第六十五話 仲の良い家族
宿をとれたサイリールは馬車へと戻り、アソートと御者席に顔を覗かせていたエルに声をかけた。
「ただいま、宿とれたよ。食事はいつでもいいそうだから、部屋に荷物を置いたら食べようか」
「うん、馬車は?」
「馬車は裏手に停められるらしい。僕が行ってくるから、アソートとエル達は先に宿の部屋へ行ってて。これ、木札。札に部屋の番号書いてあるから。階段は入ってすぐ右手にあるよ」
そう言ってエルとアソートにそれぞれ木札を渡した。
エルとアソートが子供達を連れて馬車を降り、宿屋の扉を開けたのを確認してサイリールは宿屋の裏手へと馬車を回した。
裏手にまわるとちょうど宿屋の裏口が開き、男性が出てきた。
「いらっしゃい、お客さん、そこに馬車を停めてくれ。馬はこっちへ。俺も馬車から馬をはずすのを手伝うよ」
宿屋の主人だろう、ニコリと笑いかけてくれた。
「ありがとう、まだ慣れてないから助かるよ」
そうして馬車を指定された場所に停め、馬達を馬車からはずし馬止めへとくくりつける。
「あとはこっちで藁と水はやっておくから、お客さんは中へどうぞ」
「すまない、助かるよ。じゃあ、後は頼むよ」
「あいよ」
馬達の首を軽く叩いて労うと、サイリールは宿の入り口へ向けて歩いていった。
宿の中へ入ると、階段の傍でアソートが立って待っていた。
「なんだ、アソート待っててくれたの?先に部屋に行っててくれて良かったのに」
「部屋は一度行ったけど、馬車任せっぱなしだったし、今降りてきたトコだから」
「そっか、ありがとう。じゃあ一旦部屋へ行こうか」
「うん」
階段を上って行く二人を受付にいた少女は眺めていた。
「すっごい美形揃い……。はぁ……ステキ……」
頬を赤くしながら、少女は先程の二人を思い出し、口許を緩ませるのであった。
部屋へついたサイリール達は、コートなどを部屋に置くと、エル達を迎えに行った。
迎えにと言っても隣の部屋なのですぐなのだが。
扉をノックして声をかける。
「エル、準備は大丈夫かい?」
サイリールの声に中からパパーと声が返ってきた。
少しして扉が開くと、サーシャが飛び出してきてサイリールに飛びついた。
少し遅れてファニーも来てサイリールにしがみついた。
「じゃあボクも」
そう言ってアソートも抱きついた。
サイリールは少し苦笑しつつ声をかける。
「ははは、みんな大好きだよ。アソートも、エルも、サーシャも、ファニーも。みーんな大事な家族だ」
最近はこうしてからかいも含めてアソートも甘えるようになってきていた。
これについてはサイリールも好ましく思っていたので嫌がったりはしていない。
当然エルは脳内保存画像が増えるので非常に好ましい状況であった。
そんな風にじゃれ合いながらサイリール達は食堂へ降りて行った。
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