第六十八話 小さな動物
手のひらで遊ばせていた闇をアソートがしまうのを見つつサイリールが告げた。
「よし、じゃあちょっと山賊の塒を見てくるよ」
「うん、何かあったら言ってね」
「わかった」
そしてサイリールは意識を闇ウサギへと向けた。
目を開くとどこかの洞窟だろうか、目の前にはぽっかりと穴が開いていた。
入り口には誰もおらず、中からも気配はない。
ウサギのままでは視界が低すぎるので形を崩した。
本来の自分の目線の高さになるとそのまま内部を見る為に進んでいった。
山賊は洞窟に住む習性でもあるんだろうか……。
そんな益体のない事を考えつつ内部を調べていく。
それなりに大きい洞窟だったのだろうか、枝分かれしている道が多かった。
だが、山賊が使っていたのは洞窟の一部だったようで使っていない道には山賊が丁寧にも杭を差してロープを張り通れないようにしていた。
どうやら山賊はあそこで殺したやつで全員であるようだった。
洞窟自体はかなり広い物だが、山賊が利用していた場所は狭かったようで、調べる事自体はすぐに終わった。
特に捕まっている女がいるわけでもなく、サイリールとしてはほっとしていた。
あまり規模の大きい山賊ではなかったようで、貯めていたであろう貴金属などの金目の物や金貨などはそれ程なかった。
貴金属をしまってからさらに奥へと続く道があるので行くと部屋があった。
どうやらここの山賊のお頭は宝物庫の奥に自分の居を構えていたようだ。
毛皮が敷かれたその部屋には色々置かれていたが、その中に、鳥かごのようなものがあった。
よく見ると中には手のひらにのるくらいの小さな動物がいた。
小さな動物は丸くなっており、時折ぴぃと弱弱しく鳴いていた。
サイリール自身見たこともなく、記憶にもない小動物で、アソートに尋ねてみる事にした。
「アソート、この動物見た事ある?」
そう言ってサイリールは闇で今見た小動物を作り出した。
それを見たアソートは心底驚いた顔をしていた。
「どうかした……?」
「サイリール、その動物がいたの?」
「うん、山賊の頭の部屋に鳥かごがあって、そこにいれられてた」
「ひどい事を……。その子はかなり珍しい動物だよ。標高がとても高い山に住んでるらしくて、その姿を見かけるだけでもとても稀だって本に書いてあったんだ。ボクも見るのは初めてだよ」
「そうなのか、かごから出してあげれば平気だろうか……?」
「ううん……どうだろう……。でもとりあえず出してあげないとだね」
「そうだね、とりあえずかごから出して様子をみてみる」
そして意識を闇へと切り替えた。
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