり長時間は良くないもの」
アソートの言葉を聞いてなんとなく理解したフォウは、ぴぃと鳴いて籠から飛び出すとサイリールの手のひらに飛び乗った。
そして自らの頭を彼の手にこすりつけると、彼の手の平の上でくるりと丸くなりそのまま眠りに落ちた。
どうやら助けられて、闇の中で乳をもらい、今ももらった事により、フォウはサイリールに親への愛情に似たものを感じているようだった。
賢いとはいえ、まだまだ幼い子供という事である。
「あれかな?サイリールは子供に好かれやすいのかもしれないねぇ」
「どうなんだろう……。でも僕も子供は好きだから、そうだとしたら少し嬉しいかもしれない」
「きっとそうだと思うよー。だって、サイリールは守ってくれそうだし、実際守ってくれるもの。そういうのって子供は分かると思うよ!」
そんな会話をしつつ、フォウの寝姿を眺めて夜が更けていった。
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