第七十話 使い魔を作る為の知識
「ううん、難しいなー。やっぱり構造を理解しないとうまく形にならないのかな」
鳥が戻ってくるまでの間の会話中に、いつのまにかアソートの使い魔の作り方の練習になっていた。
「そうかもしれない。僕はそれなりに闇に取り込んでるから、構造がわかるんだと思う。そうだな、小動物と、数匹の虫の知識を渡そうか?」
「ああ、お願いしてもいいかな?さすがに使い魔を作る為だけに殺すのは気持ちが進まないし」
使い魔と言ったが正確には一般的な使い魔とはかなり違う。
一般的な人間が作る使い魔は小動物に特殊な薬を使い従僕化させる事で作る事が出来る。
ただ、虫なども出来る事は出来るが、単純な命令しか反応はしないし、小動物も簡単な命令くらいしか反応は出来ない。
サイリールの場合は自ら作り出しているし、作られた使い魔は、複雑で高度な命令もこなせる。
何よりも、使い魔に意識を移して操作出来るのだ。
闇の住人の中にはサイリールのように自ら使い魔を作り出す事が出来る者もいたりはするが、自らの体を分離している為、使い魔が傷つけば本体も傷つくものである。
しかし、サイリールの場合は別に本体に傷はつかないし、使い魔自体も闇の塊なだけで傷つきはしないのだ。
「うん、じゃあ知識を渡すね」
そう言ってサイリールの手から闇がコポリと生まれ、そのままアソートに向かって伸びていった。
アソートの額に闇がぺたりとくっつき、しばらくして離れていった。
「ありがとう、構造がわかったよ。すごい複雑なんだねぇ、こんなに小さいのに。すごいなぁ」
そんな事を話しつつもアソートは手に生み出した闇をぐにぐにと動かした。
そして中身は空っぽの小さな真っ黒い小鳥が生まれた。
「おお、出来た。飛んでごらん」
アソートが黒い小鳥に声をかけると小鳥はアソートの手から飛び立ち部屋の中をくるくると飛び始めた。
しばらく飛び回っていた小鳥だったが、すっと窓に近づき窓辺に下りた。
それを見ていたサイリールが窓に近づいて行く。
「戻ったみたいだ」
サイリールが窓に近寄ると真っ黒い小鳥は窓辺から離れて自らの主人のもとへと戻っていった。
サイリールが窓をあけると窓辺に全長50cm以上あるだろうか、それなりに大きい鳥が音もなくふわりととまった。
窓辺にとまった鳥にサイリールが手を伸ばすと鳥は形を崩し、闇の塊になった。
闇の塊がしゅるしゅるとサイリールの中に戻って行くと、残ったのはサイリールが助けた小さな獣、フォウだけだった。
フォウはサイリールの手の平の上でくるりと丸まり眠ったままだった。
それを見たサイリールはフォウを持っていない手から小さな編み籠を作ると籠の中にふかふかした布を詰め、その上にフォウをそっと置いた。
籠を机の上に置くとアソートが興味深げに覗きに来ていた。
「かわいいねぇ」
小声で呟くアソートにサイリールも頷く。
「昔のファニーを思い出すな。小さくてかわいい」
「あはは。確かに。今もかわいいけど、赤ちゃんって特別にかわいい気がするね」
そんな風にサイリール達に優しい目で見られつつフォウはスヤスヤと眠り続けた。
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